ONE LOVE STORY

ONE LOVE STORY

それぞれの心の中に描かれるそれぞれの恋模様。主人公はひとりじゃない。

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「今度は友達としてじゃなく………抱きしめてほしい…。」

凛子の言葉に、時が止まった。




「だって……おまえ………」

宮本さんは?

聞きたくても言葉にならない俺の様子を察したように、

「………今さら……ごめんね………」

凛子がそう言ってまた泣いた。

「………なんだよそれ………」

押さえていた気持ちに歯止めがきかなくなった俺は

気がつくとその震える手を引き寄せていた。

俺の予想していた展開じゃない……

ギュッと強く抱きしめる俺の胸に顔を埋めたまま泣きじゃくる凛子。

「…なんで…?」

そう尋ねるしかできなかった。

だって、俺の中でシナリオが決まっていたから……

「宮本さんと付き合ってるんじゃないの……?」

「付き合ってないよ………」

設定が根本的に間違ってると、すべてが狂う…。

「俺……友達やめるって言われると思ってた……」

「わざわざ呼び出して友達やめるなんて宣言しないし…(笑)」

胸に凛子の声の振動が伝わって来る。

よく考えたら……そうかもしれない……。

完全に思い込み。

「もう……今までみたいに会えなくなったらどうしようって……」

よかった……間違ってて……

凛子の肩の力がフッと抜ける。

「嫌われちゃったかと思った………」

凛子をそんなに簡単に嫌いになるわけない。

俺たちが築いて来たのはそんな薄っぺらな歴史じゃないから。

「もっと早く気付いてたら……ハルを傷つけずに済んだのに……ごめんね……」

そう言って凛子が俺の背中に手を回した。

この前から謝ってばっかり。

「もう、"ごめん"は禁止……。」

もうそんな言葉は聞きたくない。

俺の背中に触れているその手だけで、もう十分伝わってる。

気の利いたセリフなんて浮かばない俺は

凛子の耳元に唇を寄せて

今まで心の中で何度もかき消そうとしていた言葉を囁いた。

「もう……男友達はやだ。」

うんうんと何度も頷く凛子は

そっと、本当にそっと、囁き返してくれた。

「………好き。」

俺の一番聞きたかった言葉。

胸の奥が苦しいくらい締め付けられて

どうしようもなくて、

抱きしめる腕が強くなる。

「もう一回言って。」

もう一度聞きたい。

「好き。」

「もう一回。」

「もう言わない。」

「もう一回だけ。」

何度でも聞きたい………ずっと待ってた言葉だから。

もうダメだって諦めてしまってた言葉だから。




「ハルが大好き。」




胸の奥に溜まっていたいろんな感情がクリアになっていく。

ふと全身の力が抜けて、

凛子を抱きしめていた腕にもチカラが入らなくなって、

その場に座り込んでしまった俺を、凛子が驚いて覗き込んだ。

「ハル?」

あ……俺、もうダメだ。

「どうしたの?大丈夫?」

………大丈夫じゃない………。

「ヤバい……泣きそう……」

「へ?」

「……すっげ~うれしい……」

こんな場面で泣くなんて、やっぱり俺は情けない。

でも……

「うれしくて、チカラ抜けた………」

笑っていいのか泣いていいのか、

もうワケがわからなくなって、

俺を覗き込む凛子に引き寄せられるように唇を重ねた。

あの日とは違う。

見つめ合って、抱き合って、

心の底から幸せだと思える……


そんなキスだった。




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