●藤堂聖人ルート/策略編(No.14)攻略

・お参りしてから帰る

・修平、さっきのは一体?

・蒼山を追いかける

・断る

・マスター、Black、自分(3つとも選択)

・蒼山を庇う

・どこでそんな知識を得たんだ?

・藤堂の部屋へ行く(※策略編に突入)

・蒼山に助けを求める

・こんなことをして、満足なのか!

・蒼山に相談する      

・自分がどうしたいのか分からない

・廃墟

・断る

・心配してくれてありがとう


無残な形に壊された賽銭箱が取り残されて

いるが、島を護っている事に変わりはない。

俺は両手を合わせる「これ以上何も悪い事

が起こりませんように。起きている全てを

おさめてくれますように」ゴトン、何かが

落ちる音がした。白木で出来た三方が見え

て床に光る物…割れた宝玉だった。紫色の

石だ。気になり社に入ると壊れた玉に歩み

寄って玉を両手に取ってみる。綺麗に断た

れた面を触れ合わせる「え?」一瞬キラリ

と煌いて割れた事が嘘の様にピタリとくっ

ついた。疵が消えた「嘘だろう?」最初か

ら玉は壊れていなかったのか、それとも…


安堵した俺の首に蒼山の両手が伸びてくる

「何で俺は…っ、瞭…逃げろ。ちくしょう、

腕が、勝手に…っ」蒼山の表情を見れば必

死に抵抗しているのが分かるが、意思とは

逆に首を締める指先に力が籠っていく。

「ハハハ。いい眺めだ」藤堂も森本も動け

ない!赤井は息苦しさに視界が霞んでくる

「修、平…っ」苦しい、もう駄目かも。蒼

山の手にかかって死ぬのは嫌だった。抗う

「瞭、俺を…殴ってくれ」俺は力任せに頬

を殴った!「う……っ」首を締める腕の力も

消える「修平!」倒れた蒼山は真っ青で動

かない「騒ぐな、安心しろ死んではいない」

「修平に何をした?」こんな男の仲間にな

るなんて「冗談じゃないっ」


「藤堂と何かあったのか?」蒼山の問いに

心臓がドキリと嫌な音を立てる「瞭から藤

堂の吸ってる煙草の匂いがする」蒼山には

隠し事が出来ない「瞭が謝る必要はない。

瞭が殴らなくても俺が殴ってた。あれは俺

が殴る場面だ」「分かってるけど考えるよ

りも前に体が動いていた」「瞭らしいな」

優しい笑顔を向けられ罪悪感を覚える。

し前に藤堂の部屋で何をされていたかを

ったら、同じような笑顔を見せてくれる

だろうか「藤堂とは何を話したんだ」「何

も」「何も?」「俺、藤堂の事が分からな

い。どうしても彼の考えが理解出来ないん

だ」体に藤堂の指の感触が蘇る。条件反射

の様にゾクリと震える背筋に、情けなさが

増してくる「瞭は藤堂を理解したいと思っ

ているのか?」「思ってるよ」躊躇いなが

らも肯定する「どうして?」「俺達は仲間

だろ?考え方や価値観が異なるのは分かっ

てるつもりだ。だからって理解出来ないっ

て決めつけてしまっても、いけないと思う」

「彼と同じ環境の中にいても、全ての人が

彼と同じ考えを持つとは限らない。だけど

特殊な環境で育った事を差し引いても藤堂

の言動が正しいとは思えない」「藤堂をお

前の考える正しい方向に導きたいのか?理

解するって言うのは、そういう正誤で判断

する事とは違うんじゃないかと俺は思う」

蒼山の言いたい事が分からない「お前は本

当に藤堂を理解したいと思ってるのか?

堂を理解した後はどうしたいんだ?」突然

蒼山が俺の両肩を掴んだ!「瞭は藤堂の事

をどう思ってるんだ?」「どうって……?」

「瞭、俺はお前が…」途中まで言いかけな

がら蒼山は先の言葉を呑み込み、唇を噛み

締めた。微かに赤く染まった耳と苦しげな

表情に、聞こえなかった言葉が俺の心に聞

こえてくる。藤堂の言った事が脳裏に蘇っ

てくる『蒼山はお前に恋愛感情を持ってい

る』今になって思えば蒼山の気持ちには、

何となく気付いていた。口よりも雄弁に語

る蒼山の瞳が、彼の想いを俺に伝えてきて

いたのだ。高校時代に初めて出会い、ゆっ

くり時間をかけてお互いを理解してきた。

藤堂に言われる前に俺は分かっていた筈だ

蒼山がどんな風に自分を見ていたか。蒼山

の秘密、霊が視えてしまうという彼の力を

知っている自分。そしてそれを知っている

と言う気持ち。いつの間にか俺達の間には

切っても切れない関係が出来ていた。知っ

ていて知らないフリをしてきた。蒼山が自

分から言うまで気付かないでいようと思っ

ていたのは、今いる場所がとても居心地の

いい場所だったからだ。でも、もう気付か

ないフリをし続けるのは許されない。


この気持ちを恋愛感情と言えるのか否か、

自分でも分かっていない。藤堂を理解した

いと思った事、今も理解出来ずに悔しく思

っているのは紛れのない事実だ。でも同時

に俺は蒼山の気持ちも受け入れたいと思っ

ている。さっき藤堂の部屋に蒼山が尋ねて

来た時、俺は藤堂と蒼山どちらか一方だけ

ではなく、二人の事を理解したいと思った。

けれど先程の藤堂の一方的としか思えない

仕打ちを思い出すと、頭の中が真っ白にな

ってしまう。嫌だと思った。けれど本気で

抵抗していたかどうか分からない。自分を

心配してくれる蒼山の気持ちと、藤堂の事

両方が気になっている「自分でも何をどう

したいのか分からないんだ」「瞭にとって

藤堂はどういう存在なんだ?仲間じゃない

違う感情を抱いてるんじゃないのか?瞭、

この部屋の壁、そんなに厚くないんだ」

「……っ」俺の全身が熱くなった。聞こえ

いた。聞かれていた…藤堂の部屋での事を。

「俺、部屋に戻る。ごめんまた明日」

状態でまともに話が出来るとは思えない。


廃墟までの道を必死に走った。藤堂の顔が

浮かぶたび歯痒さを感じた。1人で向かうと

いう事は結局誰も信用していなかったと言

う事だ。藤堂には無事でいてもらわないと

本当の気持ちを聞き出す為にも。俺の気持

ちをハッキリさせる為にも絶対、助け出す。

栗栖も心配だけど藤堂を失いたくない気持

ちが強い。発電所を示す道案内表示らしき

物があった。地図を頼りに歩き名前を呼ん

でみる。人工の建造物が見えてきた。発電

所跡に着いた。壊れた壁を抜けると人がい

た。暫く待っても相手からの返答はない。

恐る恐る近寄ると、そこには倒れている栗

栖の姿があった!「栗栖しっかりしろ!」

温かくて息もある。傷もない「俺だよ。分

かるか?」「赤井さん…オレ何で、こんな

所に…」意識が朦朧としているのか会話が

成り立たない。薬でも使われたのだろうか。

所々痛みはあるようだが、何とか堪えられ

る程度の様だった「藤堂は見なかったか?」

「思い出した。オレ、何か変な黒尽くめの

男に捕まえられて、それで藤堂さんがやっ

て来て」「藤堂が?それで?」意識がハッ

キリしてなくて、よく覚えていないけど俺

と交換で一瞬に行く…とか言ってた。場所

は覚えていないか?「崖のある海岸の方に

…って言ってた気がする」「歩けそうか?」

「多分、平気っす」「ペンションに戻って

今の話を佐倉にしてくれないか。俺は海岸

に向かったと伝えて欲しい」「分かりまし

た」「頼む」栗栖を置いて走り出した。海

岸までは近い。崖までの道は歩きにくいが

足を滑らせながら何とか進むと、目の前が

突然に開けた。そしてーーあれは…その崖

の手前にBlackが見える。突端部分に立っ

ているのはーー「藤堂……っ!」


名を口にした瞬間、全身に鳥肌が立った。

崖は先端に行くと幅が狭くなり、薄い黄土

色の土が剥き出しになる。人が1人立って

いるのがやっとだろう場所に藤堂がいる!

背筋がヒヤリと冷たくなり嫌な予感がした

予感が現実にならないのを願う。突端に向

かってフラフラと歩き出す藤堂の姿が飛び

込んでくる!Blackの手が振り翳されると

同時に、藤堂の体がユラリと揺れた!

「駄目だ。止まれ藤堂!」必死に叫ぶ俺に

気付いてBlackが振り返り微笑んだ。憎

しい程満足気に。そして両手を藤堂に向け

たその次の瞬間…藤堂の体が崖から消える。

「藤堂ーーっ!!」嘘だ、そんな筈はない


俺は全速力でBlackの横をすり抜けて崖の

突端まで走る。端まで行って下を覗き込む

強い波が岩肌に当たって激しく白い飛沫を

上げていた。どこにも藤堂の姿は見当たら

ない!「藤堂…藤堂っ!」膝がガクガク震

え力が抜けその場に崩れ落ちる。体を乗り

出してもう一度海を見つめる。見えるのは

上がってくる飛沫だけだ。胸が潰れそうで

視界がぶれた。とめどなく涙が溢れる。

事でいて欲しかった、助けたかった。も

一度話をしたかった。人が全て藤堂の周囲

にいる人間と同じでない事を教えたかっ

胸の中にある訳の分からない感情をハッキ

リさせる為にも藤堂に会わねばならなかっ

たのに、それなのに…。


「ご愁傷様と言うべきかな?」顔を見た瞬

間、怒りが頂点にまで達した。この男が全

ての元凶だ「殺しておいてよくそんな事

言えるな」「俺が殺した証拠がどこに?」

「…っ」男は平然と言ってのける「この場

にはお前と藤堂しかいなかったじゃないか」

「あの男に指一本触れていない」「くっ…」

「君も見ていたじゃないか。俺は一歩も動

いていない。自分の足で飛び降りたんだ」

「違う。お前が藤堂を操った」「そうだと

して、それを証明出来るか?」男は笑う。

「警察にでも訴えるといい。俺が触れずに

殺したとな。誰がそれを信じる?」悔しい

が言う通りだ。藤堂は海に落ちた。それを

この目で見た「アイツは自殺だ。理由は捏

造出来る。依頼人はさぞかし奴の死を悲し

み悼むことだろう」「貴様…っ」「恨むな

ら俺じゃなく依頼した奴を恨め。俺は仕

を遂行しただけの事だ」「依頼人は誰だ?」

「冥土の土産に取りあえずアイツの身内だ

と言う事だけは教えてやろう」「身内……」

家庭環境を思い出す。歪んだ関係は藤堂の

性格や物の見方、そして価値観を歪めるだ

けでなく、家族という絆すらも歪ませたか。

俺の知る藤堂の家庭の事情は氷山の一角で

しかない。それでも家族の命を奪おうとす

るその関係に行き場のない怒りと悲しみを

覚えた「無駄話はここまでだ。お前もアイ

ツの後を追え」男の腕が伸びてきた瞬間、

触れた掌から吐き気を催す程の全身に嫌悪

する感覚が伝わる。逃げ出したいが必死に

堪え男を睨む「逃げないのか?」「お前の

力は俺には効かないんだろ」「だが力を使

わずともお前一人の命位どうにでもなる」

「殺すのは簡単だが面白くない。最後に

前が生き残るチャンスを与えてやろう」

「お前、俺の仲間にならないか?そうすれ

ば死ななくて済む」「何を言って……っ」

「よく考えて返事した方がいい。返答次第

では、君のお仲間もソイツと同じ運命を辿

るかもしれない」皆の命が俺にかかってい

「断る」「ほう、どうしてだ?」お前

みたいな犯罪者の仲間に誰がなるかよ!!」

ここで命を落とす事になっても絶対に申し

出を受け入れたりしない「死ぬ覚悟は出来

てるという事か」「殺し屋の仲間になる位

なら自分で命を絶った方がマシだ」「ほう

?手間が掛からなくていいな。そこから君

の友人の様に飛び降りるか?お前が死ぬの

を見届けてやろう。さあ飛び降りろ」

「Gray、手助けしてやれ」背後にスーツ姿

の男が現れる!零と呼ばれた男の右手にあ

る銃口が俺に向けられる!「消えろ」背筋

が冷たくなる。霊という存在よりも拳銃の

現実味がある武器が恐い。崖の突端まで距

離はそんなに無い。1歩ずつ下がると崩れ

た石が海の下へ落ちていくのが分かる。

「これで後がなくなった。痛みもなく死ね

るぞ。海底であの男に会えるだろうよ。あ

の世で再会出来るだろう。…THE ENDだ」

銃声が響く。バランスを崩した俺の体は崖

から落ちていく。このまま、終わるのか…

「…あっけないものだな」「あれで良かっ

たのか?アンタがやけに気に入っていた様

だったから。それに依頼されたのはあの男

だけの筈だ」「奴は生かしておいたら厄介

だ。俺の障害になるかもしれない。仲間に

ならないなら息の根を止めておくべきだ」

男達は近くに停めてあった車に乗り込んだ。


「もういいぞ、赤井。言った通りだろう?

奴らが気付く筈がないって」勝ち誇った様

に藤堂は笑う。俺は藤堂の辿った後を追い

かけ、崖まで這い上がる。もう男の姿はな

かった「本当に助かったんだ…」この場を

見るまで信じられなかった。藤堂の言う通

りになった。安心したら膝が震えて藤堂が

支えてくれる。温もりが伝わってきて生き

ている事を実感する「こんな古典的な手が

通用するとはな」俺は藤堂の様に笑えない。

思い出すとゾッとする。海に落ちた藤堂は

崖から落ちたフリをして、岩肌にできた窪

みの部分に身を隠していたのだ。自分の代

わりに近くにあった岩を海に落としたとい

う寸法だ「ロケハンでこの窪みに気付いた

時には、映画で使えるかもと思ってたんだ

が、まさか自分が使うハメになるとは流石

に思わなかったぜ」「それは俺も同じだよ」

「赤井が気付いてくれて良かった」同意す

る。下に落ちていく石が風に吸い込まれる

様にして崖に消えるのが分かった。直後そ

こから藤堂の手が見えて顔も覗かせた。一

瞬だけど崖の窪みにいることを理解した。

そして男の様子を窺いながら、一か八かで

藤堂のいる近くまで移動した。後は銃声と

共に崖から落ちるフリをしたのだがーー。

「一歩間違えていたら、死んでたな……」

「お互い助かったんだから結果オーライと

しようぜ」藤堂は気楽だな「瞭……藤堂!」

向こうから蒼山が走って来る「修平……っ」

彼らの顔を見た瞬間、安堵の気持ちが押し

寄せてくる「良かった。二人とも無事だっ

たんだな」全速力で走って来てくれたので

蒼山は荒い呼吸を続ける「心配してくれて

ありがとう」「無事ならいいんだ…」「俺

の機転のおかげで助かったんだろ」「うん

藤堂にも感謝してる」蒼山の気持ちも藤堂

の行動も嬉しい。藤堂が俺の命を救ってく

れた「藤堂は命を狙われたんだよ?殺し屋

まで派遣されて。しなくちゃいけない事が

色々あるだろ」「何で俺がそんな事しなく

ちゃいけねえんだよ?」心配されるのが不

本意な様子だ「警察には届けないまでも東

京に戻って家族と相談したりしないのか?」

「しねえよ。依頼人は誰か分かってるし後

の事はあっちで勝手に処理してくれる筈だ

から俺は撮影を続けるぜ」これで厄介な事

が片付いて、一件落着だぜ?もっと喜べよ

珍しく藤堂が満面の笑みを見せている。

うして生きているからこそ見られる笑みだ

胸に広がる幸せに溢れそうになる涙を堪え

「赤井くん、藤堂くん!」ペンションの

前には佐倉と森本が待っていた。佐倉は目

に涙を浮かべている「心配かけてごめん」

「無事で良かった」森本の短いけど感情の

込められた言葉に俺は、ほっとさせられる。

栗栖は赤井の伝言を伝えた後、倒れたが

者に診てもらい、空腹と心労なので心配は

いらない。佐倉が取りあえず中に入って、

叔父さんが栄養のつく物を作ってくれると

労う。順番にお風呂に入り、その後食事に

しようと提案する。言われてみれば空腹だ。


今日の撮影が終わり片付けをして帰り支度

をしている時に「何か悩み事でもあるのか」

蒼山に尋ねられる。心配そうな瞳で見られ

ると胸の奥が疼く「撮影が再開されたのに

嬉しそうじゃないから」蒼山は何もかもを

見透かしているのか。栗栖の誘拐、藤堂の

暗殺未遂という、非日常の事件を終えて平

常に戻った筈だった。でも俺だけ一人日常

に戻れていない「藤堂との間で、何かある

か」俺が口ごもる理由を、蒼山は既に悟

っている。言いたいけれど言えない。蒼山

以外の他の誰にもーー。「何でも、ないよ」

無理やり作った笑顔で応じる「修平が心配

する様な事は何もないよ」嘘だ……本当は、

違う。一方的に話を終わらせ藤堂の元へ向

かう。蒼山を裏切った俺に何も言える訳は

ない「蒼山と楽しそうに話してたみたいだ

が、何か言われたのか?」「…何も」ドキン

と心臓が大きく鼓動する「アイツに助けて

くれって言わないって事は…そう言う事なん

だろう?」「そう言う事って…」「お前が

よく分かってるだろう?」意味深な言葉だ

が、それ以上の説明はない「今日も、いつ

もの時間に待ってる」密やかな囁きで激し

い羞恥に襲われながら、条件反射のように

俺の奥の方が疼いてしまう。藤堂の吸う煙

草の匂いも、もう俺は完全に覚えていた。


事件解決後、藤堂にいいようにされたあの

夜の事を皆に公表すると脅され、言われる

ままに藤堂に抱かれ続けている。嫌だと頭

の中では思いながらも、体は藤堂に慣らさ

れていく。絶対に拒めないでいるのは蒼山

への後ろめたさではなく、俺の中にある醜

い欲望のせいかもしれない。激しい自己嫌

悪に陥ってしまう。今日もそうだ。結局は

藤堂に言われるまま部屋に訪れ、嫌だと言

いながら同じ結末になってしまった「俺が

悪いのか?」噴かす煙草の煙が俺を苛んで

くる「嫌なら逃げればいいじゃねえか。全

ての事情を話して蒼山に訴えれば簡単だ。

それを毎晩、几帳面に自分から俺の所に来

てるのは赤井、お前自身だ」

「俺に無理矢理された。合意じゃなかった。

そう言えば、あの直後なら誰もお前の事を

責めもしなければ蔑む事もなかった。でも

もう今じゃ無理だ」何故今さらそんな事を

言うのか「その最初のチャンスを逃して何

度ここに通ってる?俺から逃げるチャンス

を自ら放棄して、ここに来るって事は俺と

の行為が嫌な訳じゃねえからだ」「違うっ」

「よく言うぜ」藤堂は何もかも分かった顔

で笑う。一度綻んでしまった欲望の花は簡

単に枯れてくれない。こんなにも俺は変わ

ってしまった「…もう駄目だ。お願いだか

ら、もう止めてくれ……」俺は苦しい息で訴

える。これ以上、駄目になりたくなかった。

「このままじゃ、絶対誰かにバレる…撮影も

上手く行かなくなる……」実際蒼山には不審

がられている。毎夜のように藤堂の部屋に

行き、朝まで戻らないのだ。潤んだ目や興

奮した体は、聡い人間の目で見れば、何が

あったのかは明らか過ぎる。蒼山が気付い

ていない訳がない。それで何も言わないの

は何故なのか。俺に呆れているか、それと

もーー。「生憎だが、それには従えねえな」

「どうして」「俺は最初から映画の撮影に

参加したいと思ってた訳じゃねえ。単に暇

潰しに参加した。女と旅行するより島に来

る方が余程面白そうだったからな」「そん

な…」「実際楽しかったぜ今日まで。俺を

存分に楽しませてくれた。撮影がどうなろ

うと知ったこっちゃねえし、今が楽しけれ

ばそれでいい」「藤堂ーーっ」それは俺に

とって絶望を意味する「今頃になってそん

な事を言い出すって事は、刺激が足りなく

なってきたって事か?それなら新しい趣向

を用意してやらねえとな」ニヤリと笑った

藤堂は、視線を扉に向ける。


「蒼山、そこにいるんだろう?」「藤堂っ」

俺はいつかの事を思い出す。藤堂に初めて

無理矢理達かされたあの夜、俺を探して蒼

山が部屋の扉をノックした。俺は驚き起き

上がりベッドを飛び降り扉を開けた。まさ

かと思っていた。だが藤堂の言う通り扉の

前には蒼山が立っていた!蒼山が俺を責め

るような何かを訴えるような瞳をしている!

俺は背筋が冷たくなる。驚いてない蒼山は

全てを知っていた、という事なのか。それ

でも俺は「何でもないんだ」と訴える。言

い訳を必死に探す。藤堂とは話をしていた

だけで、もう部屋に戻るつもりだった。だ

から行こう。な、修平?だが蒼山は無反応。

俺を見る瞳だけ苦痛に歪む「修平…頼むから

「無理だぜ、赤井」「これは俺と修平の

事だ。藤堂は黙っていてくれ」「お前らの

話じゃねえだろうが」蒼山に視線を向けて

「なあ蒼山、そんな所に突っ立ってないで

中に入って来いよ」言われるままに蒼山は

俺の手を逆に掴んでくる「修平…何で藤堂

の言う事なんて聞くんだよ」俺の声が聞こ

えてないのか?蒼山は扉を閉める。


「待って、修平…何してるんだ」抗う俺の

体を蒼山は抱えると、ベッドまで足を進め

「修平!」「何でそんなに驚いてる?赤

井だって知ってた筈だろ?蒼山がどんな目

でお前を見ていたか。あの時お前がこの部

屋にいる事をコイツは知ってたぜ」「え…」

「あの日だけじゃねえ、その後も俺達がこ

の部屋でやっている事、聞こえてたんだろ」

「そんな…」「ーーどういうつもりだ」藤堂

を睨み付ける「俺は別に赤井の事が特別に

好きだった訳じゃねえ」「俺を怒らせる為

にやってたのか?」声に怒気が混ざってい

「ま、そうだな。すかしたお前が本気で

悔しがる顔を見たかっただけかもな」

「貴様っ」「怒るなよ、話はこれからだ」

藤堂は俺を見てフッと笑った「さっきも赤

井に言ったが、俺は今が楽しければそれで

いいんだ。てめえの悔しい顔を見て、俺は

十分満足した」「せっかくの機会だ。どう

せなら、一緒に楽しまねえか?」「……っ」

「藤堂!」一体、何を言い出すのか。

「澄ました顔してたって分かるんだぜ?毎

晩コイツが俺のとこに来んのが気になって

仕方がなかったんだろ?」「修平を侮辱す

るのは止めてくれ」「侮辱?聞いたか蒼山

侮辱だってよ?」肩を揺らして笑う。


「なあ赤井、忘れてねえよな?お前の価値

観なら好きな奴が好きな奴を抱くのは、許

される事なんだろう?だったらお前の事を

好きな蒼山がお前を抱きたいと思うのは、

お前の中では許される事じゃねえのか?」

「それと、これとは……」「話は同じだ」

そうかもしれない。でも、蒼山はーー。

「な、そうだろう蒼山?」蒼山は黙ってい

たが覚悟したかのようだった!「藤堂の言

う通りだ」「修平……っ」嘘だ。信じられな

い気持ちで見つめる「俺は瞭の事を抱きた

い」「何を言ってるんだよ修平。藤堂に挑

発されてるだけだって分からないのか?」

俺達はこのままの形で進む筈だった。二人

で一緒に映画を作り続け、そして友達のま

ま、いつまでも続いていく。お互いに心地

良くて、穏やかな関係が続いていく筈だっ

た。それなのに俺を見る蒼山の目に、明ら

に情欲が混ざっているのを感じる。ねっ

とりとした視線に背筋がゾクゾクした「も

う無理なんだ」「修平…」苦しげに蒼山は

口を開く俺は瞭の側に、このままいられ

ればいいと思っていた。でも藤堂との関係

を知ってから我慢が出来なくなった」「修

平…」悲痛なまでの言葉に俺は言葉を失う。

「何も知らなければそれで済んだかもし

ない。だが…考えるだけで頭の中が破裂しそ

うになる」「だ、そうだ。赤井」「何を考

てるんだ、藤堂」「何も?」クスクス笑

っている「俺はただ、この状況を楽しみた

いだけさ」蒼山は何も言わず、ただじっと

見つめる「来いよ、蒼山「修平…駄目だ」


逃げようとしても許されない。蒼山はベッ

ドに腰を下ろす「藤堂の言葉に乗せられる

な。お前はそんな事、考えていない筈だ…」

「違う、俺はお前の事が好きだった」俺の

言葉を遮って告白する「……高校の時から、

っと」「修平…っ」親友だった筈の男の

思い詰めた表情に俺は何も言えなくなって

しまう。どうして……こうなってしまったん

だろう……。俺が悪いのか。それともーー。

後悔してももう遅い。もうどこにも戻る

はできない。3つの糸が絡み合ったまま、

永遠にーー。【終わり】ED曲が流れる🎶

【ゲームクリアNo.14GET!! 残り13個】

Scene『共有』をGET!!


◎今は納得のEDだと思ってる◎

あれ?藤堂ルートなのにサンドしてる??

何で('_'?)と思った方も多いのでは?でも実

に藤堂らしいエピソードですよ。昔は無理

だったけど今はとても納得のEDだと思う✴️

流石にサンドされ「何これ超楽しい」とは

言い切れませんが😅 間に挟まれる赤井を

思うと初プレイ時=発売当初はとても理解

出来ませんでした。【共有】というワード

や『策略編』というタイトルも藤堂らしい

ですね😁そういう細かい所まで好きです🎵

藤堂に合っていて納得出来ます。藤堂だか

ら許されるEDとも言えますね。もしこれが

森本だったら……いや、恐ろしい例えをして

しまう所でしたね😅 森本ファンの方に怒

られる?所でした。私は藤堂推しで相当な

BL好きなので楽しめるENDでした。でも

れって疑惑の3Pとかじゃなくて、結局赤井

が悪いですよね。藤堂を好きだけど蒼山の

想いも拒めない訳ですからね。そりゃ藤堂

に怒られても仕方ないですよ。こういう展

開になっちゃいますよ(苦笑)でもED曲が

れたという事は良いENDと言う事ですよ

?BESTでもないのに🤣🤣 蒼山を心配し

たり相談するだけなら、ともかく自分の気

持ちがからず『八方美人』は、やはりマ

ズかったですね😁やはり選択肢って重要な

のね(笑) No.11では【お参り】しなかった

のと、Blackの誘い(スカウト)を断らず仲間

になったのがヤバい訳でしたね。バットED

もとても納得できる内容でしたよ✨✨👍️

藤堂ルートは永遠です❤️本当はもっとお話

したいです✨✨✨✨いくらでも語れる❤️


それではnext⇒藤堂ルートNo.10でまた

会いしましょう読んでくれて感謝✋➰💋

藤堂編もあと2つ。ここからは超早くて寂

しくなりますが、違う意味での待望の蒼山

編が開始されるので、まだまだテンション

高くして行きますよ‼️(*^o^)/\(^-^*)🎶