hope of hopeless
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second

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from 村瀬隆之
件名 ちゃんと起きてるかー?
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23時半に、お前ん家迎えに行くから!覚悟して待っとけよ☆笑
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 隆之からのメールはいつも面白い。いつも失笑してしまう。前に、「俺の言う事ひとつひとつにそんなに笑ってくれるのお前だけだわ。加奈子なんていつも『だから何よ?』だって。コエーコエー」って言っていた。工業系の大学に通う隆之は、とある大きな自動車メーカー系列工場の所長の娘、加奈子さんと付き合ってる。加奈子さんと付き合っていると、就職には困らないんだそうだ。もう加奈子さんの父親とも会ったらしい。変な感じだが、隆之は私に加奈子さんの事をすごく話してくれる。ほとんどが愚痴だがそれだけオープンに話してくれると隆之の浮気は逆に爽やかに思える。
「あと15分か…。」
まだ早いが、少し冷える9月の闇に身を投げた。
路上で隆之の車を待ちながら、短くしていく煙草を見つめていた。親は、私が喫煙している事を知らない。5つのピアスの穴も、隆之の存在も、バイトしている事も知らないし、私がまだ処女だと信じきっている。本当に私の親は何にも知らない。そして両親は私に優しく接する。後ろめたさも嘘をつくのも、もう慣れた。両親の寝室に向かって、ごめんねと心の中で呟いてみせた。
そしてすぐに隆之の車は来た。いつも隆之が中から助手席の扉を開けて優しい笑顔を見せてくれる。
「姫、お迎えに上がりました。」
「今日もありがとう」
私は本物の令嬢になりきったように短く言い、車に乗り込んだ。
私の夜が、始まる。

first

 的場紗友梨17歳。私は、県立高校に通う普通の女子高校生だった。中学は特別な勉強などしなくてもトップクラスに身を置いていられた、県でもかなりレベルの低い所だった。そのためか、かなりのさぼり癖がついていた私は高校に入ってもほとんど勉強せず、成績は試験の度に落ちていった。「お前はやれば出来る才能のある子なんだ」「努力する姿を見せてくれ」教師である父の口癖だった。父は次第に鬱陶しい存在になっていった。また、中学3年生だった弟剛志も段々と悪友と遊びはじめ、もともと厳しかった両親との衝突が多くなり、私は家に帰るのが嫌になっていた。しかし、騒がしい性格である私にクラスで一番騒がしい人間が集まっていた学校では、学校こそ嫌いだったものの友達は大好きだったので学校だけはちゃんと行っていた。私たちは、退屈な毎日を下らない笑いや反抗で懸命に脚色しながら思春期を生きていたのだと今になって思う。
この頃の私には、隆之と言う男がいた。最も仲が良かった知佳の紹介で知り合った地元の大学に通う20歳の青年だった。隆之に同い年の彼女がいたことは知り合った時から知っていたが、何度かメールを繰り返すうちに、私は彼に惹かれていった。それからしばらくして、私達は実際に会うことになった。隆之は彼女とのデートの後で、家が厳しい私は両親が眠った後でないと家を出られなかったので、約束の時間はいつも深夜だった。

zero

 私はかつて、「人生は一度きりだから面白い」という言葉の本当の意味を知らなかった。まだ子供だった頃、好奇心旺盛と言うと可愛気があるが何でもやりたがってやりたがってやりたがって、段々一度の人生に出来ることに制限があるのが解ると、全て出来ないならいっそのこと今死んでしまおうか、と考えたこともあった。
 でももう、幾つもの人生なんて要らないと思う。私はもう生きることを望んでいないが、だからと言って今、生を終わらせようとも思わない。それすらも面倒だからだ。これ程に考えが極端になった過程を、大人になったと捉えるかもしれないが、私の場合、それだけではないと言える。

私には、絶望を経験した過去が憑いている。