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“永世棋聖、敗れる”
今年1月14日の対局で、コンピューターの将棋ソフトが元トップ棋士の米長邦雄氏を破った。
チェスに続き、将棋でもコンピューターは人間を追い抜いた、と話題になった。
この将棋ソフトは、可能性のある手順を“しらみつぶし”に読む。
1秒間に約1800万手も計算できる。
情報処理のスピードでは、到底、人間はかなわない。
しかし、人間には、コンピューターに真似のできない手の読み方があるといわれる。
そのキーワードは「大局観」だ。
プロ棋士の第一人者である羽生善治氏は言う。
「『ここは攻めるべきか』『守るべきか』『長い勝負にした方が得か』などの方針は、『大局観』から生まれる。
複雑な状況で判断を下す時は、この『大局観』で無駄な『読み』を省略でき、正確性が高まり思考が速くなる」(『大局観』角川書店)。
将棋の世界でいう「大局観」は、私たちの行動でいえば「人生観」「世界観」に通じるだろう。
細かい情報を積み上げても、それをどう生かし、何のために使うかというものがなければ、情報は混乱を広げたり、悲劇さえ生む場合もある。
現代の高度情報社会では、なおさらだ。
情報を使いこなす、生きたものに結び付ける信念が必要とされているのかもしれない。