本物は、、、苦闘の中から生まれる。
世界文学の金字塔『神曲』もそうだった。
愛する人の突然の死と、祖国からの追放という苦悩に襲われた、
13世紀イタリアの詩人ダンテ。
「他人のパンがいかに辛く/
他人の家の階段の上り下りがいかに辛い道であるか」(平川祐弘訳)。
流浪の中で綴られた詩人の一言一句が胸に染みる。
地獄・煉獄・天国の3界をダンテ自身が旅する『神曲』の物語は、
彼が文学上の師匠とした古代ローマの詩人ウェルギリウスが
導き手となって進む。
試練の旅を勝ち越えたとき、師は弟子をこう讃える。
〝君は、君自身の主なのだ〟と、、、
人間とは、運命に流されるだけの存在ではない。
自分が自身の主となって、困難にも立ち向かい、乗り越えていけるのだ。
この詩人の叫びは、わが一念の変革が、
人生も社会も変えゆく力になることを教えてくれている。