松の木は、その生命力の強さから、時代を超えて尊ばれてきた。
武門の旗を松の木に立てた「旗立て松」の逸話が、今も各地に伝わっている。
関西では、楠木正成が嫡男・正行との別れの際、桜井の宿の松に旗を立てかけ、後継の誓いを促した。
その南には、天王山がある。
豊臣秀吉は、決戦の「山崎の戦い」を前に、山中の松に登って旗を掲げ、自軍を鼓舞した。
関東では、武田信玄の「三増峠の戦い」(神奈川・愛川町)が有名だ。
信玄は、松に大将旗をはためかせ、勝利への士気を高めた。
今回の震災で甚大な被害を受けた岩手の陸前高田に、1本だけ、高さ12メートルの松が残った。
大津波にも負けず、屹立する大樹の雄姿は、まさに“希望の松”。
被災された方々に無限の勇気を与えている。
中国の古典に「千丈の松樹、常に風霜有り」(顔氏家訓)とある。
天高くそびえ立つ松の木は、常に風や霜にさらされるが、断じて耐え抜く。
私たちも、友に「勇気の松明」を灯しながら、いかなる困難も乗り越え、どんな試練も勝ち越えていきたい。
そして、地域に信頼の枝と葉を、いよいよ若々しく広げていこう。