不登校の子が、家でどう過ごしているのか。

全ての子に聞いたわけではないけれど、多くの子に聞いて共通していたのは「なんだか悪いことをしている気持ち」でとても「心安らかに過ごしているわけではない」ということ。小学生ですらそうなのです。

 ある男子生徒(今は国立大の大学院にいる)が言っていたのは「時間を潰すのに苦労した。何をしていいかわからないけど、勉強はどうやっていいかわからないので、何十回もみたビデオ(当時ネットは普及していない)を見続けていた。」とのこと。中学校は1日も行っていない彼が語る一言は重かった。


 私はたくさんの不登校の子供を見てきたけれど、自分の子供が小5で不登校になった時は慌てた。

 娘の場合、拒食症になり、神経が過敏になり学校のザワザワに耐えられないこと、給食のこと、体力が持たないことなど理由は後からわかった。

 けど最初は、「今日休んだら、明日も休むのではないか」という不安に私がかられた。

 「小学生を一人で家に置いておいていいのか、自分も仕事を休むべきか。でも、二人でいるの絶えられない。もちろん仕事も休めない。娘の学習はどうなるのか?私が教えるのか?」そんな思いが頭をぐるぐるめぐった。


 解決してくれたのは児童精神科の先生と娘の担任、保健室の先生。

 精神科の先生は「今の状態で毎日学校に行くのは無理。でも週に3回は行きなさい。お母さんも週に2日は寝ませなさい。お母さんは仕事をやめなくていい。」とルールを作り、娘、私の前で約束させました。

 娘の担任は「毎日きて欲しいけど無理そう。ここのところの様子を見ていると、週3回学校にくれば授業の内容は理解できているよう。」と教えてくれて、私たちの約束を支えてくれました。

 保健室の先生が、とても経験豊かな方で、娘の話をよく聞いて、保健室が「安全基地」になりました

。「もっとわがままになっていい。」と娘に言ってくれて「かわいい腹巻きが欲しい。かわいい手袋が欲しい。」と娘からのリクエストを聞くこともできました。(娘は、自分は学校にちゃんと行けないダメな子だから、お願いなんてしちゃいけないと思ったそうです。)

 娘が体調不良を訴えても、湯たんぽを抱かせてベットで休ませてくれて、娘は安心した顔で寝ていることがよくありました。その時も「迎えにくるのはお母さんの最後の授業が終わってからでいいよ。(私は教師なので)」と私にも配慮してくださいました。

 「絶対よくなるから。」とも言っていました。この言葉には励まされました。ただ、確かに娘は一度良くなりましたが、高校で再発しました。

 

 娘がこの時「通信制の小学校に行きたい」と言ったことで、日本の小学校の種類の少なさ(うちの近所には私立小はないので、ほぼ一択)に気がつき、フリースクールを始めるきっかけになりました。


 不登校の間、娘は一日中編み物をしたり、ピアノの練習をしたり、本を読んだりdvdを見ていたようです。

 その経験があったので、高校でまた拒食症になった時「この高校はもう無理」と言われた時、迷わず通信制に転校させました。