翻訳マンのビジネス英語翻訳講座

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文体の話

ビジネス文書というものは、

文芸作品などの作者の世界を表現することを目的としたものとは違い、

情報伝達のための具体的な目的のもとに、特定の読み手を想定して作成されるものです。



事務的な連絡文書であるメモから製品の取り扱いを説明したユーザーマニュアル、

または新聞、雑誌記事、広告に至るまで、特定の読み手に対して情報を伝達することを目的にしています。



したがって、実務的な文書の文体は、

その目的と読み手に合ったものでなければいけません。



文体に影響を与える様々な要因の一つとして、文末の調子があります。


文末は「である」調ないしは「です・ます」調のどちらかに統一する必要があります。

通常、ユーザーマニュアルや広告では「です・ます」調を使い、

雑誌などの出版関係は原則として「である」調を選択するようです。


翻訳が終わった後に

「である」から「です・ます」に変えたり、

その逆の作業をするのは大変な労力が必要となるので、はじめからしっかり統一しましょう。



また、概念的な表現と説明的な表現とでどちらに基調を置くかも文体に影響を与えます。


概念的な表現を多用しますと、

漢語が多くなり硬めの文章となります。

逆に説明的な表現を多用すれば柔らかい文体となります。

新聞や雑誌は漢字の比率は30パーセントと言われているそうです。



一文の長さでも文体は変わります。


短くすれば簡潔で快活な表現となりますが、

稚拙な表現になり滑らかさを失ってしまう可能性もあります。

逆に、一文が長すぎるとあっちにいったりこっちにいったりで明快さが失われ、

わかりにくくなってしまいます。

一文の目安として、100文字以内というのを心掛けるといいかもしれません。


外来語のカタカナ表記についても

一般的に浸透しているものを除いて避けたほうが良いですね



翻訳マン

表記法の話 その3

今回は読点の打ち方とその効果についてのお話です。



句点(。)は文の終わりに打つということで、その使い方は明瞭です。


それに対し、読点(、)は打ち方にルールらしいものはなく、

打ったほうが良いのか、打たないほうが良いのか迷ってしまいますよね。


しかし読点(、)というものは、

使い方によって文の意味が変わってしまう場合があるので、注意が必要です。



「半年前に発表された新しいOSを内蔵した素晴らしいPC」


この文では「半年前に発表された」の後に読点がないので、

この語句は「新しいOS」を修飾し、「PC」は修飾していません。



「半年前に発表された、新しいOSを内蔵した素晴らしいPC」


とすると、「PC」を修飾することがわかります。



このことから、読点の役割のひとつは語句を区切って係りを明確にすることにあります。



また、


「波線の引かれた薄めの青い紙」のように


修飾語が複数あるときは、普通、長い修飾語を先に、

短いものを後にもってくると係りが明確になりわかりやすいのですが、


この語順を変えた場合でも、

「青い、波線の引かれた薄い紙」とすれば元の意味をきちんと伝えることができます。



このように、短い修飾語が先に、長い修飾語が後にきて語順が逆転しても、

読点を打つことによって係りが明確になります。



訳文を作るときに、読点を打つべきかどうか迷ったときは、以下の6つのことを参考にしてください。


1、係りを明確にして打つ


・係りを明確にする

例)今朝早く、完成が待たれていた新店舗が開店する。


・ひとつの語句が並列した二つの語句を修飾する場合

例)役割が重要な、立法府と行政府。


・文全体に係る接続詞の前

例)しかし、法案は通らなかった。


・倒置した場合、倒置した部分の後に打つ

例)楽しそうだ、彼は。


・挿入語句の前後

例)時間外の駐車は、原則として、認められていない。



2、条件・理由・仮定・限定を表す節の後に打つ


例)雨が降ったので、外出しない。

例)雨が降る限り、外出しない。

例)雨が降ると、外出できない。



3、並列の関係にあるものの間に打つ


例)部屋に入り、着席する。

例)サッカー、野球、ドッヂボールなどが流行っている。



4、他のものと独立の関係にある語句、節の後に打つ


例)やあ、元気かい!

例)君、こちらに来てくれないか。



5、誤読、読みにくさをなくすために打つ


例)よく晴れた夜、空を見上げる。



6、強調したい語句・節の後に打つ


例)彼女の拳に、怒りがみなぎっていた。


翻訳」マン





表記法の話 その2

今回は「外来語のカタカナ表記」について書いていきます。



外来語のカタカナ表記法は実際のところ、

わりと多様な表記法を許容しており、

新聞界、出版界、JISなどで異なった表記法が使われているのが現状です。



それでも基本的には2つの方式があると言われています。



ひとつは原音の外国語音にできるだけ忠実に表記しようとするものです。



もうひとつは原音を本来の日本語音に置き換えて表記するものです。



たとえば、main eventという英語は

、前者なら「メインイヴェント」となり、後者では「メーンイベント」となります。



この考え方の違いが、表記の揺れの最も大きな原因になっているのです。



新聞・雑誌界では後者の表記法が主体で、

JISなど学術・技術の世界では、原音に忠実に表記する傾向がありました。

しかし最近では、新聞・雑誌界の影響が強く、学術・技術界でも、日本語音化表記が増えているようです。



訳文を作るときには、

特に指定がない限りは、新聞・雑誌系の表記法を採る必要があります。



もちろん詳細な表記基準を提供された場合には、そちらを順守しなければなりません。



また、「ウィ、ウェ、ウォ」は「ウイ、ウエ、ウオ」で表します。例えば、ソフトウエアなどですね。



「ヴァ、ヴィ、ヴ、ヴェ、ヴォ、ヴュ」もバリューやウエーブのように「バ、ビ、ブ、ベ、ボ、ビュ」で表します。



コンビニエンスストアやケース・バイ・ケースのように、

2語からなる複合語のは原則としては中点はつけずに、3語からなるものには原則としてつけます。


つづく


表記法の話 その1

英語には正字法(orthography)という厳密な表記法があるのをご存知でしょうか。

文字を書くときの決まりのようなものです。


英語とは違い、日本語にはこのような厳密の決まりはありません。

ですので、学校教育などで書き方の訓練を受けないまま卒業してしまい、社会に出てから実務的な文を書くことになってから改めて勉強するはめになることもあるかもしれません。


今回は、最低限知っておかなければならない「漢字と仮名の使い分け」と、「外来語」のカタカナ表記」、「読点の打ち方」のうち、

「漢字と仮名」のことについて書きたいと思います。


これらのことがわかっていないと、

最悪の場合、書き手が意図していない文意を伝えてしまったり、わかりにくくなってしまったりと、

情報伝達の機能障害を引き起こしてしまうかもしれませんのでしっかり覚えておきましょう。



漢字と仮名のお話ですが、

日本語は漢字仮名交じり文で書くので、何を漢字で書き、何を仮名で書くのかが問題になります。


現代日本語表記法での基本的な考え方は

「内容を伝達する語(動詞や名詞)とは違い、具体的な情報を伝達しない接続詞や助詞などは仮名書きする」

というものです。


現代表記法に従うと、

「したがって」という語は、接続詞として用いた場合は仮名書きにしなければならないし、

動詞として用いる場合には「従って」と漢字表記することになります。


また、形式名詞の「ため」や「こと」、「とき」についても「為」、「事」、「時」とせずに

仮名書きしなければならないことになります。



他にも

補助動詞の「~ください」を「下さい」、「置いてくる」を「置いて来る」としたり、

接続詞では「ただし」を「但し」、「または」を「又は」、「すなわち」を「即ち」、「なお」を「尚」にしてしまったりと、

本来は仮名書きするべき語を漢字表記してしまうということが以外とあるので注意しましょう。


つづく

直訳・意訳の話

翻訳する際に直訳するのか意訳するのかという議論は昔から存在します。



この議論には、原文に忠実に直訳すると不自然な日本語ができあがり、

意訳すると原文に忠実ではなくなってしまうとう強迫観念がつきまとっているようです。



この状態から脱却するためには直訳と意訳とはなにかを明確に理解しなければなりません。



直訳は英語原文の構文を変えずに逐語的に日本語に変換する翻訳方法です。



例えば

The heavy rain yesterday prevented me from going shopping.


という英文の構文を変えずに日本語で表現すると、

「昨日のひどい雨は私が買い物に行くことを妨げた」となります。

このままでは意味はなんとか伝わりますが、日本語としてはとても不自然ですね。



なぜこのような不自然な日本語になってしまうかというと、

英語表現でよく用いられる無生物主語の構文は日本語では用いないからです。



無生物である主語The heavy rainが、

目的語のmeにあたかも意志があるように働きかけるという表現は日本語には馴染みません。



このように、英語特有の表現は単語を訳すだけではなく、

その構文そのものを変換しなければ自然な日本語表現になりません。



ここでは「昨日のひどい雨でわたしは買い物に行けなかった」となります。



つまり、

本来主語であるThe heavy rain yesterdayを理由を表す副詞句「昨日のひどい雨のために」に変え、

目的語だったmeを主語に変えるのです。



こうやって原文の表現形式を変えても、必ずしも原文の意味が変わるわけではないのです。



翻訳を単語の変換とだけ捉えるのではなく、構文の変換として捉え、

原文が伝えたいことを異なる言語で再表現することだと認識することで、

直訳か意訳かという強迫観念から抜け出せるのです。


翻訳マン

フリーランスの話

フリーランス翻訳者の生活には2つの課題が存在します。



1つめは、フリーランサーは普通、

誰の手も借りずに、一人で仕事を処理しなければならないということです。

同僚に支援を頼むわけにはいかないのです。



ですので、

事前に必要所要時間の正確な把握と

作業中の時間管理がとても大切になります。

時間的に厳しい仕事は断る勇気も必要になってきます。



翻訳のスピードというものは

原文の種類や背景知識の有無などに左右されるので、

これくらいというのは難しいのですが、

英語を日本語にする場合では仕上がり日本語数で30分で400字と考え、

1日当たり原稿用紙16枚~20枚が無難なところらしいです。

ただしソフトウェアマニュアルなどの典型的な文章が多いと、速度も大幅に上がります。



2つめの課題は、安定な仕事の確保です。

明日から仕事がすべてなくなり、

生活できなくなんじゃないかという不安にとりつかれることが一度ならずあります。

この不安をなくすためには、

仕事の供給先として、少なくとも信頼できる3社と良好な関係を築いておく必要があります。

さもないと安定した生活は送れないでしょう。



フリーランス翻訳者の生活は楽ではないということですね。


翻訳マン


概念訳・説明訳の話

日本語という言語は、漢字仮名交じり文を用い、

漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字の4種類の文字からなり、

その表現力はまさに無碍自在といえるでしょう。



ある統計によると、

英語やフランス語は5千語を覚えると96%理解できるのに対し、

日本語を96%理解できるようになるには、2万2千語の単語を覚えなければならないそうです。



このように日本語では、

同じ語でも様々な表現方法があるので翻訳する際に苦労します。



例えば英語のsocietyという単語を日本語にする時、

「世の中」という和語にするのと「社会」とという漢語にするのとでは、

表現される雰囲気は大きく異なります。

前者は人の営みのような具体的なものイメージできますが、

後者は抽象的な灰色をした組織を想起させます。



抽象概念とその羅列で名詞的に表現されるのが概念訳で、

動詞を含んで動詞的に表現するのが説明訳です。

例えばneglectを「無視」とするのが概念訳で「ほうっておくこと」とするのが説明訳です。



"The president's business philosophy"は

「社長の経営理念」という概念訳と

「社長の経営に対する考え方」という説明訳の両方に訳すことが可能ですが、

前者は確立された経営哲学という公式的な印象を受けますが、」

それに対して後者は経営に対する日常的な発想や信条といった程度の個人的な印象を受けます。



このように概念訳と説明訳とでは与える印象が大きく異なってくる場合があるので注意しましょう。



どちらの表現をするかは文書の目的、内容、読み手、文脈によって決まります。



また、文の調子やリズムを作りたい時には概念訳を、文意を明確にしてわかりやすくしたい場合には説明訳を選択すると良いでしょう。



翻訳マン

専門用語の調べ方の話

専門用語は一般的な用語とは違い、一語につき一訳で使用されます。



専門用語はその分野で習慣的に使われているものしか訳語として使用できません。



専門用語の訳語を調べる方法はいくつかありますが、ひとつは専門用語辞典を調べることです。



電気・電子辞典、情報処理用語辞典、機械用語辞典など様々な分野の専門用語辞典がありますが、

やはりこれらの辞典もすべての用語が収録されているわけではなく、調べたい用語が見つからないことも珍しくありません。


特に新しい技術分野などの用語は訳語が定着していない場合があります。


このような場合には、その分野のウェブサイトにアクセスしてコンテンツを参照すると良いでしょう。


キーワードが正確でないと、最適の情報が得られないのでスペルには十分な注意が必要です。



また、ウェブ検索をしていると「ウィキペディア」に行き着くことがあります。


「ウィキペディア」のコンテンツは素人の人たちの書き込みからなっていますし、必ずしも専門家の監修が行われているわけではないので、「ウィキペディア」の情報が絶対ではないことを知っておかなければなりません。



『現代用語の基礎知識』という本がありますが、この本は専門用語を調べる時に重宝します。


話題になっている科学技術用語や新しい用語が簡潔な解説付きで収録されていますし、見出しには英語も書かれています。専門用語の背景知識を手っ取り早く理解するにはもってこいです。



翻訳マン




適語の話

英語で書かれた文章を正確に理解したうえに、日本語を母国語とする人に違和感なく伝えるために訳文を作成することは簡単なことではありません。


適切な訳文を作成させるためには、その単語に適した語を次々ときめていくことが重要になります。


ところがはじめのうちはこれがなかなか難しいものです。





わからない単語に出会ったときに、辞書を引いて直ぐその適語を見つけることができれば翻訳はすごく簡単に済んでしまいます。


ところが、実際には英語の単語は多義にわたっており、訳語も様々です。ですので辞書にある訳語のなかでどれを選ぶべきかの判断がなかなかつかないものです。


しかも、辞書に載っているどの訳語すらしっくりこない場合もあります。困ったものですね。





辞書を用いる際にまず気をつけたいのは、収録されている訳語を絶対のものと信じて訳文の中に張り付けるようにして使ってしまうことです。


これをしてしまうと日本語として不自然な訳文になりかねません。


むしろ辞書には適訳は7割ほどしかないと考え、残りはその単語の原義と用例から自分で考えるといいかもしれません。





例えば、"The essence of his argument is that capitalism can not succeed."という文の"essence"という単語ですが、ジーニアス英和辞典で引いた場合「本質、実態、真髄」と出てきます。


これらは評論文などには適しているかもしれませんが少し重々しいかもしれません。


もうひとつ「最も重要で不可欠な要素」と出ますが、少し長ったらしいのでもっと短くてこの意味を的確に表現しているものを見つけたいものです。


そこで、他の辞書を引いてみると「核心」という言葉が見つかります。漢字2字の熟語で引き締まっている上に、意味的にもばっちりで言い得て妙ですね。





このように適語を見つけるためにはひとつの辞書で満足せずに、複数の辞書を引いて比べるといいでしょう。しかし最終的な決め手になるのは翻訳者の語彙かもしれません。


普段から読書をして語彙を蓄積し、日本語表現に対する批評眼を磨くことが適語を上手く決めるための近道かもしれませんね。



翻訳マン

達意の文章の話

「達意の文章」という表現があります。



これは、自分の考えが十分に相手に理解されるように書かれた文章ということです。



英語で書かれたビジネス文書をわかりやすく読みやすく、

違和感のない日本語にすることは容易なことではありません。



直面する問題はいくつかありますが、まずは

ひとつひとつの用語に適訳・正訳を見つけ出すことが難しいことだと思います。



辞書を用いてもしっくりくるものがなかなか見つからないこともあるでしょう。



また、直訳をしてしまうことにより、生硬な文になってしまうこともあります。



翻訳文が原文の意味を正確に伝えていても、

その表現が日本語として読みづらいものであったら翻訳文として失格ではないでしょうか。



英文の中に隠された論理を明らかにするために、原文にはない接続詞を訳文に補う必要があることもあります。逆に、主語や目的語を省略することで、文章の流れを良くすることもあります。



製品のマニュアル、設計や製造に関する情報、広告文や会社案内、報告書など

なにをを翻訳にしても、次の3つの条件を念頭に置きながら翻訳しなければなりません。



1、日本語として自然な調子で読みやすい



2、曖昧さをなくし、明快な表現で誤解を招かないようにする



3、簡潔な表現で理解しやすく記憶しやすい



ただ単に"book"を「本」と置き換えるだけの作業として翻訳を捉えてしまうと、

非常に機械的な作業になってしまいます。これなら文字通り機械にまかせれば良いのです。



「達意の文章」にするためには、


翻訳を 「正確なコミュニケーションを図る為の言語による再表現」 と捉えるといいかもしれませんね。



翻訳マン