先日、クリスマス時期の来客用にと、あるお店でお菓子を買ったときのことです。
詰め合わせていただいたお菓子(クッキー系)を開けたところ、中の1個だけが黒ずんでいたのでした。
そこで、買ったお店に行って、
「もしかしたら焦げているだけで、大げさかもしれませんが、替えていただけますか?」
と言ったところ、交換してもらえました。
後日、そのお店の本部から、お詫びのお電話が来ました。
どうやら製造工程で異物が入ったことが原因とのこと。
電話の中で、私は
「原因を詳しく教えていただき、ありがとうございました。交換していただけただけで、こちらは十分です。ありがとうございます。クリスマス時期で忙しいでしょうけれど、工場の皆様もがんばってくださいね」
と申し上げたところ、大変感謝されました。
そして、
「このご時世、こういう言葉をかけていただけるお客様がいらして、ありがたいです。あなたのような方こそ、大切にしたい顧客です」
と言っていただけて、その後も重ねて御礼の電話が来るとともに、その会社のお菓子詰め合わせが贈られてきました。
この話を(会社名を伏せた上で)、同様のBtoC企業の方にしたところ、
「クレームのつけ方で“本当の顧客かどうか”がわかる」
との反応を得ました。
というのも、昨今、同様の事態が起こったときに、被害への対応を大幅に上回る法外な金品を要求する“モンスター消費者”が急増しており、企業が苦慮しているからです。
実際、友人も私も、仕事でクレーム対応をする場面で、
「私はお金を払っているのだから、客なのよ。何でも言うことを聞きなさいよ」
と言ってこられる人が増えています。
どの業界にも共通する現象のようですね
そうした“モンスター消費者”には、正直まったく共感できないのです。
「あなたが同じ立場だったら、同じことするでしょ」
と言われても、
内心「いいえ。私ならば、そんなことしません」と思っているので、
敢えて、YesともNoともとれない生返事をすることにしています。
なぜならば、仮に企業側に落ち度があったとしても、そこで理不尽な要求をすべきではないと思うからです。
理不尽な要求をして企業側のモチベーションを下げてしまったら、世の中全体ではその人以外は何も得をしませんものね。
逆に、消費者としては企業を励ます言葉をかけるほうが、企業に改善へのモチベーションを維持してもらえて、企業や他の顧客にとってもゆくゆくは得になると思うのです。
たとえば、以前、新聞に身内が取り上げられたときに、名前の漢字が違っていたことがあるのですが、そのときも
誤字を指摘しつつも
「でも、命に関わる話ではないので……細かい指摘してごめんなさいね。おそらく記者さんも忙しかったのでしょうから、ご自愛くださいとお伝えください」
と申しました。
このような話について、官僚や法曹の友人いわく、
「不況だから、暮らしむきに余裕がない人は、心が安定しないから“クレーマー顧客”になってしまう」
「あなたが“本当の顧客”たる態度ができるのは、衣食足りている証拠だよ」
とのこと。
実際、消費者庁などに来る“モンスター消費者”には、生計が安定しない方が多いらしいですね。。。
確かにこの世の中、特に経済面で暗いニュースばかりです。
“モンスター消費者”が増えているのも、経済状況が人の心に影を落としているからなのかもしれませんね。
そんな中だからこそ、“本当の顧客”たる対応ができる心の余裕を持つことで、安定した暮らしを維持したいと思ったのでした。
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