術後にエリザベスカラーをつけている事の方が手術より辛かったらしいちっぷ君は、

縫ったところに全く頓着しません。


先生の手技も大変お上手で、言われなければ気がつかないほどで、写真でもわかりません。

元気なちっぷ君と公園で遊んでいますと、「ピーポー、ピーポー」とサイレンの音が聞こえてきました。



救急車の音に敏感な穂香が、じっと見ています。

段々音が高くなってきました。いよいよ目の前を通り過ぎます。

と、救急車は、穂香の前方で、道を曲がって行ってしまいました。


視界からいなくなり、音も小さくなっていく救急車を探しています。

ちっぷ君も、必死で探す穂香に、何事かとあたりを見回します。



少しして、曲がっていった救急車がサイレンをあげて戻ってきました。

見つめる穂香。遠くの小さい赤い光が救急車のライトです。


いよいよ近づいてきました。


1番近づいたとき、穂香は一生懸命「クオーン、クオーン」と、救急車を呼んでみました。



救急車のサイレンにかき消されて、穂香の声はちっぷ君にも聞こえませんでした。

小さくなるサイレンとライトを穂香はしばらくじっと見ていました。