アテンションプリーズ  |д゚)ノ

今回のお話の冒頭の方は、桃色(ももしょく)が強いかもしれません。表現が露骨と言いますか。ぽてとは完全に感覚がとち狂っていますので、通常記事であげています。そのせいで不愉快な想いをされた方がいたらすみません。
内容を修正する予定はございませんでして、なので、もし目障りに感じる方がみえれば、限定記事に変更しますのでお知らせくださいまし(*ノд`*)σ

         8月4日(金)18時台    前置きを追加



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「……………………ん…………。」

キョーコはゆっくりと瞼を開いた。

身体が怠い。

「っあ!」

キョーコは唐突に、ここが蓮の寝室であること、自分が昨夜どうなってしまったかということを思い出す。時計を見ると、7時。驚いて体を起こそうとした。しかし、

「いっ!」

身体のあちらこちらが痛い。脚の付け根も、大腿四頭筋も。特に、どう考えても破廉恥でしかない個所が鈍く痛い。

なんてことなの、と狼狽したまま、なんとか落ち着きたくてぐるりと部屋を見回した。

「……あれ……………………?」

その痛みをキョーコにもたらした原因となった存在が、ベッドの中にも寝室の中にも見当たらない。


ゆうべのこと。蓮は達したあとに、殊更ゆっくりとキョーコの中から己を引き抜いた。

その後、キョーコは初めての痛みと甘さと羞恥の中にあって、しばらく優しく抱き締めてくれるあたたかな胸板に嬉しくて体を預けていた。このまま意識を手放したら気持ち良さそうだなと、キョーコはホンワカとしていたが、そんなキョーコの上に、蓮は再びのし掛かった。驚きながら、蓮を押し返した。「今夜は、もう。」とか「無理、です。」とか言った。でもその存在は、再びキョーコの中に侵入し、「ごめんね」とか「愛してる」とか「たまらない」とかそんな言葉を繰り返し繰り返しキョーコに浴びせた。結局、キョーコの意識が暗転するまで蓮は止まらなかった。

キョーコは、シーツに沈んだままで、ぼうっと考えた。蓮の手は、優しかった。2回目は、キョーコは拒否の言葉を口にはしたし、体を押し戻そうとしたりと抵抗はしたが、結局本当に抵抗していなかったのだと自覚している。あの蓮乃助の、可愛いらしい「お願いお願いお願いったらお願い、もう1回だけ、ね?キョーコちゃん、クーンクーン」という、大型犬を彷彿とさせる愛くるしいカオにほだされたのだ。

「はふっ、それにしても怠い…」

「ごめん。」

申し訳なさそうに、小さくなった蓮がドアのところに立っている。

「…るがさんっ!ったぁ〰」

蓮に驚いて勢いよく起き上がったキョーコは、しかし、軋む体に驚いて再び寝転がった。

「ごめん、ごめんね。」

「いえ、えへへ。体力と体の柔らかさには自信があったんですけど…………。」

慌てて駆けよる蓮に、キョーコは、恥ずかしそうに答えた。

「……ん。キョーコちゃんは、体力あるし、体も…十分柔らかかったよ。」

二人して、なんだか甘酸っぱい空気に照れ笑いをこぼす。

そのあと、昨日の夕食と共にキョーコが作っておいた朝ごはんを蓮が温め、二人でベッドサイドで食べた。

食後、蓮は、キョーコちゃんはゆっくりしていって、と言い残して、仕事のためにマンションを出ていった。




キョーコは、蓮の気配が色濃く残るシーツに顔を埋めて、幸せだなあ、と思う。本当に、幸せだ。

それもこれも、防衛本能を働かせなかったおかげだろう。「蓮が欲しい、蓮の気持ちに応えたい」という衝動に従って、蓮を受け入れて良かったと、心底そう思い、夢の世界へ旅立った。


















ブレンド茶のCMの撮影の当日、キョーコはいささか緊張していた。真也はあの夜の電話以来、特にコンタクトを取ってこなかったため、あの電話の真意は不明なままだ。


キョーコと蓮の初めての朝のこと。蓮は言った。「キョーコちゃんと付き合っているのは俺だから、俺はキョーコちゃんを信じるだけなんだ。昨夜だって、不安だからって君を抱いたんじゃない。『今夜こそは』って決めていたからだよ。キョーコちゃんが好きで好きでたまらなかったから。」そう、幸せそうに言って、強く抱き締めてくれた。

そうだ、何を必要以上に構えることがある。

あの電話が、真也の気持ちの振幅による衝動的な行動だとしても、曲を作るために気持ちをアゲるための作為的な行動だとしても、それは自分には関係ない。どちらにしても、自分がとる行動は同じだ。

「私は敦賀さんが好きで、私は敦賀さんの恋人なんだもん。」

キョーコは小さく呟いて、撮影現場の野原へ足を踏み出した。









「久しぶりです。今日はよろしくお願いします。」
真也の挨拶は爽やかだった。先日の夜の電話の件には触れず、態度もごく普通。キョーコはホッとして、仕事に集中した。



真也はギター担当であるのに歌を歌えるのか、という密かなキョーコの疑問。それは光子から、実はHope発足時のボーカルは真也であったという情報で解消した。

真也の作曲・作詞、演奏と歌声は、クライアントの期待以上だった。爽やかな風のような歌声で、『始まったばかりの恋ごごろ』をテーマとした歌を歌っていた。キョーコも気持ちよく仕事をさせてもらい、解散時には真也に心から感謝の気持ちを持った。

キョーコと社は、それぞれに達成感と安心を胸に抱えて事務所への帰路についた。









「おかえり。お疲れ様。」

事務所の駐車場でキョーコと社を見つけた蓮は、パアッと音を立てて破顔すると、優雅ながらも瞬間移動か!?、なペースで二人に近付いた。

「あ、敦賀さんお疲れ様です。また社さんをいただいててすみませんでした。」

「ううん、『こういう時』のために社さんはいてくれてるんだから。」

「そうそう、『ああいう時』のために俺はいるんだからね。」

二人に含みのある言い回しで諭されて少し恥ずかしくなるキョーコ。

「そんな心配されるようなこと、何も無かったですよ。ね、社さん。」

「あ……うん、大丈夫だったね。」

「…………そうですか、ありがとうございました。」

安心したように愛好を崩す蓮。

キョーコは、自分が蓮の女性関係のことでモヤモヤするのは当然だが、逆に蓮がヤキモキするだなんて嘘みたいだと信じられない気持ちでいっぱいだった。でも、ちゃんと想われてるんだと嬉しくもあり、蓮が不安にならないように気を付けようと思うのだった。







夜。蓮と夕食を共にするために事務所で待っていたキョーコ。蓮が駐車場に着いたというメールを受けて、駐車場に向かって1階のロビー前を歩いていた。そこに、「キョーコさん。」という声がかかりふと振り向くと、なんと真也が立っていた。

「…………っ。」
驚きのために声が出せないキョーコ。

近付いてきた真也は、「こんばんは。先程ぶりです。」と緊張した面持ちで声をかけてきた。

「あ、はいっ、えと、先程ぶりです。」
ぺこりっとキョーコも挨拶をする。まさかまさかまさかこんなところまでいらっしゃるなんて、まさかまさかまさか、とキョーコは、相当動揺してしまう。ここには蓮がいるのだ。って、いやいや。真也の用件は実は大したことではないかもしれない。『私がこんな風に構えること事態が、自意識過剰なのよ!』となんとか自分を落ち着かせようとする。

「ごめんなさい。こんなところまで押し掛けてきて。」

「え!いえ、いえ…………でも、あの………?」

「今夜…………時間、ありますか?」

真也のこの言葉に、キョーコの全身に緊張が走る。

「え、と。…………すみません、このあと…………予定が」

真也の真意は掴めないけれど、とにかく今はすぐに終わりにさせて駐車場で待つ蓮のところへ向かいたい、と焦りだすキョーコ。この言葉で真也が一旦引いてくれたらいいと願って、真也から目線を外した。しかし、

「…………そうですか…………じゃあ、」

キョーコの視界の端、駐車場への入り口が開いて、蓮が出てくるのが見えた。

「じゃあ、今、どうしても言いたいことがあるんです。ほんの少しだけでいいんです。二人きりになれませんか。」

「二人きり、に…………?」

「はい……。多分、キョーコさんのために…………その方がいいと思います。俺は…………俺の問題ですから、周りからどうと言われても構いませんが。」

真也の表情は真剣そのもので、とてもすぐに引いてくれる感じではなくなった。キョーコは、どうしていいかわからなくなって、でも、たしかに周囲の目線がチラホラとこちらを見だしたことも気になってきて、ぐっと口を結ぶと、「ではこちらに。」と非常階段に案内した。










「あ、の……ここでも?」

誘導した真也に振り返って対峙する。キョーコの緊張はピークだった。蓮は間違いなく自分達を見ていただろう。これから一体どうなってしまうのか…………。

「はい、ありがとうございます。」
スウッと息を吸った真也は、真っ直ぐにキョーコに、向き合った。

「キョーコさん、俺、キョーコさんのことを好きになりました。お付き合いしていただけませんか?」

「…………、」

「突然すみません。どうしても直接お顔を見て言いたくて。」

「……………………ぁ、の」

「色々考えました。ご迷惑にならないようにって。俺達の業界では恋愛はリスキーです。特にあなたのような売り出し中の女性には。だから、あなたに近付くなら責任を取りたい。ちゃんとしたいんです。気持ちを押し付けるつもりはありません。でも……………もう、ただ想うだけなんて無理で、寝ても覚めてもあなたのことを考えてしまって、あなたの声が聞きたくてあなたの笑顔を見たくて「ま、ま、待ってくださいっ」」

「………あ、はい…………えと、すみません。」

「あ、いえ、その、あ、ありがとうございます。こん、なところまできていただいて。……でも、あの、」

「歌を、久しぶりに歌いました。」

「…………あ、はい。」

「楽しかった。」

確かに、撮影中の真也はものすごく楽しそうで、気持ち良さそうで。

「あなたのことを想って歌いました。……歌を歌うのは好きですが、今のHopeのボーカルには敵わないとその席を譲りました。でも、久しぶりに、歌を歌うことは…………誰かを想って歌うことは、本当に楽しいと、嬉しいことなんだと思いました。…………あなたのおかげです。」

真也の言葉は真っ直ぐにキョーコに届いた。本気なんだろうと感じた。

ちゃんと応えなければ、と思った。

「僕は、またソロで活動してみたいとも思いました。…………あなたを想って歌を作って、あなたを想って歌を歌「ごめんなさい!」」

「え………、」

「ごめんなさい!気持ちはすごくありがたいのですが、あの、そのっ、お応えできません……っ。」

「……………わかってます、こちらも突然なので、キョーコさんからしたら「いえ、真也さんがどう、ではなく、私の問題なんです。」」

「……………………。…………誰か…………いらっしゃるんですか……………………?」

「……………………はい。大切な、方なんです。…………その人のこと、しか考えられないんです。だから……」

「そ、うですか……………………はぁ〰そうですか、まあ、あなたみたいに素敵な方なら、当たり前かも……ですけど…………そうか…………。」

「「………………………………。」」

キョーコは暫く沈黙に耐えた。蓮は、どうしているのだろうかと思う。早く、蓮のところへ戻りたかった。無性に抱き締めてほしくて。あの大好きな匂いを嗅ぎたかった。

「僕は…………その、ごめんなさい。今すぐにあなたを諦めると約束はできません。でも、あなたを苦しませることは、絶対にしないと約束しますから、でも、だから………………。今日は、ありがとうございました。」

「、い、いえ……………………」

「僕、行きます。きっと、光子さんが駐車場でヤキモキしてる。ははっ。やけ酒に付き合ってもらわないと。」

キョーコは、深く頭を下げた。真也は、一瞬躊躇した雰囲気で、しかし「じゃ。」とキョーコの頭を掠めるように撫でると、早足でロビーへ向かっていった。


その後、ゆっくりと頭を上げたキョーコ。「敦賀さん…」と小さく呟いて、蓮の姿を求めてロビーへ向かった。















「今夜は…泊まれる?」

レストランで夕食を済ませた2人が車に乗り込んだ時、蓮から言葉がかけられた。

真也に少し遅れて非常階段から出てきたキョーコに、極々普通の挨拶で接触してきた蓮。そしてその後も、真也のことには触れなかった。「キョーコのことを信じる」と言っていた蓮。だからこそ、その態度なのだろうとキョーコは思っていた。蓮はきちんと自身を律して、不安や疑問をキョーコにぶつけてこないのだろうと。

でも今の蓮は。

本当の本当は。

雄の本能を剥き出しの蓮の瞳の奥に、不安の気持ちが見え隠れしている。

「君を、抱きたい。」

囁くように、乞うようにそう言って。蓮の熱い熱い掌がキョーコの小さな手を包んだ。

初めて肌を合わせて以来のことになる睦言。またあんなに破廉恥で痛いことをする。あの行為を、手放しで受け入れられない感情がキョーコの中に存在するのも事実。でもキョーコは、今キョーコの中で一番強いもの………恋の衝動に従うことにした。蓮を安心させたい。そして、キョーコ自身も蓮と離れたくなかった。

キョーコはイエスと言う代わりに蓮の手を握り返す。

蓮の手が更に熱くなったように感じた。





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事実上、この話にて「本能VS本能」編は終了となります。次回が本当の最終話で、蓮君の非常階段のくだりの心理をφ(..)するくらいで、あとは、私のヘタクソな桃話と相成ります。致している時に、蓮君の『本能』を剥き出しで吐露してほしいなとぽてとが思ってしまって♡

当初は、告白し合った時点で終わりでもいいかな、と思っていたシリーズです。でも、言わせたいセリフ、使ってみたいシチュエーション、書いてみたい桃等を我慢できずに盛り込もうとした結果、このように続いてしまいました。難しいですねショボーン