母親は家にいるのか、それともいないのか。


居たら嫌だな。
なんて思いながら鍵を開けたあと家の中に入った。


家の中は物音一つせず静か。

母親は出かけたのかと安心し自分の部屋にあがった。


やっぱり自分の部屋は落ち着く。

家や両親は嫌いだけど、
それでも小さい頃から過ごしてきたこの部屋は、今泉さんの家より落ち着くものだ。


一息ついた私は、母親が帰ってくる前に学校に行きたかったから
シャワーを浴びた後、家を出て学校に向かった。








教室の中は授業中の為 静まっていた。


ガラガラ


当たり前だが、ドアの音で先生の声は止まり クラスメイトは私に視線を向けた。

もちろん渡辺梨加さんも。

唯一の救いは誰も声をかけないところだ。


席に座り授業を受け始めたが、どこからか視線を感じ

顔を上げると、真剣な表情で私を見つめる渡辺梨加さんがいた。


渡辺梨加さんとは朝に会って 色々とあったから、私だけかもしれないけど、何だか気まづくて

目を合わせていられなかった私は、
渡辺梨加さんの視線から、逃げるように顔を伏せた。



キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴り 授業が終わると


「渡邉理佐さん呼ばれてるよー」


クラスメイトが私にそう言った。


また今泉さんかな?


理:はぁ...。


溜息をつき、面倒と思いながらも廊下に出ると


そこに居たのは今泉さんではなく、

菅井友香さんだった...。



何故、私を嫌っているはずの菅井友香さんが
わざわざ私に会いに来たのだろう...。


というか、さっきから私を見る目つきがとても鋭く怖い...。


すると、ビクビクする私に菅井友香さんが話しかけてきた。