『単純な脳、複雑な「私」』 池谷裕二 著
脳トレという言葉が、流行ってから随分経ちますが、やはり脳はいつの時代でも、皆の関心を集める対象なのかもしれません。その背景には、脳を鍛えれば、なんか人生うまくいくのではないかという本能的なものがあるような気が致します。事実、右脳教育といったものに代表されるように、脳の潜在的な能力を次々と開発していくプロセスは楽しいものがあります。しかし、この脳の研究者によって書かれた一冊は、脳というのは、いかに単純で、ミスを連発しているのかがよくわかります。つまり、私たちが事実だと思っている事柄が、いかに事実と異なっているかということです。
実際に、今、目の前に見えている物事が全てであると、無意識的に感じていますが、視神経は勘違い連発の脳へと繋がっていますから、あなたが今ご覧になられている映像も、勘違いです。心は私という存在の気持ちを正直に映し出してくれているものだという意見もあるかもしれませんが、心もやはり脳と関係が深いため、あなたの今の気持ち、勘違いかもしれません(笑)
現代人は、見えているものが全て、よく思考されたものが全て、自分が一番大切にしている気持ちが全てと考える傾向にありますが、これらは全て勘違い多発の脳から生まれたものです。今、見えているものが全てではないかもしれない、考えも及ばないものがあるかもしれない、今の感情が絶対ではないかもしれないとわかりつつ、この愛おしい脳と一緒に、素敵な勘違いをしながら、生きて生きたいものですね。








