当今読書事情 7/16 『舞姫』『テンペスト』『ファウスト』
このところ、森鴎外の『舞姫』、シェイクスピアの『テンペスト』、ゲーテの『ファウスト』を続けざまに読んでいる。現代語訳 舞姫 (ちくま文庫)Amazon(アマゾン)95〜4,440円テンペスト―シェイクスピア全集〈8〉 (ちくま文庫)Amazon(アマゾン)232〜5,826円新訳決定版 ファウスト 文庫版 全2巻完結セット (集英社文庫ヘリテージ)Amazon(アマゾン)1,780〜4,116円名作はポール・ヴァレリーの『エウパリノス 魂の舞踏 期についての対話』を読もうとして難解過ぎて手に負えなくて以来、苦手意識を持っていたのだけど多読ジムの課題図書リストに挙がっていたので、意を決して読んでみた。『舞姫』は今でいう現地妻を帰郷する際に捨ててくるという話で、とまとめてしまうと身もふたもないのだが解説によると公的な自分(外で仕事をする自分)と私的な自分(家庭で家族を思いやる自分)に引き裂かれた自我が、その悲劇性の中に隠れている、ということだった。読んでいるときには皮相的な内容に終止していたが、新ベルリンと古ベルリンがそれぞれ公的な自分と私的な自分に対応しており、新しく整然とした街と古く猥雑な街の対応関係で読んでいけるという名作だから深読みできるのか、深読みされてきたから名作なのか、判然としない所ではあるがそういう読みに耐えられる作品ではあろう。私自身は主人公の境遇に共感できるところがなく、ただ他人に強く頼まれたらノーと言えず状況に流されてしまうところは似ていなくもない。ただ、中村天風に私淑している身としては運命を拓く (講談社文庫)Amazon(アマゾン)649円人の強さと「真」と「善」と「美」のみに心を向けていたいので、自らの弱さに心を向けて楽しむ、という楽しみ方はしなかった。近代文学は突き詰めるとそういうSM趣味だとおもっている。『テンペスト』は終始コミカルに綴られる復讐劇で、元ミラノ大公のプロスペローが自らの地位を簒奪した弟とその協力者であるナポリ王一行を魔術で懲らしめ、ナポリ王の息子であるファーディナンドと自分の娘ミランダを結婚させて和解する、というあらすじ。松岡正剛氏は千夜千冊600夜の中で松岡正剛の千夜千冊ときどき「なぜやらなかったの、せっかくだったのにもったいない」と言われることがおこる。仕事でも出品でも、旅行 … Continue reading →1000ya.isis.ne.jp「喜劇の中の悲劇の出現」「変化するものの本質とは何かということをめぐっての、まったく新しい方法の提示」を読み取っていて流石に私はそこまで言語化できないものの、復讐劇を言葉遊び巧みなこの楽しい戯曲で描くシェイクスピアの技法にはほれぼれする。『ファウスト』についてはまだ第一部が読み終わったところなので明日に回すことにするが敬遠していた名作が普通の小説のように読めるのだなと、少し名作への警戒を解くことができた。