再説「戦略的思考」なくして、日本人映画監督はメジャーな国際舞台に躍り出られない。
[2026・10・2・金曜日]
先日、――「戦略的思考」なくして、日本人学者はケンブリッジ出版局から学術書は出せないようです?[2026・9・30・水曜日]--というブログを書きました。
1992年生まれの向山直佑氏の『英語で本を出したくて』(東京大学出版会)のブックレビューで、彼が、Fueling Sovereignty: Colonial Oil and the Creation of Unlikely States (Cambridge University Press)というケンブリッジ大学出版局から出した自著・英語書の刊行をめぐる「ドタバタ悲喜劇」を綴っている本です。
そして、それを日本で「翻訳」(?)して出した経緯も詳述されています。日本語版は東大出版会からではなく慶應義塾大学出版会から出ています。『石油が国家を作るとき――天然資源と脱植民地化』。もちろん、私はどちらも読んでいません。
学術書を英国で刊行するにあたっての英国独自のシステムというか、「掟」の数々が暴露もされています。そこに文化の違い等々を感じることも著者にはあったようです。
======================
向山さんと似たような海外体験をしているのが、1952年生まれの映画監督として内外で活躍している、すずきじゅんいち氏です。彼の『世界で日本映画を売る方法 世界の製作現場を熟知する監督の提言』(言視舎)を読みました。
こちらは日本人の映画監督が、国際社会に通用する映画をいかにして作り、そして世界に売り込んでいくべきかを自らの映画監督としての体験をまじえて訴えている本でした。
東大出身で日活に入り、ロマンポルノ映画を作ったこともあり、また、『東洋宮武が覗いた時代(兼企画、脚本 2008年、日米合作)』『442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍(兼企画、脚本 2010年、日米合作』『二つの祖国で 日系陸軍情報部(兼企画、脚本 2012年、日米合作)』など、国際的視野のドキュメンタリー映画なども作っていることもあり、外国人俳優の起用(ギャラ)や外国の配給会社等々との交渉もベテラン。
さまざまなトラブルなどの実体験をふまえながら、日本映画界の現状に対して大胆に進むべき指針を提示しています。
======================
すずきさんが入社してまもない日活は「共産党系の組合が実質的に支配している会社」だったそうです。でも映画不況で生き残るために、ピンク映画とは一味違う「エロ映画を率先して製作する方向にカジを切るという革命的な(!?)大変革が行われた」そうです。すずきさんも(当時は鈴木潤一名義)何作か作ったとのこと。
日活ロマンポルノ映画は高校生の時から(?)お世話になった記憶がありますが、東てる美さん(泉じゅん……)以外は、今日のアダルト女優のレベルから見ると、話にならないレベルの女優が多かったというしかありません。
「昔はよかった」といった安易な昭和礼賛がありますが、この分野に関しては、今のほうがいい?
======================
さておき、言葉の壁もあり、日本映画の世界進出に関しては、アニメがまずは先兵となっているようです。それ以外は日米合作?
「最近は外国との合作なども増えてきたようで結構なことだと思う。繰り返すが、実際は困難は多々あるだろうが、白人の英語圏の国と合作する努力は不可欠」
「カナダやオーストラリアでは、合作映画に対して、一定の条件を満たすと、政府から税制上のメリットや報奨金的なお金が出るという制度がある。日本はたしか、この両国とこの協定を結んでいると思うが、なかなか実現していない」
「映画会社自体の体力がなくなっている日本映画の現状では、国家の援助は確実に必要になってきている」
======================
映画も劇場で見るのは年に数回程度。邦画より洋画が多い。映画館で見た邦画は最近だと『雪風 YUKIKAZE』や『免許返納!?』ぐらい。映画業界の現状についても何も知らない一読者ですが、向山さんの本と同じく「業界内の掟」の数々を学んだ次第です。
では、ごきげんよう(本欄で紹介した作品に御関心のある方は、ブログの文中の作品のリンクをクリックして註文してみてください)。
書評掲載URL : https://ameblo.jp/honbookmagazine





















