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こんにちは
関東もそろそろ梅雨入りをしそうですね。
ここ何年かは,梅雨らしい梅雨がなかったように思いますが,今年はどうでしょうか。
たまには,気持ちよさそうに雨に打たれるアマガエルの姿を見てみたいものです。
さて,弁護士を何年か続けていると,必ずと言っていいほど,もめた相続の案件にめぐり合います。
その中でも,しばしば原因となる「使途不明金」について取り上げたいと思います。
お亡くなりになられた方(被相続人)の預貯金通帳を調べてみると,しばしば「使い道の不明な現金引出し」が見つかります。
相続人の誰かが,被相続人と同居していたり,通帳を管理していたりすると,「その相続人が使い込んだのではないか」と他の相続人としては疑いたくなるものです。
ここでは,その是非は置いておいて,このような使途不明金問題が,実際の遺産分割協議でどのように扱われるか見てみましょう。
まずご理解いただきたいのは,「使途不明金の問題は,実は遺産分割とは無関係である」ということです。
相続人の誰かが「使い込んだ」というのは,言いかえると「権利もないのに,勝手に遺産を使ってしまった」ということになります。
このような場合は,預貯金を使い込んだ時期が被相続人の生前であれば,
①被相続人が,使い込んだ相続人に対して不当利得返還請求権(または不法行為に基づく損害賠償請求権)を取得した
ということになります。
預貯金以外の金銭的請求権は,被相続人が亡くなったと同時に,民法で決められた相続分に従って,各相続人に当然に分割されてしまいます。
当然に分割が終わってしまうので,遺産分割「協議」の対象にはならなくなってしまうのです。
次に,被相続人が亡くなった後に預貯金が使い込まれた場合は,
②各相続人が,民法で決められた相続分に従った割合で,使い込んだ相続人に対して不当利得返還請求権(または不法行為に基づく損害賠償請求権)を取得した
ということになります。
この場合も,各相続人と,使い込んだ相続人との間の問題になるので,やはり遺産分割協議の対象にはならなくなります。
①も②も,法律的にきっちり片をつけようとすると,使い込んだ(と思われる)相続人に対して,民事裁判で「不当利得返還請求」「損害賠償請求」をすることになります。
ただ,「○○が使い込んだ」と主張するためには,主張する人が次のような点を証明する必要があります。
a:口座からの使途不明な現金引出しを,その相続人が行ったこと
b:引き出された現金を,相続人が被相続人とは無関係に使ってしまったこと
aについては,被相続人のご生前の出金であれば,
病院や老人施設の看護記録,カルテ,市町村の介護認定記録を取寄せて,その当時の被相続人が引き出すことが事実上困難であること,当時の預貯金通帳を問題の相続人が管理していたこと,を証明することになろうかと思います。
亡くなられた後の出金であれば,被相続人が引き出す訳がありませんから,「その相続人だけが通帳類を管理していた」ことを証明すればたりるでしょう。
bについては,相続開始後の出金であれば,「問題の相続人が引き出したこと」を立証できていればそれほど問題ないかもしれません。むしろ,請求された側が,しっかりと「これこれに使った」と説明することが求められると言えます。
他方で,被相続人のご生前の出金の場合には,かなり直接的に「問題の相続人が,被相続人とは無関係に使った」ことを証明する必要があると思われます。当時の被相続人の生活状況や,前後の通帳の取引内容を詳細に立証することになるかと思われますが,非常にハードルが高いのが現状です。
そうすると,被相続人のご生前の出金の場合は,よほどの証拠がない限りは,使途不明金の問題を大きく取り上げようとするのは避けたほうが無難でしょう。
むしろ,使途不明金の問題を取り上げた為に,相続人全員の気持ちがもつれ合ってしまい,遺産分割協議までもが長期化してしまうことが多々あります。
どうしても使途不明金の問題が気になる場合には,遺産分割協議に入る前に,専門家に相談してみるといいでしょう。
いきなり弁護士の事務所で相談することに抵抗があれば,市役所などの無料相談を利用するのもよろしいかと思います。
以上,ご参考になれば。