ユニマインド -230ページ目

不意打ちの幸せ



 手品師の方と、約一時間ふたりっきりで時間つぶしをするハメになりました。



 どう時間つぶしをしたらいいのか、正直めちゃくちゃ困った・・・。




 仕事では和やかでも、そこはプロ、ちゃんとしたプライドをもって仕事をしているんだから


 その場限りの会話なんて長続きするわけがない。



 実際、最初の15分はまったく会話にならなかった・・・。





 ただ。




 ちょっとした会話の流れから


 伝統のある、本格的な、カードマジックを



 ワタシ一人のために



 披露してくれた。




 それは、やはり素晴らしくて


 いつの間に何がどうなっているのかわからぬままに、目の前で繰り広げらる手品に驚くばかり。




 そして。




 それ以上に、とても感動したのが・・・


 ワタシの大好きな作家であり、手品師であり、紋章上絵士であった泡坂妻夫さんの話。



「手品といえば、ワタシにとって泡坂さんの小説の中でしか身近じゃなかったんです・・・」と話したことが切っ掛けだったんですが


 その方が、泡坂さんに直接会ったことがあること、その時の出来事や感情、そしてこうして手品師としていることの原点であることなど


 初めて会ったにもかかわらず、盛り上がる盛り上がる・・・。



 あの小説が、あの手品って・・・と、それまで会話にならなかったとは思えないくらい


 二人で盛り上がってしまいました。





 たくさん話して、たくさん笑って



 最後に手品師の方が



「泡坂さんの話ができて、本当に楽しかったし、勢いでなんでもできたあの頃を思い出すこともできた。


 忘れていたことを思い出せて、嬉しかった。


 そして、あの頃のように、今、めちゃくちゃ高揚した気分になれた。ありがとう」


 と言われたんですが



 それは、ワタシにも当てはまる。



 泡坂さんの本は、ワタシが若いころでさえ手に入らないものが多くて苦心惨憺して集めたものが多い。



 あの頃の、『何が何でも読んでみたい』という勢いはどこへ消えたんだろう。


 あの頃の、無理矢理でも時間を作って読んでいたワタシはどこへ行ったんだろう。




 あの頃を思い出すと同時に、あの頃のようにもう一度のめり込める何かを探したい・・・そう思った。






 まずは、泡坂さんの小説の中でも手品の魅力があふれている


『11枚のトランプ』 と 『しあわせの書』 を読み返してみよう。