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『 棚からティラミス 』

棚からティラミスは99%の実話と、
皆さんの1%の幻想で完成されるブログです。   



一九八二年、僕は中学一年生で野球
部に所属していた。
一年生はジャージに着替えてグラウ
ンド整備をしなければならない。


そこへ、同部員の竹中君が息を切ら
せて走り込んできた。「た、大変や」

竹中君は机に散らばった小銭を寄せ
る仕草で我々を集めると、初来日を
果たしたバンドのMCのように、
「オハギ…ナシデ…シャシン…!」
とカタコトで言った。

要領を得ないので竹中君の話を要約
すると、こういうことである。


ジャージを忘れたので終業後、家へ
取りに戻った。
自分の部屋は大学生になる兄貴との
共同使用になっている。
兄貴の机に写真雑誌が置かれていた。
悪戯心にページを捲るとそこに、金
星人のおはぎが「■」無しで載って
いた、というのだ。


当時、我々の年齢は十三歳。
宮沢りえの写真集が発売されるのは、
それから九年後のことである。



< ※ 資料画像 >


部員の一人が鼻息も荒く竹中君に訊
いた。「で、おはぎの姿はっ!?」

我々も人類史上初、金星人とのコン
タクトに成功した英雄を見つめた。


竹中君は顎をさすって首を傾げると、
絞るようにゆっくりと答えた。
「半分に切った…リンゴの……断面
………」



それから数年を経て僕は地球人のお
はぎとご対面する訳だが、
「竹中君は芸術家だな」と感心した。



桜田淳子 /
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