名張毒ブドウ酒事件と「獄門島」 名古屋高裁で「再審決定取り消し」が出た。それとあわせるかのように、昨日、新風舎文庫の「名張毒ブドウ酒殺人事件6人目の犠牲者」がとどいた。 きょう、明屋書店に行ってうけとってきた。パラパラと読む。それを読みながら、脳裏に浮かんだのは、横溝正史の「獄門島」だった。 獄門島。瀬戸内海の孤島で起きた、三つの俳句をなぞった三つの殺人事件。犯人はそれぞれ島の人間だったのだが、その背景には島の封建的で閉鎖的な人間関係があり、それこそが「真犯人」だったというお話。 この「名張毒ぶどう酒事件」のおきた葛尾という部落が、獄門島にオーバーラップして仕方なかった。閉鎖的な表面的には「仲良し部落」で発生した、凶悪な大量殺人事件。住民たちは警察と検察の取り調べのなかで、シナリオにあわせて供述を変える…。 そしてスケープゴートに奥西氏をして、また元の表面的「仲良し部落」を再生させようとしている。どんな真実が突きつけられても、供述にどんな矛盾点が突きつけられても、真実よりは「和」をとりもどすことが優先される…。だが、それはファシズムではないか。 文庫版の「解説」で鳥越俊太郎氏が次のように結んでいる。 -----(引用開始)------ 名古屋高検の異議申し立てを受け、2005年6月現在、名古屋高裁の別の裁判官により審議が行なわれているが、再審決定が示した「合理的な疑い」の力強い指摘を覆すことは困難だと私は考える。これが覆るようでは日本の司法は死んだ、と言われても仕方ないのではないだろうか。 -----(引用終了)------ 2006年12月26日。日本の司法は死んだ。だが、蘇生に向けたたたかいはつづく。そして日本を葛尾部落のようにしないために、たたかいはつづけなければならないのだ。 -------------- 新風舎文庫が、時間はかかったが、明屋書店ルートでも手に入ることがわかった。ぜひ「名張毒ぶどう酒殺人事件6人目の犠牲者」は手に入れて読んでほしいと思う。 -------------- ================================================== ≪関連投稿≫ 「名張毒ぶどう酒」事件に思う(土佐高知の雑記帳)【冤罪ある限り死刑制度はただちに廃止し、終身刑を導入すべき】 http://www.asyura2.com/0610/nihon21/msg/424.html 投稿者 gataro 日時 2006 年 11 月 27 日 22:13:56: KbIx4LOvH6Ccw