特集1:大阪府北部地震
 2018年6月18日、大阪府北部を震源とするM6.1、最大震度6弱の地震が発生しました。
その後、余震も発生しています。ご注意ください。
6月6日号では、「全国的に週間高さ変動と水平変動が静穏です。大きな地震の前には、静穏になることがありますのでご注意ください」と述べておりましたが、大阪府北部を特定するには至りませんでした。 

今週月曜日に公開されたデータで解析した週間高さ変動では、京都府京都加茂で4.8cm、兵庫県宝塚で4.1cm、 4cmにわずかに届かなったですが大阪府の箕面(みのお)でほぼ4cmの週間高さ変動がありました。
最終解(F3)データは2週間遅れで公開されますので、今回の大阪府北部地震の予測に間に合わなかったですが、 前兆だったと言えます。
下図のように3.5cm以上でプロットしてみるとより多くの点が大阪周辺につきます。 おそらくこれが前兆であったと解釈します。 
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2.特集2:群馬県南部地震
 2018年6月17日、群馬県南部を震源とするM4.6、最大震度5弱の地震が発生しました。
引き続きご注意ください。 

震源の西にあるS浅間山1と群馬の電子基準点の高さの格差が最近急激に4cmまで拡大しておりました(下図参照)。 この2点間にかなりのひずみが貯まっていたと考えられ、これが引き金になったと解釈します。 
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 速報解(R3データ)で最新の情報を調べますと、群馬県の水上でこの1ヵ月で急激な隆起の異常変動が起きていました(図参照)。 
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3.特集3:千葉県の異常変動
 2018年6月12日に千葉県東方沖で震度3の地震が起きた時、政府の地震調査委員会が千葉県でスロースリップが起きていたと発表し、 その後千葉県南部で小地震が頻発したので何人かの会員から質問が寄せられました。 多くの会員の皆様も関心と心配をしておられると思い、JESEAとしての見解を説明いたします。
・JESEAの地震予測は電子基準点の数量的な変動解析から、科学的根拠に基づいて 異常があれば地震発生の可能性が高いと判断してきました。
・千葉県の最近の高さ変動を調べますと、銚子に近い干潟で最近異常な沈降を示しています(図参照)。 千葉県中央部の沈降も注目しています。沈降は地震発生に繋がる誘因になるのが過去の事例で学習してきたところです。
・水平変動は、最新の速報解(R3データ)で解析した結果、千葉県で一斉に南東方向の水平変動が見られ、 明らかに異常事態と言えます(図の点線の丸参照)。特に千葉県南部の市原2と千葉大原の水平変動が大きいです。
・今後大きな地震に繋がるか否かは来週以降の変動を監視しなければわかりませんが、警戒を怠らないでください。 
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4.地震予測
北海道・青森県
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要警戒:北海道釧路・根室・えりも周辺
(8月ごろまで警戒) 

釧路沖で小地震が起きています。
釧路・根室周辺は沈降がさらに進み、とても不安定な状態です。 北海道全体では隆起と沈降がまだら模様になっており、以前と比べて不安定になっています。 

要注意:北海道道南・青森県
(6月ごろまで注意) 

全体的に沈降しました。
青森県南部の沈降が進みました。緑色の隆起と青色の沈降の境界部がはっきり出ています。 ひずみが貯まっていますので不安定です。


東北地方・北関東
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要警戒:東北・北関東の太平洋岸、奥羽山脈周辺
(7月ごろまで警戒) 

岩手県沖、宮城県沖で小地震が起きています。
奥羽山脈の隆起と沈降の分布を見てみますと、福島県南西部の隆起と沈降の境目周辺にひずみが貯まっています。 
東北地方全県で東南東および東方向の水平変動が活発です。 水平変動が途切れる岩手県および福島県にはひずみが貯まっています。


南関東・北信越地方・中部地方
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要警戒:南関東周辺
(8月ごろまで警戒) 

6月16日に千葉県南部を震源とする地震(M4.5、震度4)が発生しました。
静岡県西部で震度3の地震が起きました。
千葉県北西部、千葉県南東沖で小地震が起きています。
テレビ・新聞等でスロースリップが話題になっていますが、スローおよびスリップを どのような観測装置でどのような数値として観測されてスロースリップと定義しているかは明瞭でなくコメントできないです。 が、JESEA国土地理院の電子基準点(最新の速報解:R3データ)に現れた千葉県の異常変動は 水平変動を見ますと一目瞭然で千葉県に南東方向の水平変動が集中しているのが分かります(特集3の図参照)。 現在は小地震が頻発している状態ですが今後大きな地震が起きる可能性は否定できませんので警戒を怠らないでください。
東京都の伊豆諸島の三宅3で4.3cmの週間高さ変動がありました。
この地域は全体的に沈降しました。千葉県の干潟で急激な沈降が見られます。 駿河湾沿いは沈降が進みました。 ひずみが貯まっていると考えられます。 

要注意:北信越地方・岐阜県
(8月ごろまで注意) 

6月17日に群馬県南部で震度5弱の地震が起きました(特集2参照)。
長野県中部で小地震が起きています。
岐阜県の板取で4.3cm、藤橋で4.2cm、福井県の和泉で4.6cmの週間高さ変動がありました。
福島県南西部の沈降が進みました。 栃木県の群馬県との県境周辺に沈降が拡大していますが、今回の群馬県南部地震の誘因になった可能性があります。 隆起と沈降がまだら模様になっているエリアが見られます。不安定です。


近畿地方・中国地方・四国
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要注意:南海・東南海地方
(6月ごろまで注意) 

6月18日に大阪府北部地震(震度6弱)が起きました(特集1参照)。
紀伊水道で小地震が起きています。
徳島県徳島勝浦で5cm、京都府京都加茂で4.8cm、奈良県下北山で4.1cm、兵庫県宝塚で4.1cm、 4cmにわずかに届かなったですが大阪府の箕面(みのお)でほぼ4cmの週間高さ変動がありました。
この地域は今回特に大きく沈降しました。 和歌山県の紀伊半島南端の潮岬周辺は沈降が進みました。ひずみが貯まっています。 高知県土佐湾のやや西に面している中土佐1はこの2か月で3cmも沈降しています。 不安定でひずみが貯まっています。
室戸岬で西方向の水平変動が見られます。 

要注視:鳥取県・島根県周辺
(7月ごろまで注視) 

この地域は沈降が進みました。 島根県隠岐の島にある五箇および島根県西部地震の震源近くの大田は沈降が続いていて不安定です。 中国地方は沈降と隆起がまだら模様です。