特集:長野県北部地震
 2018年5月25日、長野県北部を震源とするM5.2、最大震度5強の地震が発生しました。
その後、余震も発生しています。ご注意ください。
震源は新潟県との県境に近く、東日本大震災直後の2011年3月12日に長野県栄村を襲った 新潟県中越地方地震(M6.6、震度6強)とほぼ同じ場所でした
一方5月12日に起きた長野県北部地震(M5.2、震度5弱)の震源は富山県との県境近くでしたので 今回の地震とは位置が異なります。 

前回の長野県北部地震の特集で示した2月14日号の北信越における一斉高さ変動を見ますと 二つのグループに分かれています(図1黄色の点線枠)。
前回の長野県北部地震は南西側で起きているのに対し、今回の地震は北東側で起きていることが分かります。 
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 前回の特集でも掲載いたしました茅野に設置してあるPv観測点(プライベート電子観測点)は、 異常変動を示したものの閾値以下の値でした(図2矢印参照)。 この理由は、今回大きく揺れた地域は茅野から遠く、約110km(前回の地震では約65km)で 今回、茅野は震度1(前回の地震では震度2)であったことなどによるものと考えております。 
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2.地震予測
北海道・青森県
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要注意:北海道釧路・根室周辺
(7月ごろまで注意) 

釧路・根室周辺は沈降しており、極めて不安定な状態です。 北海道全体では隆起と沈降がまだら模様になっており、以前と比べて不安定になっています。 

要注意:北海道道南・えりも・青森県
(6月ごろまで注意) 

全体的に隆起しました。
その中で奥尻島の沈降が進んでいます。 緑色の隆起と青色の沈降の境目にはひずみが貯まっています。
えりものPv観測点に異常が続いています。


東北地方・北関東
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要警戒:東北・北関東の太平洋岸、奥羽山脈周辺
(7月ごろまで警戒) 

福島県沖、宮城県沖で小地震が起きています。
奥羽山脈の隆起と沈降の分布を見てみますと、山形県南部および福島県北西部の隆起と沈降の境目周辺にひずみが貯まっています。 この周辺は地滑りと地割れが進行していますので不安定です。
東北地方全県で南東の水平変動が活発です。


南関東・北信越地方・中部地方
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要警戒:南関東周辺
(8月ごろまで警戒) 

茨城県沖で小地震が起きています。
4cm超の週間高さ変動があった点は、南鳥島の8.0cmです。 南鳥島は太平洋プレートにありますので太平洋地域で大きな地震が起きる可能性が高いです。
この地域は全体的に隆起しましたが、静岡県の天城湯ヶ島のみ沈降しており、不安定です。
山梨県、神奈川県および静岡県東部に南東の水平変動が見られます。 茨城県南部および千葉県北部も南東の水平変動が活発です。
世田谷および小田原のPv観測点で5月19日に異常が発生しています。 小田原のPv観測点は5月6日にも異常が発生していました。
警戒を怠らないでください。 

要警戒:北信越地方・岐阜県
(5月ごろまで警戒) 

5月25日に長野県北部を震源とする地震(M5.2、震度5強)が発生しました。(特集参照)
新潟県中越地方で小地震が起きています。
4cm超の週間高さ変動があった点は、長野県の白馬で4.7cmです。


近畿地方・中国地方・四国
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要注意:南海・東南海地方
(6月ごろまで注意) 

紀伊水道、和歌山県北部、徳島県南部で小地震が起きています。
四国は全般的に隆起しています。
紀伊半島の南端および淡路島周辺には南東方向の水平変動が見られます。 

要注視:鳥取県・島根県周辺
(7月ごろまで注視) 

島根県西部で小地震が起きています。
中国地方は隆起しています。 速報解(R3データ)によりますと島根県隠岐島にある五箇および大田は 4月9日に起きた島根県西部地震(震度5強)以降大きく沈降しました。
兵庫県および岡山県の内陸部から淡路島周辺まで南東の水平変動が活発です。


九州
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要注意:九州北部
(7月ごろまで注意) 

福岡県筑後地方、熊本県熊本地方、熊本県天草・芦北地方で小地震が起きています。
福岡県は長い間沈降をしていましたが、最近になって隆起に転じています。 過去のケースでは沈降から隆起に転じた後、少ししてから地震発生したことがあります。
大分県の大分国見は4月初めから約3cmの急激な隆起を続けています。この周辺はひずみが貯まっています。 

要警戒:九州南部
(6月ごろまで警戒) 

日向灘で震度3の地震が起きました。
この地域は全体的に隆起していますが、宮崎県南部の沈降はまだ大きいです。
桜島周辺の水平変動が活発です。この周辺にひずみが貯まっています。