◆ トランプが「貿易戦争」を宣言、米国倒産劇の裏側
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≪ 2018/03/05  VOL453 ≫


先週3月2日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が「貿易戦争」を明言し、
以下のツイートを立て続けに発信した。ただし、これは明らかに「アメリカの
デフォルトに伴う倒産交渉」を有利に進めるためのハッタリである

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When a country (USA) is losing many billions of dollars on trade with
virtually every country it does business with, trade wars are good, and easy
 to win. Example, when we are down $100 billion with a certain country and
they get cute, don’t trade anymore-we win big. It’s easy!

アメリカがほとんど全ての国との貿易で何十億ドルも損失を出しているのなら、
貿易戦争になっても構わない、楽勝だ。例えば、ある国との貿易でアメリカが
国が1千億ドルの損失があって、相手が調子に乗っているなら取引を停止する
まで。我々は大勝する。簡単ではないか!

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When a country Taxes our products coming in at, say, 50%, and we Tax the
 same product coming into our country at ZERO, not fair or smart. We will
soon be starting RECIPROCAL TAXES so that we will charge the same thing
as they charge us. $800 Billion Trade Deficit-have no choice!

ある国が我が国からの輸入品に50%を課税しているのに、我々は同じモノを
無課税で輸入している。これは不公平か、頭が悪いかのいずれかだ
我々は間もなく相互税(reciprocal tax)を開始し、相手国と同等の課税を開始
する。8千億ドルの貿易赤字があるのだから、仕方がない!

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【 貿易戦争 】

その手始めとして、トランプは今月1日に「鉄鋼」に25%、「アルミ」に10%の
関税を課すと断言している。「$800 Billion Trade Deficit-have no choice!(8千
億ドルの貿易赤字があるのだから、仕方がない!)」との言い分だが、この措置
はアメリカに対して最大の貿易黒字を持つ中国に対してよりも、カナダや日本
などのアメリカの同盟国に対して与えるダメージの方が遥かに大きい。

例えば、アメリカの鉄鋼製品の国別輸入量は、カナダが最も多く全体の約16%
(アルミは約41%)、また日本も7%を占めているのに対して、中国はわずか2%
を占めるのみ。ちなみに、この措置により大きくダメージを受けるのは、カナダ
の他にアメリカへの鉄鋼輸出量が多いブラジル(13%)、韓国(10.2%)である。
https://www.trade.gov/steel/countries/pdfs/2016/annual/imports-us.pdf
やはりトランプは、致命的な反撃を繰り出しかねない中国ではなく、アメリカ
より弱いと思われる国々をいじめて少しでも交渉で有利な立場に立とうとして
いるようだ。

しかし同じ政権内でも、ジェームズ・マティス国防長官は今回のトランプの対応
に対して「国防総省は、この措置による主要同盟国への悪影響を懸念している」
と、苦言を呈するメモを商務省に送っている。もちろん、カナダ、ドイツ、日本
など、同盟国の政府関係者からも、今回のトランプの発表を非難する声明が続々
と噴出している状況だ。
http://www.xinhuanet.com/english/2018-03/02/c_137009467.htm


この発表のタイミグを見る限り、間違いなく3月26日から開始される中国の
「金本位制人民元建て石油先物取引」を意識している。また、米議会が可決した
暫定予算(つなぎ予算)の期限が3月23日に切れることとも関係しているはず
だ。
基本的に、トランプの1つ目のツイートが言わんとしていることは「アメリカ
をもっと優遇しないと世界各国からモノを買ってあげないよ」ということ。
しかし、トランプの「貿易赤字を抱えている国の方が有利」という考え自体が
そもそも間違っている。

アメリカは、もう40年以上も巨額の貿易赤字を計上し続けている。世界中から
満杯に荷物を積んだ船がアメリカに向かうけれども、帰る船は空っぽの状態。
しかも、「世界から商品を受け取っても、その代金を支払わずに紙切れ(米国債)
を大量に渡すだけ」という行為を、ずっと続けてきたのだ。

常識的に考えると「何十年もツケで買い物をし続け、いつまでたっても代金を
支払わないお客さん」がいなくなっても商売上、売り手が困ることなど1つも
ない。しかも、その客が「もう、ここではモノを買ってあげないよ」と傲慢な
態度で言ってきたとしたら、逆に店から追い出される羽目になる。

それと同様、トランプ政権が本格的に貿易戦争を仕掛ければ、アメリカは最終的
に世界経済から孤立して長期にわたる経済停滞に陥ることになる。第二次世界
大戦後にスイスに次いで世界で2番目に裕福だったアルゼンチンも、その後に
保護貿易政策をとったために、現在では1人当たりのGDP値が世界で57位に
まで転落している。


また、このアメリカの動きは、おそらくトランプの娘婿で大統領上級顧問でも
あるジャレッド・クシュナーの「機密取扱権限」に関する報道とも無関係では
ないだろう。
先日、FBIによる身元調査の結果、クシュナーは「最高レベルの機密情報を取り
扱える権限」を失った。報道されている通り、彼については自身のビジネスに
関する公私混同も相まって、アラブ首長国連邦(UAE)や中国、イスラエル、
メキシコの各国政府関係者が極秘に「クシュナーをどうすれば自分たちに都合
よく扱えるか」を検討していたことが既に判明している。そのため、政権内の
軍出身者や現役の軍関係者らが「クシュナーの失脚」を狙っているとペンタゴン
筋は伝えている。


【 アメリカ倒産交渉 】

いずれにせよ、今回の「機密取扱権限」に関する騒動により、トランプ政権内の
軍出身者以外の人間がかなりの権限を失っている。この政権内の「摩擦」が発端
となって、商務関係を取り仕切る政権内のグループが、軍関係者の意に反する
「貿易戦争」などという策をわざとトランプに吹き込んだ可能性は高い。

また現在、トランプ政権内では軍出身者以外の閣僚にかぎって「北朝鮮と戦争だ」
と騒いでいる。逆に、軍出身者たちは「北朝鮮との戦争は、アメリカにとっての
悲劇になる」と言って挑発や攻撃を止めようとしている。
https://www.washingtonpost.com/opinions/trumps-team-is-floating-an-attack-on-north-korea-americans-would-die/2018/02/27/8e6cdf66-1826-11e8-92c9-376b4fe57ff7_story.html?utm_term=.d21ab4d341d3
https://www.telegraph.co.uk/news/2018/03/02/north-korea-war-could-kill-10000-us-troops-within-days/

そして何故かこのタイミングで、北大西洋上にあるカナリア諸島のラ・パルマ
という火山島で地震が頻発している。そのラ・パルマ島については、以前から
「噴火による山体崩壊が1000年以内に起きる」と科学者たちが予測している
のだが、そうなればアメリカ東海岸やヨーロッパ南海岸などの大西洋岸各地を
100メートル級の巨大津波が襲うことになる。
https://www.zerohedge.com/news/2018-02-27/canary-island-la-palma-rattled-another-major-quake-swarm
いま発生しているラ・パルマ島の地震が、「北朝鮮との核戦争」を狙っている
グループに対する反撃のデモンストレーションである可能性は否定できない。

たとえラ・パルマの地震が偶然であったとしても、現在、アジア勢と欧米勢が
「アメリカ倒産」に伴う交渉を進めていて、新たな国際金融と世界運営の仕組み
について、お互いが有利に立とうと牽制し合っている状況なのは間違いない。
いずれにせよ、中国旧正月(春節)のシーズンも終わり、今週から3月末までの
間は中国と欧米権力の間で世界の今後にも関わる非常に重要な交渉が再開され
る予定だ。


また、それに伴ってアメリカ国内では「戒厳令の準備」を窺わせる新たな動きも
見受けられる。というのも、先週1日にホワイトハウスの公式ホームページで
「裁判所の手引書改正」に関する大統領令が発表されたのだ。
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2018-amendments-manual-courts-martial-united-states/
その詳しい意味合いは、法的文書636ページの中の19ページ1行目に明記さ
れている。そこには「戒厳令が公布された場合、全ての民間人が軍法と軍事裁判
の対象になる」との主旨が書かれている。
https://www.regulations.gov/document?D=DOD-2017-OS-0032-0003

アメリカの軍事政権は、明らかに緊急事態に向けた大量逮捕劇の法的準備を
進めている。ペンタゴン筋によると、軍出身の閣僚たちは戒厳令を実施して、
きちんと米国内浄化の実績を見せながら、中国に対して「欧米経済システムの
平和路線に向けた構造改革」を提案していくつもりなのだという。

ただし、アジアの結社筋は「当然ながら、中国側は損得勘定をベースに交渉を
するので、米軍が提案する“欧米の経済構造改革”を支援する見返りに何らかの
“お土産”を要求してくるはずだ」と話している。それに対してペンタゴン筋は
「アメリカが“国家安全”の名目で封印してきた6000件を超えるパテントの中
から、航空・エネルギー分野に関わる画期的な技術をオファーすることはできる
だろう」と伝えている。

ともかく、欧米勢とアジア勢の双方が「世界人類にとって最善の道を探る」と
約束している以上、いったん既存の仕組みを崩壊させて、より良い新たな仕組み
を誕生させる方向で議論が行われるのは間違いだろう。