今回もベンジャミン情報です。

イタリアがEU離脱となれば、崩壊への大2歩となります。

 

さてさて、どうなることでしょうか?

 

 

 

◆ ヨーロッパの混乱とトランプ新政権の閣僚人事
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≪2016/12/05  VOL393≫


本日5日(イタリア時間4日)、イタリアでは「憲法改正の是非を問う国民投票」
が行われる。この憲法改正案は、議会を事実上の一院制にすることが目的だ。

この改憲案を提案したマッテオ・レンツィ首相は、上院の定員を今の3分の1程
に減らして規模と権限を縮小、しかも上院の議員を選挙で選ばず、地方の代表者
で構成する仕組みに改編しようとしている。これが承認されれば、上院の不信任
決議で首相が退陣させられることもなくなる。また、権限が下院に集中すること
で法律の成立も容易になり、結果的に首相の権限は増大することになる。

投票直前に行われた世論調査をみると、イタリア国民はこの改憲案を否決する
つもりだ。否決の場合、レンツィ首相は辞任すると明言している。そうなれば、
2017年 早々に総選挙が行われ、EU離脱を訴える新興政党「五つ星運動」
政権を奪取する可能性は大いに高まる。



【 ヨーロッパの混乱 】

本日4日はオーストリアでも大統領選のやり直し選挙が実施される。今年7月、
同国の憲法裁判所が5月に行われた大統領選挙で「開票作業に不正があった」
として投票のやり直しを命じたものだ。
前回の選挙では、EU離脱を唱える「自由党のノルベルト・ホーファー代表」が
対抗馬である「緑の党のアレクサンダー・ファンデアベレン候補」に対して僅差
で敗れる結果となっていた。

しかし、今回のやり直し選挙ではホーファー代表が勝利する可能性が極めて
高いと言われている。そうなれば、1945年以降のヨーロッパで、戦後初となる
極右大統領が誕生することになる。ホーファーは、以前から「EU離脱の是非を
問う国民投票」の実施と「イスラム系の移民排斥」を約束している


さらにはフランスでも、2017年春に大統領選が行われる。現在、その有力候補
となっているのが「反EU・移民排斥」を掲げる極右政党「国民戦線のマリーヌ・
ル・ペン党首」だ。彼女も「当選すれば、フランスのEU離脱の是非を問う国民
投票を実施する」と公約している。

またオランダでも極右候補が台頭し、現時点で「反EU・反イスラム」を掲げる
「自由党(PVV)」のヘルト・ウィルダース党首が最大の支持を集めている。
最新の世論調査によると、来年3月に行われる総選挙で「自由党」は議席を倍増
させて第一党に躍進する公算が高い。そして、ウィルダース党首も「総選挙に
勝てば国民投票を行う」と約束している。

ドイツでも来年9月に総選挙が予定されている。現職のメルケル首相は4回目
の当選を目指しているが、彼女が実施した「イスラム系移民の大量受け入れ政策」
に対して独国民は怒り心頭。彼女にとっては厳しい選挙になりそうだ。

「イギリスのEU離脱」、「アメリカのトランプ大統領誕生」に続き、主要国の
有権者が既存の体制に反旗を翻すのか否か。いずれにしても、今後しばらくは
「トランプ新大統領誕生」の話題よりも「ヨーロッパ混乱」の方が国際ニュース
の重要なテーマとなりそうだ。グノーシス派幹部筋は、このヨーロッパ混乱の
着地点は「EU解体」と「ロシアも含めた新たなヨーロッパの協力体制の誕生」
だと伝えている。



【 中近東の変化 】

また、中近東も重大な「地殻変動」の中にある。先日、シリアでは「西側」を
アサド政権が、「東側」を反体制派が支配していた最大都市アレッポで反政府軍
が大敗、アサド政権の政府軍が東側の半分の地域を制圧した。

この状況下で特に注目すべき動きは、スンニ派国家であるエジプトが11月下旬
にシーア派国家のシリア・アサド政権を支持する意向を示し、既にエジプト軍を
シリア国内へと派遣していることだ。
これは、イスラム教の「シーア派」と「スンニ派」が団結し、似非イスラム教で
あるサウジアラビアの「ワッハーブ派」に対抗するための同盟を組んだことを
意味する。

これにより、ISISに資金を提供し続けているサウジとカタールが2017年中に
崩壊する可能性が高まっている。ペンタゴン筋によると、サウジアラビア王族の
サウード家が支配者として残れるのは、一族が建国以前から本拠地としている
リヤド周辺(ワッハーブ主義運動の中心地)だけだという。

その背景として、中近東地域における 「石油利権の分配」 については、既に
アメリカとロシアの正規軍の間で協定が結ばれていて、イラクとシリアについ
て言えばユーフラテス川を境に「西側はロシア」、「東側はアメリカのペンタゴン」
の影響下に入ることが決まっている。
同グノーシス派幹部筋によると、今の中近東紛争の終着点は 「トルコやイラン、
エジプトを含む巨大なイスラム共和国の誕生」だという。



【 アメリカ国防長官・教育長官 】

アメリカでは、トランプの政権移行チームが引き続き 新政権閣僚人事の検討を
続けている。先週までに指名された主要閣僚ポストの顔ぶれを見ても、トランプ
新政権が軍事政権となることは明らか。しかし中には、どのような基準で選ばれ
たのか、現時点では疑問符が付く人材も含まれている。


まず、「国防長官」に指名されたのは 海兵隊の退役大将、ジェームズ・マティス
元中央軍司令官だ。ただしアメリカの現行の法律(国家安全保障法)では、軍人
が退役から7年以内に国防総省の要職に就くことは禁じられている。彼が退役
したのは2013年5月、現行法では2020年5月まで国防長官にはなれない。
そのため、「マティスの指名を認めるか否か」はこれから議会に諮られることに
なるが、問題はないだろう。承認されれば、戦後にマーシャルプランを提唱した
ジョージ・マーシャルに次ぎ、戦後2人目の「退役から7年未満の軍人」が
国防長官に就任することになる。

経歴からも見て取れるように、マティスはかなりの切れ者。米軍内部で彼の人気
は高いという。また「狂犬マティス(General James “mad dog” Mattis)」の
異名を持つ彼は、これまでにも遠慮のないストーレートなものいいで数多くの
「名言」を残している。 例えば、2003年にイラクの海兵隊に対して
 「Be polite, be professional but have a plan to kill everybody you meet.
(礼儀正しくプロであれ、しかし貴方が会う全ての人間に対して殺す計画を
練っておけ)」と檄を飛ばしている。
彼が残した言葉は、他にも以下リンクの英語サイトに掲載されている。
http://freebeacon.com/national-security/the-best-from-mad-dog-mattis/


次に、トランプ政権の「教育長官」に指名されたベッツィー・デボス(Betsy Devos)
だが、ミシガン州共和党委員会会長を務めた経歴があり、義父は「アムウェイ」
の共同創設者で、夫はその現社長。いわゆる富豪一族だ。ペンタゴン筋によると、
アメリカ海軍特殊部隊SEALsを退役した実弟のエリック・プリンスも、彼女の
資金を使って民間軍事会社 「ブラックウォーターUSA (現アカデミ)」を創設
したのだという。

同ペンタゴン筋は、「トランプは彼女を閣僚に起用することでアメリカ軍だけで
なく、傭兵部隊(民間軍事会社)の支持も取り込んだ」と伝えている。
同筋によると、トランプ政権は、米軍、傭兵部隊、諜報機関(CIA・NSAなど)、
ロシア、ヨーロッパと連携をして、アジアと対等に渡り合うための「キリスト教
同盟」を創ろうとしているのだという。



【 アメリカ運輸長官・商務長官 】

「運輸長官」に指名されたイレイン・チャオ(Elaine Cheo)は、僕個人的には
疑問符が付く人選だった。
彼女は、大学卒業後にシティバンクNY支店に勤め、1984年~1986年には
サンフランシスコのバンク・オブ・アメリカで副社長を務めている。そして、
1989年にジョージ・H・W・ブッシュ(パパブッシュ)政権の運輸副長官に
任命され、2001年にはジョージ・W・ブッシュ(ベイビーブッシュ)政権の
労働長官に就任している。

イレイン・チャオは、父親と共に中国政府と強い繋がりを持つと言われる人物で、
アジア駐在のCIA筋によると中国マフィアとも繋がっている。
彼女の父親、ジェームズ・チャオは海運業で財を成した富豪なのだが、一族の
海運会社(Foremost Maritime Corporation)の船が幾度となくコカインの密輸
で摘発されるも、これまでに罰せられたことはないと同筋は話している。
また、夫のミッチ・マコネル上院院内総務にも彼女の実家から巨額の資金が提供
されていて、上院のメンバーの中でもかなりの資産家である。
https://www.thenation.com/article/mitch-mcconnells-freighted-ties-shadowy-shipping-company/

いずれにせよ、トランプ政権はイレイン・チャオを起用することにより中国の
表と裏のパイプを手に入れたことになる。おそらく、中国勢はトランプが勝利
宣言スピーチで約束した「アメリカのインフラ整備計画」の恩恵を大いに受ける
ことになるだろう。


また、「商務長官」に指名されたウィルバー・ロス(Wilbur Louis Ross, Jr)の
人選にも疑問符が付く。
ロスは投資家で元銀行家。20年間、ロスチャイルドの「N・M・ロスチャイルド
&サンズ」 の企業再建部門(ようするにハゲタカ)において かなり厳しい
やり方で企業買収を繰り返し、独立後もファンド「WLロス」を創設して倒産した
製造業や銀行の買収、リストラを敢行してきた人物だ。

彼の起用により、トランプは少なくとも国際金融界に君臨するロスチャイルド
とのパイプを手にれることは出来るだろう。



【 アメリカ財務長官 】

それから「財務長官」 に指名されたスティーブン・ムニューチン(Steven
Mnuchin)は、17年間ゴールドマン・サックスに在籍して上級役員の最高情報
責任者(Chief Information Officer)にまで上り詰めた人物だ。

ムニューチンは、2009年にゴールドマン時代の元同僚で当時ブッシュ政権の
財務長官を務めていたヘンリー・ポールソンや ジョージ・ソロスらと組んで
破綻した米住宅ローン会社 「インディマック銀行」 を160億ドルで買収、
さらなるサブプライム・ローンを米国民にばら撒いた挙句にいったん会社を
倒産させている。
その後、ムニューチンらは社名を「ワンウェスト」に変えて経営を続け、米政府
から補助金を受け取りつつ、3万6000件以上の住宅を差し押さえている。
これは、同業他社に対して約2倍の比率でローン滞納者を家から追い出して
いた計算になる。結局、昨年2015年に もともと160億ドルで買収した同社を
340億ドルで売却、巨額の利益を得ている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Steven_Mnuchin

また、彼はそれ以外に映画界へも進出、映画製作会社「ラットパック-デューン・
エンターテインメント」を創設して、「アバター」や「X-MEN」、「ダイ・ハード
4.0」…など、数々のヒット作の制作に携わっている。


いずれにせよ、スティーブン・ムニューチンの起用は「トランプ政権がユダヤ
マフィアとのパイプを確保しておくため」、としか今のところ分析のしようが
ない。現時点での感想としては、後半3人の人選には疑問符が付く。まだ発表
されていないトランプ新政権の閣僚人事と並行して、彼らの今後の動きにも
注視していきたい。