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2016年9月7日発行(Vol.16,No.36)
 
トピックスと地震予測サマリ- 
トピックス
 今回、週間変動図(H)にありますとおり、沖縄から関東にかけての太平洋岸を連なるように異常変動が観測されました。
逆に、これまで活発に動いてきた伊豆・小笠原諸島が静謐状態です
前兆現象の後、静謐、地震が発生するという流れは過去にもありました。
ご注意ください。

〇警戒レベルアップ地域
北海道道南・青森県(レベル2→3)
北海道北部(レベル1、新規)
〇警戒レベルダウン地域
なし

地震予測サマリー
〇概況
・週間変動(H)で4cm超の異常が見られた点は極めて多く112点 。その内5cm超の点は32点。 今回まとまって異常変動(H)が見られた地域は北海道北部、道南・青森、東北奥羽山脈、北信越、東海、南海・東南海、九州。 異常変動の点が多いので、以下の説明では特に大きく変動した点だけを記述します。
・X,Y,Zの4cm超の週間異常変動を示した点はXで5点、Yで11点、Zで10点、 このうちX,Y,Zとも同時に4cm超を示した点は北海道の島牧、上富良野、青森県の黒石の3点。 Y,Zで4cm超を同時に示した点は北海道森、中頓別、東川、利尻、斜里2、鹿児島県の上屋久2の6点。
・隆起・沈降は、全国的に沈降。

〇レベル5
(震度5以上の地震の可能性が極めて高く緊急性がある)

南関東周辺

〇レベル4
(震度5以上の地震が発生する可能性が極めて高い)

九州
東北・北関東の太平洋岸、奥羽山脈周辺
南海・東南海地方
鳥取県・島根県周辺
北信越地方・岐阜県

〇レベル3
(震度5以上の地震が発生する可能性が高い)

釧路・根室・えりも・中央部周辺
南西諸島
北海道道南・青森県

〇レベル2
(震度5以上の地震が発生する可能性がある)

山口県・福岡県・大分県・愛媛県の周防灘、伊予灘、豊後水道に面する地域

〇レベル1
(何らかの異常変動があり、今後の推移を監視する)

北海道北部
琵琶湖周辺

※X,Y,Z,Hの解説はこちら
http://www.jesea.co.jp/xyzh/

・JESEAは、国土交通省国土地理院の電子基準点データを解析し、 1週間の短期的な高さの変動を表す「週間変動図(H)」と約2~3年間にわたる長期の異常変動の傾向を示す 「隆起沈降図(H)」を毎週掲載し、同じく約2~3年間にわたる長期の傾向を示す 「東西変動図」、「北南変動図」、「水平変動図」の3種類を週替わりで1つずつ掲載しています。
そして垂直方向と水平方向の4週前との変動を矢線と色で表した「水平ベクトル図」も毎週掲載し 多角的に地殻の変動を示します。
・短期的な変動である「週間変動図(H)」と「水平ベクトル図」は毎週変動しますが、 そのほかの図は長期の傾向なので、1週間では変化は少ないですが3週間くらい経つと異常変動が変化していくのが分かります。
 
【目次】
1.地震予測
2.地震情報一口メモ
3.皆様の街の電子基準点
 
1.地震予測
 
レベル5:南関東周辺
 9月7日に茨城県南部を震源とするM4.9、震度4の地震が起きました。 今回4cm超の異常変動(H)が見られた点は、東京都の大島3で6.1cm、神奈川県の箱根で4.1cmでした。 静岡県の4cm超の点を拾いますと、14点もありました。山梨県の富士山に近い上九一色で5.2cm、南部で4.6cmでした。
隆起沈降図を見ますと駿河湾沿いの地域の沈降が大きいです。八丈島が沈降に対し、大島、三宅島は隆起しています。 茨城県の北茨城と三和の高さの格差が7.8cmと拡大しています。 Xの値でも格差は12.7cmに拡大しました。Xの値で千葉県の北部にある干潟と南部の館山の格差は7.4cmと大きいです。 この周辺はひずみが貯まっていますので要注意です。
北南変動図を見ますと房総半島南部、三浦半島、伊豆諸島は北変位に対し、他の地域は南変位をしています。 境目にひずみが貯まっています。
水平ベクトル図を見ますと、房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島はバラバラな動きをしています。 富士山が西北西、島田が南南東に大きく異常変動しています。ひずみが貯まっていますので要注意です。
異常が激しいですのでレベル5を続けます。
(参照 図1、図2、図3、図4)

レベル4:九州
 8月31日に熊本地方でM5.2、震度5弱の余震が起きました。 今回4cm超の異常変動(H)は18点もありました。 5cm超の点だけあげると、鹿児島県の鹿屋(6.1cm)、宮之城(5.2cm)、上屋久2(7.0cm)、 大分県の米水津(5.2cm)、長崎県の深江(6.4cm)の5点です。
隆起沈降図を見ますと九州東岸と桜島以外沈降しています。対岸の山口県西部も沈降しています。
水平ベクトル図を見ますと九州はまだ不安定な動きをしています。
北南変動図を見ますと熊本周辺は大きく北変位に対し他の地域は南変位をしています。色の境目に注意が必要です。
九州は熊本地震による余震や新たなひずみの発生などのため、しばらく期限を設けません。
(参照 図1、図2、図3、図4)

レベル4:東北・北関東の太平洋岸、奥羽山脈周辺
 宮城県沖および福島県で小地震が起きています。この地域は地震常襲地帯になっています。 今回秋田県と岩手県の県境、山形県、福島県の奥羽山脈周辺にまとまって週間異常変動(H)がありました。
隆起沈降図を見ますと東北・北関東の太平洋岸が隆起しているのに対し、秋田県および山形県を中心とする奥羽山脈は沈降しています。 隆起・沈降の境目および隆起エリアおよび沈降エリアが急減する地域はひずみが貯まっていますので要注意です。
水平ベクトル図を見ますと、岩手県、宮城県、秋田県、山形県および福島県は大きく南東方向に変位をしております。
9月までレベル4とします。
(参照 図1、図2、図4)

レベル4:南海・東南海地方
 紀伊水道で小地震が起きています。 今回四国全体で4cm超の週間異常変動(H)を示した点は12点ありました。5cm超を示した点は徳島県の木屋平(5.2cm)でした。 三重県で4点、和歌山県で2点、奈良県で3点の4cm超の異常変動(H)がありました。
隆起沈降図を見ますと徳島県と紀伊半島南部が沈降しているのに対し、愛媛県を中心に四国西部は隆起しています。
水平ベクトル図を見ますと異なる方向の変位が混在していて不安定です。
北南変動図を見ますと高知県南部は北変位に対し他の地域は南変位をしています。 色の境目はひずみが貯まっていますので要注意です。
10月ごろまでレベル4とします。
(参照 図1、図2、図3、図4)

レベル4:鳥取県・島根県周辺
 今回4cm超の週間異常変動(H)は鳥取県の溝口で4.5cmでした。
隆起沈降図を見ますと鳥取県、島根県周辺は広く沈降しています。
水平ベクトル図を見ますとこの地域はほぼ南東変位をしています。
10月ごろまでレベル4とします。
(参照 図1、図2、図4)

レベル4:北信越地方・岐阜県
 今回4cm超の異常変動(H)があった点は長野県で4点、岐阜県で2点、富山県で1点、福井県で4点でした。
隆起沈降図を見ますと、隆起と沈降が混在しています。 この地域はまだ不安定ですので注意が必要です。
10月ごろまでレベル4とします。
(参照 図1、図4)

レベル3:釧路・根室・えりも・中央部周辺
 国後島付近で小地震が起きています。 今回、4cm超の週間異常変動(H)は5点でした。 5cm超の異常変動を示した点は、東川(6.9cm)、上富良野(7.5cm)でした。 特に上富良野は急激に沈降していますのでこの周辺は要注意です。
隆起沈降図を見ますと依然として根室・釧路周辺には沈降が残っています。
北南変動図を見ますと根室・釧路は北変位に対し他の地域は南変位をしています。
11月ごろまでレベル3とします。
(参照 図1、図3、図4)

レベル3:南西諸島
 このエリアで多数の小さな地震が起きています。
隆起沈降図を見ますと全地域で沈降しています。
水平ベクトル図を見ますと沖縄は南東変位、大東島は北西変位をしております。 南西諸島にひずみが貯まっています。
10月ごろまでレベル3とします。
(参照 図2、図4)

レベル3:北海道道南・青森県
 今回、道南および青森に4cm超の週間異常変動(H)が10点以上現れました。 5cm超の点を上げますと、道央の島牧、道南の森、青森県の今別、黒石、小泊、青森Aです。 十和田湖に近い黒石は急激に大きく沈降していますのでこの周辺は要注意です。 多数点が一斉に異常を示しましたのでレベル2からレベル3にレベルアップし、12月ごろまで監視をします。
(参照 図1)

レベル2:山口県・福岡県・大分県・愛媛県の周防灘、伊予灘、豊後水道に面する地域
 今回大分県の東岸で豊後水道に面する米水津で5.2cm、大分佐伯で4.4cmの週間異常変動が見られました。
隆起沈降図を見ますと、大分県南東部のみが隆起しています。国東半島は隆起から沈降に転じました。
水平ベクトル図を見ますと、異なる方向に向いている点が散見され不安定です。
レベル2とし、今後の監視を継続します。
(参照 図1、図2、図4)

レベル1:北海道北部
 今回北海道北部に4cm超の週間異常変動(H)が11点も見られたことからレベル1として監視を始めます。 5cm超の異常変動を示した点は、中頓別(6.4cm)、中川(6.3cm)、利尻(6.9cm)でした。
(参照 図1)

レベル1:琵琶湖周辺
 今回4cm超の週間異常変動(H)は見られませんでした。 レベル1として監視を続けます。

図1.週間変動図(H) 
  計測期間:8月28日~9月3日 速報解(R3データ)使用
今回は週間変動図(H)としていつもの段彩図(色別の等高図)ではなく、 異常点をプロットした図を以下に掲載いたします。
hensa
 
  週間変動図(H)の拡大図はこちら
http://www.jesea.co.jp/0107090/

図2.水平ベクトル図 
  計測期間:8月28日~9月3日 速報解(R3データ)使用
suihei2
 
 図の見方は、水平方向の動きを矢線で、垂直方向の動きを色で表します。 背景画像は4週前の週平均値を基点としたH(高さ、正式には楕円体高)の隆起沈降段彩図(色別の等高図)です。
その背景画像の上に4週前と比べてどの方向に水平変動したかを矢印の向きと長さ(変動の大きさ)で表しています。 短期的な動きを捉えることができます。
矢印の向きが異なるエリアはひずみが貯まっていることを意味します。

1:道南・青森:変位の方向が異なる方向に向いており不安定。このエリアは注意が必要。
2:東北地方:大きく南東に変位しており注意が必要。
3:南関東周辺:房総半島、三浦半島、伊豆半島は異なる方向に変位しており不安定。 富士山が西北西、静岡県の島田が南南東に大きな変位をしており注意が必要。
4:四国周辺:異なる方向の変位が混在しており注意が必要。
5:九州:熊本周辺は不安定な変位で注意が必要。
6:南西諸島:変位の方向が異なる方向に向いており不安定。このエリアは注意が必要。
  水平ベクトル図の拡大図はこちら
http://www.jesea.co.jp/0407090/

図3.北南変動図 
  計測期間:8月14日~8月20日 最終解(F3データ)使用
hokunan
 
 図の見方は、緑色、黄色、橙色、赤色、茶色はプラスで北方向に変動していることを表しています。 薄青色、濃青色はマイナスで南方向に変動していることを表しています。 プラスとマイナスが正反対方向に変動する境目や変動が急変している境目の場所はひずみが貯まっていて 地震の時に大きく揺れる可能性が高いです。

1:根室・釧路・えりも:根室・釧路は北変位に対し他の地域は南変位で注意が必要。
2:北海道道南・青森:色の急変地域は注意が必要。
3:福島・栃木・茨城:色の急変地域は注意が必要。
4:南関東周辺:房総半島南部、三浦半島、伊豆諸島は北変位に対し、他の地域は南変位で注意が必要。
5:四国:高知県南部は北変位、他の地域は南変位で注意が必要。
6:九州:熊本周辺は大きく北変位に対し他の地域は南変位。色の境目に注意が必要。
  北南変動図の拡大図はこちら
http://www.jesea.co.jp/0307090/

図4.隆起沈降図(H) 
  計測期間:8月14日~8月20日 最終解(F3データ)使用
ryuuki
 
 2014年1月を基点としたH(高さ、正式には楕円体高)の隆起沈降段彩図(色別の等高図)です。
黄緑・黄色・赤・茶色は数値がプラス(隆起)、青色系統の色はマイナス(沈降)を意味します。 濃い色ほど値が大きいです。地域ごとにどのような傾向があるかを見てください。

1:根室・釧路周辺:沈降があり注意が必要。
2:東北:隆起と沈降の境目および色の末端部に注意が必要。
3:南関東:駿河湾沿いが沈降。また八丈島が沈降に対し大島、三宅島は隆起しており注意が必要。
4:北信越・岐阜:隆起と沈降が混在しており注意が必要。
5:四国:徳島県、紀伊半島南部が沈降、四国西部は隆起しており注意が必要。
6:鳥取・島根:沈降が広く分布しており注意が必要。
7:九州:九州東岸と桜島以外沈降。また山口県西部も沈降しており注意が必要。
8:南西諸島:沈降が広く分布しており注意が必要。
  隆起沈降図(H)の拡大図はこちら
http://www.jesea.co.jp/0207090/
 
2.地震情報一口メモ
 
  [No.181:東日本大震災から5年No.12~再生エネルギー]
  東日本大震災の復興計画で大きな議論を呼んだのは原発再稼働の是非でした。
 読売新聞の調査では、原発再稼働に反対は55%で、賛成の41%を上回りました。 震災前の国内電力の割合は原子力発電が30%、火力発電が60%、再生エネルギーが10%でした。 この3つの電力の比率をどうするかについての質問に、「原子力は減らす」は71%、火力は「同じくらい」が47%、 再生エネルギーは「増やす」が89%でそれぞれ最も多かったのでした。
 太陽光などの再生エネルギーで発電した電気の買取りを電力会社に義務付けし、各家庭の電力料金に上乗せしますが、 「この程度なら良い」と答えた人は68%で「もっと減らしてほしい」と答えた22%を大きく上回りました。 実際太陽光発電は買い取り価格が低減する中でも急激に伸びております。
 新幹線などの沿線には多くのソーラーパネルが見えるようになりました。 最近では農地に営農型ソーラーシェアリングするケースも出てきて、太陽光発電と農業のコラボができるようになっています。 災害時に太陽光発電の電力が被災地の家庭に配電されると災害対策として役立つでしょう。
 
3.皆様の街の電子基準点
 
kizyunten
 
今週の電子基準点:長野の白馬

撮影者の遠山元信様からコメントをいただいております。
「長野県北安曇郡白馬村にある電子基準点。
撮影は平成24年11月27日、神城断層地震で断層が露出したと聞き埼玉から出向き 地図を見ていたところ電子基準点があるではないかとその方向を見ましたら 電子基準点の頭が見えました。
初冬の北アルプス五竜岳をバックに撮影してきました。」
ありがとうございました。
電子基準点の写真募集
 電子基準点の写真を撮影し、下記メールアドレスにお送りください。 写真を送信する際には、お名前の他に電子基準点を撮影した場所や探すまでの方法や苦労話などをお書きください。
※学校などの敷地内への無断での立ち入り、撮影などは行わないでください
※車道からの撮影など、危険な行動は避けてください

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※「週刊MEGA地震予測」では、国土地理院のGNSS連続観測点データを元に導き出した地盤の変動情報と過去の地震の震源、震度、 マグニチュード、被害の程度などとの相関分析をして、地震の前兆現象として捉え地震予測を提供しています。 だいたい、震度5以上の地震を想定しております。
JESEAの地震予測は震源地やマグニチュードを予測するものではありません。揺れる地域と震度を予測します。
※データは欠測値の有無および上空視野障害や受信ノイズ等による受信障害 の程度により信頼性を評価した上で棄却する場合があります。
※地震は複雑な自然現象です。本情報はあらゆる地震をすべて予測できるものではありません。 また、予測が外れる場合もあります。