※ まぁフィクション程度に聞いてください。よくある平凡な話ですんで。


7年くらい一人暮らしして普通に働いてた時、実父が急死した。

急死というか・・・父は30代後半から病気(大半が贅沢病&夜の遊び過ぎによる体の酷使が原因)続きで最後は透析してて死ぬ3週間前にぶっ倒れて入院してたところだったから、それなりに予感はあったのだが。

あわただしく葬儀を終えて、はたと家族のことを考えた。

自分は長男である。兄弟は一人だが、自分同様に実家を離れて東京で働いている。

母親は遠い遠い実家で頼るものもなく、この家に一人ぽっちになることもある。

自分としてはいろいろと東京でやりたいこともあったが、いろいろ考えて母親の近くに戻ることに決めた。


ちょうどいいタイミングというか何と言うか、中学生からの親友が地元で小さな会社を経営していた。自分はいちおう世間ではそれなりに名の通った大学に通っていたのだが、根がだらしないというか生活態度や金品の管理がアバウトなところがあるので、大企業のサラリーマンは無理というか向いてないという思いは常にあったために、すでに限界を感じており、その親友から熱心に誘われたこともあって転職することに。

親友は、この仕事のイロハもまだわかっちゃいない段階の自分を全面的に信用してくれて、取締役待遇で迎えてくれた。それに「付き合いで役立つから」と熱心にゴルフを教えてくれた。

仕事のスキルも身について落ちついた頃、落ちついて周囲を見回すと、なぜ親友が自分を熱心に引っ張ってきたのかよくわかるようになった。簡単に言うと従業員の意識が著しく低い会社で、親友は社長と言ってもただのお飾りにすぎずあまり強いことを言える状態ではなかったのである。

特に厄介だったのが、実質No3で現場の長をやっていた番頭格の男だった。

通常、このポジションはどこの会社に行ってもこうるさい嫌われ者を演じるのが相場のはずだが、まったくの逆で、家庭ではマイホームパパ・土日休み順守・会社ではパートやアルバイトにタイムカードのずる押しを教えるとかまさにトンデモ野郎だったのだ。

以降、この会社では延々と意識改革を目論む自分と、現状のぬるま湯体制維持を望む古株従業員たちとの冷戦が続くことになる-----