僕と携帯依存症
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僕と携帯依存症【6】

DoCoMoショップを去る。その手には袋をかけていた。外にとめてある車に向かう足取りは妙に軽くて、地面に着いた感触がないほど跳ねていたに違いない。
携帯電話はこの手にある。慣れない手つきで、両手をつかって丁寧に携帯電話を開いた。明るい画面が辺りに光を届かせる。
何もわからないし、とりあえず設定でもいじってみることにした。
記憶するかぎりでは、プリインストールされている、ドラゴンクエスト序曲に感動を覚えてさっそく自分の着信音に決定した。さらに、待ち受けも設定した。
自分の個人データの編集などうれしさに任せて夜おそくまで初めての携帯に浸っていた。
メールもした気がする。その当時、唯一メールをしていた相手と。
メールしていたという表現よりも、メールアドレスを知っていたのが彼だけだったというのが理由である。
その日はいい日だった。

僕と携帯依存症【5】

DoCoMoショップに足を踏み入れると、携帯が並んでいた。
携帯にどのような機能があって、古い携帯と新しい携帯では何が違うのかよく分からなかった。
とりあえず、店員に高校生になったから持ったほうがいいとすすめられるがままに携帯を物色する。
特にこれといって決めるまでもなく次々と携帯の見本が並べられる。
最新機種を持つほど使う予定がなかったので、当時最新だった901iシリーズは遠慮してヒトツ前のバージョン、900iSを持つことに決めた。
いえば、ココが一種の分岐点だったに違いない。
携帯を持つか、持たないか、今となっては小さなことだが、瞬間としては大きな決断である。
これは他のことでもいえる。
大きな決断をするときに、重要なのは小さい決断が積み重なったことで、小さな決断は相対的には小さいが、瞬間的に考えれば常に大きい決断でもある。
こうして自分も決断をしたわけだが、困ったことがヒトツ。
機種を何にするか。
たしか候補は、PかNだった。
しかし、少しだけ説明を聞いたところNにはドラクエが入っているということで、即決した。
こうしてN900iSを使うことになった。

僕と携帯依存症【4】

まあ、こんな感じで高校生になったものだ。
一番近くの高校、自転車で12分あればいくら風が強くてもいける高校で、田舎にあるだけあって、一学年155人という超ミクロな高校だ。
別に特色もあるわけではなく、のんびりした一瞬で飽きるような高校である。

高校一年生となるまでに長い春休みがあった。高校の入学説明が一度あり、さっそくワークの宿題があったのをよく覚えている。
結局、やっても出すことはなかった。
さて、春休みのうちにお母さんが携帯の機種変をやろうと、DoCoMoショップへといった。
自分もついていった。機種変する理由は僕がメールやiモードを使いすぎるから。
言われてみれば、毎日のようにメールをある人とやっていたような気がしないでもない。
iモードもよく開いていた。
そのためムーバではパケ死寸前までいっていたのかもしれない。
その頃は携帯料金がパケットで加算されるなんて知らなかったし、携帯の機能や操作にいたるまでまったく分からなかった。
返信や電話帳からメールの宛先を呼び出せることも知らなかったので、メールを送るたびに宛先を手打ちしていたという徹底ぶりだった。
しかし、運命というものは一刻一刻と訪れてきた。
DoCoMoショップへと、生まれて初めて足を踏み入れた。