日本は「自然エネルギー大国」になれるか 太陽光、陸上・洋上風力、巨大発電所をゆく
マネーポストWEB 2022年5月31日 6時15分

脱炭素の必要性に加えて、ロシア産石油の禁輸や過度な円安による電気代高騰のなか、自然エネルギーへの関心が一気に加速している。これまで資源を外国に頼り続けてきた日本は、科学技術を駆使して「自然エネルギー大国」になれるのか。
石油や石炭のように消費すると枯渇するエネルギー源と異なり、太陽光、風、水力などの自然現象をエネルギー源として利用すれば、いくら消費しても減ることはない。日本の電源構成はLNG(天然ガス)や石炭など化石燃料が約4分の3を占め、原子力が3.7%。対する自然エネルギーは約20%で、主力は太陽光である。2009年からは「太陽光発電の余剰電力買取制度」がスタート、一般家庭でもソーラーパネルを屋根に備え付けておけば売電できるようになり、一気に普及が進んだ。
だが、国による買取価格の保証は10年間のみのため、買取価格自体は下落傾向にある。加えて太陽光パネル関連業者の倒産率は高く、パネル故障時に補償が受けられなくなる事態に陥る人も少なくない。それでも太陽光事業への参入者が引きも切らないのは、やはり風力や水力より圧倒的に設備が安価だからだ。
近年、1MW(メガワット)以上の出力能力を誇る大規模な発電施設「メガソーラー」が増えている。1MW規模のメガソーラーが発電する量は、太陽の照らない夜や曇天の影響を含めても、平均して一般家庭300世帯分をほぼ賄える計算となる。
CO2排出の心配もないのでいいことずくめかと思いきや、樹々を伐採した広大な山肌にパネルを敷き詰めるメガソーラーは、ときに「自然破壊」「土砂崩れを招く」と批判を受ける。それに対し、メガソーラー事業者のパシフィコ・エナジーは、できうる限りの自然保護を謳う。「整地時に農薬は撒かない」「希少な動植物は他の地へ移す」「治水対策用の調整池を整備し、水生生物や水鳥の生育を観測」と、パネルの設置とメンテナンスだけで仕事を終えない姿勢を見せている。
■岡山県美作市「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」
リゾート開発跡地やゴルフクラブのコース跡地を利用するなど、新規の樹木伐採をできるだけ避けた用地を選んで建設された太陽光発電所。面積は約400ha、約75万枚の太陽光パネルを設置し、発電規模は257.7MWと日本最大だ。
欧米ではメジャーな風力発電
日本で電気を供給するエネルギーの割合を見ると、太陽光が約9%、水力7.8%、バイオマスが3.4%と続き、風力は1%にも満たない。高さ60メートル以上ある巨大な風車は、設置に労力がかかる。だが、常時一定の風量に恵まれる欧米では、太陽光より風力発電がメジャーだ。
回転する羽根の音を気にする近隣住民からの苦情といったデメリットを差し引いても、夜には発電がストップする太陽光と異なり、風が吹いてさえいれば24時間発電できるのが風力の強みである。一方で、日本には台風も多く、そうしたリスク下で結果を出せるかが課題だ。
設置が加速する陸上風力発電のほか、今後は洋上風力発電が建設ラッシュを迎える。礎を築いたのは、躯体の耐久性、海洋生物や海鳥への影響を調査してきた研究用風車。そのうち、千葉県銚子市の「銚子沖洋上風力発電所」に残された1基が2019年から商用利用に転じ、現在も順調に稼働中だ。
■三重県津市「青山高原ウインドファーム」
標高600~800m、南北15kmにも及ぶ大草原に広がり、日本最大の風力発電「ウィンドファームつがる」(青森県つがる市)に次ぐ規模。2003年に完成した青山高原電力風力発電所、2017年に風車設置を完了した新青山高原風力発電所の両者をあわせて、95MWの出力を誇る。
■千葉県銚子市「銚子沖洋上風力発電所」
東京電力リニューブルパワーが管理する銚子沖の風車は、陸からも肉眼で捉えられる。界面から最高部の羽根先まで126m、高さは30階建てビルとほぼ同じで、最大出力は2400kWだ。
取材・文/山本真紀
※週刊ポスト2022年6月3日号