そのもの 正面より 疾風を受け
ルーブルなる美術館の踊り場にて
その誕生時と相も変わらず息づきけり
その心臓は昂然と伸縮し
脈打つその血はどこか激流に似たり


君! 聞こえないか
その息づかい その力強い心臓の鼓動が
君! 感じないか
その震動 我立つ床まで伝わっている
君! 紙を手でおさえ
確かに風は吹き 髪はなびき
我らの服は はたはたと


はるかかなたの古代より
その生命は微量だにも損なわれず
我らは あの伸びやかに広がる二つの翼
前に一歩踏み込む右足で
それを知る


確かに風は吹いている
確かに風は吹いている
君! 感じないか
古代に吹きすさんだあの風を
確かに風は吹いている



by ミミchan