《感想》永遠についての証明 岩井圭也 | HYGGE 創作活動·読書感想

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いらっしゃいませ、木庭です。

遅読な上に古今関係なく気になったものから読む質のせいで、「今年あの本面白かったよね」というような話題にはとんと参加しづらい木庭ですが、今年発刊されたものという括りなら、この一冊を挙げたい。

岩井圭也さん「永遠についての証明」
野性時代フロンティア2017で大賞受賞。
つまりはデビュー作です。

野性時代フロンティアデビューの作家さんは、どの方も筆力の高い方々だと思っているのですが、岩井さんは木庭の好みに合うところもあって久々にのめり込むように読みました。

舞台はとある大学の数学科。
1人の天才数学者とその親友であった男の人生の物語です。

数学者の人生といえば、『ビューティフル・マインド』とか、『イミテーション・ゲーム』とか、天才が故の不幸を描く映画のイメージが強いですが、本作の天才もまぁ、辿る道は不幸かな... 何を不幸とするか、語らいたいところです。(でもネタバレになるから!)

難解な数学の予想に挑む物語ですが、専門的な解説はほとんどなく、数ⅰ数A止まりの木庭でもアレルギーなく楽しめました。

数学者の見ている世界の描写の美しさが大変素晴らしいです。

ダニエル・ラメットというサヴァン症候群の作家が記した『僕には数字が風景に見える』を読んだ時にも、「数字を通して見る世界の美しさ」に大変憧れました。
そんな風に数字と戯れることができたら、どんなに楽しいだろうと。

「文章としての成立が美しい文章」もさることながら、「映像が浮かぶ文章」がとても好きなので、新しい世界を「見せて」くれる小説には並々ならぬ想いかあります。

書籍に記された岩井さんのプロフィールの限りでは、数学分野が主専攻だったというわけではないご様子。
次はどんな世界をどんな風に見せてくださるのか、楽しみです。



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