ぼんやりと車窓に浮かぶ夜桜の影仕事がらこの季節はきまって陽の光に揺らぐ桜の花を観ることはついぞ無かった終電も遠に過ぎた、深夜も2時半を回ろうという頃鉛のような身体をシートに沈めて首都高の車窓にぼんやりと浮かぶ千鳥ヶ淵の桜が流れてゆくのを眺めながら次第に意識も遠のいてまるで魂がふわりと彷徨い出てしまうのではないかという、ある種の危うさのようなものを感じながらかろうじてなんとか踏みとどまろうと手元のモニターに眼を凝らしたことをつい昨日のことのように想い出す