1 駅
日本の駅というと、大きなデパートやカフェ、レストランが併設されており、駅前通りには商店街があり、基本的に清潔で快適な場所である。しかし中国の「火车站」は、その町でもっとも不快な場所であると言ってもいい。これは地方都市だけではなく、大都市でも同様というかむしろそれ以上である。

泰山駅

そもそも駅は富裕層も貧困層も均しく利用するインフラであり、格差が凝縮してる場所であるので、自ずと犯罪も発生しやすい場所でもある。最近は減ったものの、10数年前の昔は駅の広場をうろいついていると、ほぼ確実に汚らしい身なりをした人から声をかけられた。また、地図や新聞を売るおじさんやおばさんが非常に多かったが(これは助かることもあった)、これはスマホが普及した2010年代以降はほぼ見なくなっている。
自分の知る限り、中国の「火车站」の駅中や駅前に商店街やデパートなどは存在せず、時間をつぶすとしたら待合室以外にはほぼ存在しない。また色々と検査があるので、駅の外で時間をつぶすのはリスクが高い。後で述べるように待合室の混雑がひどいのは、他に安心して時間を潰せる場所がないからでもある。最近の駅は、待合室の周辺に売店や食堂が立ち並んでいることも多くなっているが、それでも日本に比べると圧倒的に少ない。
2 切符を買う
日本で列車に乗るというと、スイカや自動券売機で買った切符でホームに入り、好きな列車に自由に乗るのが普通だが、中国ではそれは大都市の地下鉄だけである。中国の鉄道は特急や普通の区別なく、全ての列車が指定席である。

特に切符の購入は、日本人には想像できない煩わしさである。もちろん場所やその日にもよるが、「售票处」で長蛇の列に並んで切符を買わなければならない。最低でも15分は覚悟したほうがいい。窓口は割り込み客を排除するために、回転冊で仕切られており、それでも無理に割り込もうとする人がしばしばいる。
なんとか窓口にたどり着くと、口頭で行き先を伝えて、その場で切符が余っているかどうかを確認する。言うまでもなく、中には非常に長い時間がかかる人もいる。こうしたやり方も混雑の原因になっている。なぜ人員を増やさないのか不思議だが、人件費の節約というよりも、そもそも客の満足や快適さなどは全く追求していないのだろう。また「中国公民」の身分証(证件)を持つ人や、外国人ならパスポート(护照)が必要である。これらは10数年前までは必要なかったが、現在は厳しくなり身分証やパスポートがないと、事実上どこにも行くことができない。
ちなみに、中国公民の身分証を持ってインターネットで予約している人は、自動発券機で切符を受け取ることができ、長蛇の列に並ぶ必要がなくなっている。あくまでICチップが埋め込まれている身分証を持つ中国公民だけであり、パスポートでは不可能である。
列車の切符は1時間以上の後の列車もあれば、15分後ということもあり、はっきり言って何時何分の列車に確実に乗るということは、最初から諦めたほうがいい。
3 乗車
なんとか切符を購入すると、今度は手荷物検査や身体検査が待っている。これは簡単に終わるものの、ちょっとしたストレスである。そもそも検査員がちゃんと検査しているようには思えない。

日本ではホームで列車を待つが、中国の駅では待合室で待つ。ホーム(站台)は単に乗り降りする場所で、売店も自販機も全く何もない。どの駅も非常に大きな待合室を備えているが、ほぼ席が埋まっていて座れることのほうが珍しい。電光掲示板に表示が出ると、長蛇の列をなして切符の検査をしてホームに向かう。

切符は基本的に座席指定だが、日本の自由席にあたる「无座」もある。指定された座席に行くと、ほぼ確実に「无座」の人が座っており、それをどかさなければならない。実感では、「无座」の人は常時乗客の2割ぐらいはおり、満席でない車内を経験したことはほぼない。

車内はお世辞にも綺麗ではなく、ゴミが多い。ゴミ収集の人がしばしば車内を通っていく。以前の中国の車内は話し声でとてもうるさかったが、今はスマホが普及したせいか割と静かになっている。
4 降車
目的の駅につくと、逃げるように駅から飛び出す。出口では客引きが待ち構えているが、絶対に相手にしないこと。タクシー乗り場がすいていたらタクシーに乗るが、非常に込んでいることが多い。その時はあきらめて少し街へと歩き、そこからタクシーを捕まえるほうが賢明である。とにかく中国では、駅からは一秒でも早く逃げ出すことが肝心である。