ついに行政が動いた。

3月14日、スポーツ庁が「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定し、

 〇学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。平日に1日、週末に1日。
 〇運動部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。
 〇1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日は3時間程度。


とすることを、全国の学校に求めた。参考記事・「週休2日」は日本の部活をどう変える? 求められる保護者の役割と導入の意義

運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(案)pdf

これにより、”ブラック部活動”などと呼ばれる部活が無くなってくれることを期待したい。

このガイドラインを策定したことは、スポーツ庁の素晴らしい仕事だと思う。

上の記事でもスポーツ庁の資料でも言われていることだが、部活動は生徒の自主性に任されるのがベストだと俺は考えている。

例えば、「その種目の未経験者が顧問になる」というのは部活動の問題点としてよく挙げられる。

「だから、その経験者が顧問になるようにしよう」「いや、外部からコーチを呼ぶべきだ」

なんていう議論もあるようだが、俺はどちらの味方もしない。

俺は

そもそも顧問が監督やコーチを兼ねる必要がない

と考える。

顧問の仕事は、「問題が起こらないようにする」「問題が起こったときに対処する」

これだけでよい。

けがをしそうな危険なことをやっていたら注意する、けがをしたら応急処置をする、必要なら救急車を呼ぶ。部員間のトラブルの仲裁…その現場の管理者だったらスーパーの店長でも、イベントの主催者でもやっているような事だけでよい。

現実的には、見てるだけだ。

その種目の経験も専門知識もいらない。自動車教習所や、高校で習うような応急処置の知識があればいい。

これなら、未経験者が顧問になろうと関係ない。とりたてて指導をする必要もないから、教師の負担軽減にもなるだろう。

どんな練習をするか、試合でどんな作戦で戦うかはすべて生徒たちが考えて決める。

そこに教師の指導は必要ない。いや、あってはならない。

自主性というのはそういう活動の中ではぐくまれるものではないか?

「それでは上達が遅い!」「競技レベルが下がる!」という人もいるかもしれない。

はっきり言って

下がっていい。

学校は教育を行う場だ。そういう場では、自ら考え決定し、行動する、その訓練を行う方が重要だと考える。

そのためなら、競技レベルが下がるぐらい安いものだ(個人的には「むしろ上がるんでは?」という期待を込めた想像もあるが)。

もし競技レベルが心配なら、プロ組織が自分たちでチームや学校などを作り、自ら教育すべきだ。

生徒たちが部活動を選ばず、そういう場所での活動を選ぶのなら否定しない。

Jリーグのクラブは下部組織を持ち自前で選手を育てているが、NPBの球団は持っていない。

それにはいろいろな事情があるだろうから実現は難しいだろうが、ぜひともやってほしい。

仮にその実現が不可能だったとしても

学校側に野球の競技レベルの面倒を見る義理はない

そもそも

公教育が営利企業の活動に手を貸すなんてナンセンスだ。

今の高校野球はプロ野球の下部組織のようになっているが、俺はそれが健全だとは考えていない。

プロ志望の子と学校での部活動を望む子は区別されていい。そういう環境であっていい。

俺の考える部活動の光景はこんな感じだ。

「おーい!部活行こうぜー!」
「おー。今日は何の練習やる?」
「昨日は筋トレやったから今日はノックか特打ちやろうぜ」
「なあなあなあ!昨日のテレビ見たか?!」
「なに?」
「プロ野球選手が今やってる練習法を紹介してて、それがすっげえ良さそうだったんだよ!」
「マジ!?いいねえ!コンピュータ室でちょっと調べようぜ」
「後、1・2年が今日はノック中心がいいってよ」
「じゃあ、今日は1・2年にノックやらせて、俺らはまず調べものしようぜ」
「よし!行こう行こう!」

俺は、子供たちには、大人が余計な口出しをせずに自分たちで考え行動する場さえ与えれば、この程度の自主性は発揮できると思う。

今の教育現場や家庭では

子「今日はこういう練習をしよう!」
大人「それは効果ない。こういう練習の方がいい」
子「僕はこう思う!」
大人「それはおかしい。こういう風に考えろ」
子「そのやり方には反対です!」
大人「ああ!?生意気言うな!とにかくいうこと聞いていろ!」

とこうなる。

なんだったら、子供が何か言う前に何もかも先取りしてやらせてしまう。

子供が何か主張したときに

「よし!じゃあ一回それでやってみよう!」

こう声をかけることもできなければその発想もないのが現状だ。

大人たちにはある意味、失敗するとわかっていてもそれをやらせるぐらいの覚悟が必要だ。

今回紹介したスポーツ庁のガイドラインは、その理想には全く近づくものではない。

そういう意味では、これは特段評価するほどのことではない。

だが、例えば「部活動というのはひたすら練習するものではない」「部活動だけが全てではない」という認識に代わる一因になるかもしれないし、紹介した記事にもあるような企業によるコーチ業が発達すれば「本気でうまくなりたいなら部活じゃなくてプロのコーチがいるところに行く」という認識にもなるかもしれない。

そんな空気が醸成されれば、俺の理想にも一歩近づくかもしれない。

このガイドラインがきちんと効力を発揮するのを願う。
旧態依然の発想や制度にしがみつく大人は現れてほしくないものだ。


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