仮に何とかして文章全てを一瞬に記録できたとしよう。
その場合も、ちょっと困ったことが起こる。

今の子供たちはほとんど知らないだろうが、昔は音楽を録音するときは「カセットテープ」が主流だった。
このカセットテープを早送りすると、「キュルキュルキュル」と甲高い声がスピーカーから聞こえる。

これは、人間の耳が高速で発せられた言葉を、言葉として聞き取ることができないからである。

さて話は戻って心霊写真だ。

心霊写真にも、先ほどのような文章を一瞬で詰め込んだ場合、当然その声は、普通の人間には、「キュルキュル」としか聞こえないはずである。
しかし、霊能力者はそれをきちんと聞き取っている。ならば、生きている人間の声でもできるのだろうか?

ちょっと実験してみてほしい。

次は、映像だった場合。
この場合も、「一瞬しか撮影してない問題」が付きまとう。

音声の時よりイメージしやすいのではないだろうか?
仮に、幽霊が自分の過去やなんやらを画像によって示したとしても、それは所詮一枚絵でしかない。

仮に幽霊が〝動画を配信″していたとしてもだ。

なぜなら、生きている人間が写真を撮るときにその映像を、メッセージを込めようとするとき、それは1コマを切り取った一枚絵にならざるを得ない。

その絵には、例えば先の話の例で言うと、野原で倒れている落ち武者でも写っているとする。
これを見て、霊能力者はこの霊について語っているのだとしたら、

それはかなりまずい。

なぜって、たった一枚の絵でそこに写っている状況にいたる前後まで分かるわけもなく、それが分からなければその写真が何を意味するか分かる理由もないからだ。

例の状況なら、倒れていても死んではいなかったかもしれず、結局別の場所で死んだのを、カメラに落とし込めたのがたまたまそのシーンだっただけかもしれない。

あるいは、映画の撮影のワンシーンで、そのシーンが最後の出演作になった役者の怨念が写りこんだのかもしれない。

たまたま写ったワンシーンのみですべてを判断できると思うのは、言葉の裏が読めると思い込むのと同じぐらい危険なことだ。

それとも、霊能力者は写真一枚見ただけでその写っている人の人生や経歴がわかるのだろうか?もしわかるというなら、生きている人でやって見せてほしい。

(続く)

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