いろいろなところを回りました。
 町はずれの工場。
「うわあ」
「ねえ、トーマ。こわくない?」
「うん、ちょっとこわいかも」
灰色で、いつもより冷たそうに見えました。
 大きな通りのわきみちにある教会。
「どう?トーマ、これは?」
「きれい!」
大きなステンドグラスが雪でかざられて、天使が中にいるような気がしました。

そして、小学校の前を通ることになりました。
「あ、待って」
 トーマはアキに声をかけて、立ち止まりました。
「ここ、こんどぼくがかよう学校だ」
「そうなんだ」
「アキちゃんは?」
「わたしは…わかんない」
 アキはぷいっとかおをそむけて、先へすすもうとしました。
「わかんないって、なんで?」
「わかんないけど、わかんないの!」
「わかった…ごめん」
 
 2人はそれから、だまってしまって、あるくことにしました。
 でも、どこに行くかはわかりません。

(つづく)