何かをわめく男のスローモーションのような口元を見ながら
あの夜のことを考えた。隣では不安げな顔でそれを見上げるマコさん

頭の中に、洗面台の上で
足を大きく広げたマコの赤い下着と

「ねぇ、もう来て」

甘くささやく声

【ダメだろ、マコさん酔ってるだけで。

こーゆうのは違う】

首に絡みついて

酒臭いけど刺激的なキス

自分を止められるか自信を失った。

破裂寸前のそれに目をやって
サテンの赤が濃くなった部分に指先をやる彼女

「ここ。暎のそれでかきまわして

いっぱい突いて、気持ちよくして」

先がマコの太ももに触れただけで

出そうな気がした。

【無理だよ。できない】

これだけ環境が整っているのに
歯止めをかけたのは


くだらない自分の嘘。

本当はハタチなのに、恥ずかしくて高校生のふり

彼女はそれを完全に信じ込んでる。

ベッドの上で顔の上にまたがる

「やさしくね。すぐにまんなかを責めちゃダメ
まわりからそーっとくちびると舌で
焦らすの」

耳の中にドクドクと心臓から血液の送られる音が響いて
マコの甘い声が遠くに聴こえる
くちびるに次々と垂れてくる透明な液体

柔らかく濡れた肉

そこはグロいんだぞって先輩に聞いてたけど

俺のはこんなに可愛い

身をよじって離れようとするしっとりと柔らかいふとももを強く掴んだ。

夢中で

(お前!聞いてるのか!?)

吠える声に我にかえる

その肩越しに
泣いている彼女の目と

向こうの道路を走る車が見えた

ここはベッドの上じゃない

絶望的な場所だ。

そうだ、バレた

ぜんぶ

頭を下げたら

すぐに胸ぐらを掴まれて起こされる。

血走った目の恐ろしい顔

その顔でいつも

彼女をさげすんで、罵ってるのか

殺してやりたい衝動を抑えていた

もう二度と会わないと

約束させられて

逃がされた。

(未成年なんだろ?
警察沙汰にはしないでやるから
さっさと行けよ)

【あの!マコさんを

その人を、殴ったり
しないでください

お願いします

お願いします】 

その声が届いたかどうかは
わからない。