『13』という数字。
トランプでは『KING』と呼ばれる。
彼はチームの中で、長い間『KING』であり続けてきた。
そして、そのカードは『K』で表される。
野球というスポーツでは、『三振』を意味する。
彼は、伝家の宝刀である縦に鋭く逃げ落ちて行くスライダーで、2000余りの三振を相手から奪い取り、その姿にファンは熱狂した。
8月8日、あの日の彼は、燃え落ちる寸前に一瞬大きく燃え上がる、線香花火の玉だったのかもしれない。
『炎の100球』『魂の100球』
ファンはそう呼ぶが、往年のような力でねじ伏せる姿ではなかった。
9月1日、彼は全盛だった頃のユニフォームを身に纏い、ファンの前に現れた。
復活を願うファンの喝采を浴びる、チームに180もの勝利をもたらした男。
しかし、僕の目には、哀しく、寂しく見えた。
『もういい、やめてくれ』
淡い期待よりも、引き留めたい気持ちであった。
そんな叫びも空しく、闘いのゴングは無情にも鳴らされた。
彼は持ち球のストレートとスライダーで立ち向かうも、往年とは程遠い130キロ前半のストレートでは、伝家の宝刀と呼ばれたスライダーが活きるはずはなく、すでに手負いの状態。
程無く彼は打ち込まれ、21球目を投じた直後、セコンドから真っ白なタオルが投げ込まれた。
1人の打者も倒すことなく、自己最短でのノックアウト。
肩をうなだれてベンチへと下がる彼の脳裏に去来するものは、一体何なのだろうか?
Android携帯からの投稿
