交通事故に遭った場合、まず何をすべきでしょうか。
ケガをしていたら119番により病院に搬送してもらうことが必要ですし、
事故を起こした相手が110番通報をしていなければ通報することも必要でしょう。
1人で心細い場合は家族や友人、知人に来てもらうことも必要かもしれません。
しかし、多くの交通事故被害事件を取り扱う中で実感したことは、
事故直後の現場の保存(写真・ビデオの撮影)
が非常に重要であるということです。
これができていなかったばかりに被害者の方が泣き寝入りしなければならないことも多いのです。
事故直後は、気を失っていたり、気が動転していたり、また、何より自分や同乗している家族のケガの状態が気になったりで、とても現場の状況にまで気を回すことはできないことも多いと思います。
そして、そんなことはプロの警察に任せておけばいいのだと思われるかもしれません。
しかし、警察の捜査は被疑者(加害者)の言い分に沿った捜査をしてしまうことが多く、
実際に交通警察の現場検証は杜撰なものが実に多いのです。
ではなぜ警察の現場検証が杜撰なものになるのでしょうか。
まず、慢性的な警察官の人員不足が原因の一つと考えられます。
一人の警察官が抱える事件が多く、簡単に処理してしまおうとする傾向にあります。
次に、現場に被害者本人がいないことが多いことです。
被害者本人がすでに救急車で病院に搬送され、現場には加害者しかいない状態では、
加害者の言っていることが正しいのか確かめるのが困難となり、いきおい加害者の言い分が採用されてしまうのです。
また、警察が加害者側に配慮することもあります。
特に加害者がタクシーの運転手や運送業者の場合、刑事処分や行政処分の結果によっては、職を失うことになりますので、加害者側に配慮する傾向がみられます。
実際、被害者の方から事件の依頼を受け、裁判の準備のために事故現場に赴いてみると、警察が作成した現場見取図に明らかな誤り、不正確な箇所があることを発見し、唖然とすることも多いのです。
警察が作成した実況見分調書は、示談交渉や民事訴訟においても重要な証拠として取り扱われ、それによって被害者と加害者の過失割合が決定的に左右されますので、それが杜撰なものであれば、被害者に大きく不利に働くことになります。
では、次では実際に経験した事例と保存の方法についてご説明します。