☆内向系でスミマセン☆産婦人科女医のそっとしといてほしい日記

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産婦人科女医のいろいろ。いーたいほーだい。
毎日がんばっていますが、わりとしんどいです。

半年経ってもわからないことだらけです。

がんばって勉強します。


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自己紹介で「医者です。」というと「いいねー」と言われるときと「大変だねー」と言われることがあります。

いいねー、は職にあぶれることもたぶんないしお給料も多いし、いいねーだと思われます。
たいへんだねー、はどの程度イメージしていただいているのだろう。

医師の勤務といってもいろいろな形態があります。多くの医師は最初大学病院や救急患者さんを24時間受け入れる急性期病院に勤務するかと思います。

24時間急変や急患の対応、産科の場合はお産の介助が必要です。
病院には夜間、休日には当直医が待機していますが、労働基準法的には急患とかお産の対応は当直業務にあてはまってないようです。

当直明けは帰宅するのが常識と思うのですが、8割以上の病院で日中からの勤務に引き続いて当直を行い、明けてまた日中の通常業務を行っています。
そんな当直が月に10回前後あります。

こんなことが許されるのかと思いますが、医師たちが多忙すぎること、看護師と違って組合がないことから当直業務の改善は何十年も放置されたままです。

日本医師会は大きな団体ですがあのような大きな組織の主な幹部は今は当直などなされない年配の先生方、そして多くは開業されている先生方です。

勤務医の声をまとめて代弁する組織は存在しないのが現状です。

年配の先生方の中には「自分達が若い頃は365日毎日当直していたんだ、今はよくなっているんだ(泣き言言うな)」とおっしゃる先生もおられます。
ひよわな現代っ子の泣き言なのかもしれませんが、昔とは診療の量も違うし医師にかかるプレッシャーも違うと思うのです。
それにものごとが昔に比べて良くなるのは当たり前ではないでしょうか。もし、労働条件が昔と変わらないままならそれはそこまでを作った先輩方の怠慢です。

お給料は大学病院に関して言えば昔よりはましですが、びっくりするほど安いのです。私は大学院生なので基本的には無給です。バイトがないと生活ができません。医員という大学のヒラの医者でも大学からのお給料は20万円以下だと思います。この仕事量、プレッシャーがあってこの値段はなんだろうと思います。もちろんボーナス、退職金はありません。

眠れなかった当直明けは本当に辛いのです。疲れていて、間違えないようにすることで必死です。
自分が辛いっていうだけではなく、患者さんの不利益になっているのではないかと思います。
少し忙しい当直が続くと欝っぽくなります。あたりまえの反応です。そんなときは気分転換するようにしています。
勤務携帯が変わればいいけど、とはいえ人手が足りないのだからどこかの病院で休みをたくさんとっても他の病院にしわ寄せが行くだけです。
患者さんの数、お産の数は変わらないのですから。医師たちはそう思うから声を上げずに(ブログでつぶやくくらいで)ここまできたのかなと思います。

けど後輩たちにこの慣習を引き継ぎたくはないなあ、なんとかできないのかなぁ。ちょっと勉強してみようと思います。



博士号頂けたら、どこかに異動したいな。
といってもまだまだ先だけど。
この大きな医局に、ずっとはいられない。大きすぎるよ。

駒の、ひとつ。
という感じ。
うーーん。眠れない。

当直中なのですが。

さっき電話で起こされてから眠れなくなってしまいました。
……というのも たぶん、昨日、寝過ぎましたね。

昨日は実は16時間くらい寝てしまったのです。
それというのも
一昨日の当直が全然寝れなかったからなんですね。お産とお産と急患と帝王切開と。全部終わって1時間くらい寝ましたが。

昨日が休日でよかったです。
朝帰って、車検の受け取りだけなんとかして、あとひたすら寝てしまいました。

それにしても16時間て……。
我ながら寝過ぎですね。

その前の前の日も夜中から起こされたからかな。これは開業医の先生のところのお手伝い。

3月はなぜかいつも人手不足で当直が多くなります。明後日もまた当直。
来週は3連泊が控えています。
当直明けの医者は日中帰宅できるシステムに早くならないのかなぁ。
文化系三十路女子にはキビシイこの体制。

はやく4月にならないかなー。
職業柄お産の場面に立ち合う機会が多い訳ですが、分娩、てどういう意味があるんだろう。
とふと思うことがある。

今日は助産学校の学生さんがお産をとっていて、立場的に当なのかもしれないけれど、なんとなく「お産てすばらしい!」「赤ちゃんて無条件にかわいい!」という感じに思えた。

学生さんとしては正しい思想だと思う。
だけど。

うーん。…ほんとに?
と、思ってしまう。
巷の妊婦さん向け雑誌を読んでもそう思うんだけれど。

語弊があるかもしれないけれど、お産て決して美しいものではなくて、血と汗と羊水にまみれて人は生まれる。
その場面はある意味ものすごくおどろおどろしい。

何をもってしてお産はすばらしいというのか。

一体なにをもってして出産が「おめでたい」のか。
生きることは楽ではない。必死で働いて生きていかなきゃならない。
いったん生まれたからには死ぬまでなんとか生きなきゃならない。それって時として辛い苦しいものだ。

静かで暖かい子宮内から押し出され、寒くて騒がしくて、突然始まった呼吸はまだうまく出来ないから苦しくて赤ちゃんは泣く。

一体何を持ってして出産が幸せだというのか。
おめでとうと躊躇なく言える人は、幸福な人生だったのだ
うーん…。
赤ちゃんの心音が下がりました…。
頭はまだ高い…。
吸引分娩はまだ一・二度しか経験がありません。
心音も結構下がるので慌てました。
上の先生もいてくれたので、引いて2回で無事赤ちゃんは産まれ、すぐに泣いてくれたのでよかったです。
早く一人で吸引できるようにならないとなぁ…。


吸引分娩
1.内診する…子宮の開大度と児頭の位置を確認。
2.吸引カップの確認…75cmHgくらいまで圧があがるか確認。圧が抜けるどうかも確認。
3.なるべく大きいカップを膣内に挿入する。
4.カップを児頭に装着。膣壁を挟んでいないか確認。
5.軽く陰圧をかけてカップを密着させる。会陰切開をいれる。
6.陣痛に合わせて努責をかけてもらう。それに合わせて吸引カップを引く。右でカップを引き左はカップが外れないように手を添える。
骨盤の形に合わせて最初は下側に、次に水平に児頭が恥骨を外れたら前上側に。
7.児頭が出たら吸引をやめてカップを児頭から外す。


クリステレル圧出法
児頭が十分に下降していることを確認。
陣痛発作時に努責をかけ、それに合わせて手を広げて子宮底全体を母体の脊柱方向に圧迫する。
赤ちゃんの具合が悪化する可能性か、あるので注意して行う。


ちなみに吸引カップにはシリコン性のソフトカップと金属カップがあります。
金属カップは吸引力は強いが児頭損傷の危険あり。吸引失敗の可能性は少ない。産瘤を人工的に作るので、やや時間がかかる。
ソフトカップは児頭に密着するので時間をかけて産瘤を作る必要がない。
血液型不適合妊娠の患者さんのお産がありました(お産のときは患者さんていうの変かもしれませんが)。
ひとの血液は普通、体内に異物がある場合、それを異物と認識して攻撃、排除しようとします。
妊婦さんでは子宮の中に異物である赤ちゃんがいますが、免疫寛容といって通常は赤ちゃんに対する攻撃は起こりません。
赤ちゃんとお母さんのRh式血液型が違う場合、つまりお母さんがRhマイナスの血液型の場合、妊娠中に赤ちゃんの血液とお母さんの血液免疫反応によって赤ちゃんの血液に対する抗体ができてしまいます。
そのままだと、次に妊娠したときにお母さんの血液中の抗体が赤ちゃんを攻撃して、赤ちゃんの血液を壊し溶血性貧血→胎児水腫
となってしまいます。
それを防ぐため、できた抗体を消すための免疫グロブリン(中和抗体)を、妊娠中と産後72時間以内にヒト免疫グロブリンを筋肉注射します。
血液製剤なので、同意書が必要です。
ちなみに今、免疫グロブリンがあるのはRh型のみだそうです。
他のいろいろな血液型抗体(不規則抗体)に対してはまだ、中和抗体が開発されていないのでもし、抗体価が上がってくるようであれば、赤ちゃんを外に出してあげるしかありません。