自己紹介で「医者です。」というと「いいねー」と言われるときと「大変だねー」と言われることがあります。
いいねー、は職にあぶれることもたぶんないしお給料も多いし、いいねーだと思われます。
たいへんだねー、はどの程度イメージしていただいているのだろう。
医師の勤務といってもいろいろな形態があります。多くの医師は最初大学病院や救急患者さんを24時間受け入れる急性期病院に勤務するかと思います。
24時間急変や急患の対応、産科の場合はお産の介助が必要です。
病院には夜間、休日には当直医が待機していますが、労働基準法的には急患とかお産の対応は当直業務にあてはまってないようです。
当直明けは帰宅するのが常識と思うのですが、8割以上の病院で日中からの勤務に引き続いて当直を行い、明けてまた日中の通常業務を行っています。
そんな当直が月に10回前後あります。
こんなことが許されるのかと思いますが、医師たちが多忙すぎること、看護師と違って組合がないことから当直業務の改善は何十年も放置されたままです。
日本医師会は大きな団体ですがあのような大きな組織の主な幹部は今は当直などなされない年配の先生方、そして多くは開業されている先生方です。
勤務医の声をまとめて代弁する組織は存在しないのが現状です。
年配の先生方の中には「自分達が若い頃は365日毎日当直していたんだ、今はよくなっているんだ(泣き言言うな)」とおっしゃる先生もおられます。
ひよわな現代っ子の泣き言なのかもしれませんが、昔とは診療の量も違うし医師にかかるプレッシャーも違うと思うのです。
それにものごとが昔に比べて良くなるのは当たり前ではないでしょうか。もし、労働条件が昔と変わらないままならそれはそこまでを作った先輩方の怠慢です。
お給料は大学病院に関して言えば昔よりはましですが、びっくりするほど安いのです。私は大学院生なので基本的には無給です。バイトがないと生活ができません。医員という大学のヒラの医者でも大学からのお給料は20万円以下だと思います。この仕事量、プレッシャーがあってこの値段はなんだろうと思います。もちろんボーナス、退職金はありません。
眠れなかった当直明けは本当に辛いのです。疲れていて、間違えないようにすることで必死です。
自分が辛いっていうだけではなく、患者さんの不利益になっているのではないかと思います。
少し忙しい当直が続くと欝っぽくなります。あたりまえの反応です。そんなときは気分転換するようにしています。
勤務携帯が変わればいいけど、とはいえ人手が足りないのだからどこかの病院で休みをたくさんとっても他の病院にしわ寄せが行くだけです。
患者さんの数、お産の数は変わらないのですから。医師たちはそう思うから声を上げずに(ブログでつぶやくくらいで)ここまできたのかなと思います。
けど後輩たちにこの慣習を引き継ぎたくはないなあ、なんとかできないのかなぁ。ちょっと勉強してみようと思います。
半年経ってもわからないことだらけです。
がんばって勉強します。