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日本にカナダホッケースタイルが浸透し始めた1990年代、前回紹介した1-2-2フォアチェックと同じようにこの2-1-2フォアチェックもチーム戦術として使われるようになった。

基本的に1-2-2と同じ動き方&考え方なんだけど、より攻撃的で読みと詰める早さとタイミングが非常に重要なシステムです。ただ5人の意思疎通と寸分狂い無いタイミングを要求されるため、機能しない場合大怪我をすることになる、いわば諸刃の剣的システムなんです。

ポジションは上図を参照してください。
第1列(Aエリア)にはFW1&FW2、相手両DFに同時に詰める、相手がD-D間パスを試みた場合パックに絡める可能性が高い。
第2列(Bエリア)にはFW3、パックサイドの45度にパスが出た場合素早く詰める。
第3列(Cエリア)はDF2人、ルーズパックを処理する。ただパックが逆サイドに展開した場合45度に詰めざるを得ない。

2-1-2フォアチェックは3方向への同時プレッシャーから相手パックを奪う機会が増える。ただしFW3人がAzに深く入り込む為、相手に決定的なカウンターを取られやすい

特に、逆サイドに展開された際はBエリアにはFW3一人しかいないためDF2が行かざるを得ない。
DF2がパックを奪えれば良いが、奪えない場合は相手の決定的なカウンターになる非常にハイリスクハイリターンなフォアチェックと言える。
前回も説明したようにセンターラインパスの廃止以来、Azにおけるディフェンスのノーピンチングが常識になりつつある現代のホッケーにおいて、攻撃的なこの2-1-2フォアチェックよりもNzトラップ(トラップについては今後徐々に紹介していきます)に世界のホッケーは変わっていきました。よって最近ではほとんど目にすることが無くなったシステムの1つだと思います。

それでも前回紹介したOLD STYLEの1-2-2よりは使い道があるシステムと私は考えています。試合終盤でどうしても得点を取りに行かなければならない状況ではこの2-1-2は最後の頼みの綱になるシステムですから。

ただ5人に求められるタイミング「5人同時フォアチェック」のタイミングがあまりにも難しすぎるんです。このタイミングさえ習得できるのであれば、またタイミングが合わない際に深入りしないで5人全員が引くことを徹底できるならば(Nzトラップへの切り替えが可能であれば)、爆発的な攻撃力を手に入れることができるんです。得点できなければ失点する、この諸刃の剣システムを自分たちの武器にするには相当な努力が必要というわけです。


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