2007年NHL各チームのパワープレーフォーメーション
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2007年度のNHL、各チームのパワープレーフォーメーションを研究してみた。
基本はやはりディフェンスもしくはキーマン(※1、図ではFW1)からのシュート、シュートを打たれないように動く相手の守り方によって各チームそれぞれ何パターンかの形を持っている。まずスタートの形はオーソドックス、キーマンがハッシュマーク(※2)、両ディフェンスがブルーライン、FW2がゴールとコーナーの間、FW3がスロット。FW1とDF1でパスしながらそれぞれ5人のポジションを移動させてゆく(左図参照)。DF1の横ばいは今まで日本でも当たり前の動きとされてきたが、FW1とDF2の動きについてはあまり詳しく決め事がない。それがパターンが少ない原因であると考える。この流れから行くとFW1はブルーライン付近までポジションを上げる。逆にDF1はサークルのトップ付近までポジションを下げるのが良い。

その理由としてブルーライン付近まで移動したFW1に対し相手DFは遠すぎてそこまで追い詰められない。よって中途半端なポジションを取らざるを得ないため、4人のボックスをうまく吊り上げたことになる。ここでFW1はFW2へのパス、FW2は素早くFW3への早い横パスというローエリアを使った1つの得点パターンができる。味方スティックがフリーでなくても早いパスは相手に当たったりして得点につながるケースがあるので試してみよう。2006年のルール改正からパックを持っていないFW3のチェックはレフェリーが厳しく見ているので相手反則も誘える。またパックがスルーしても横パスなのでDF2がルーズパックを取れるはず(右図1番)右図2番は一番得点につながりやすいDFからのシュート。できればここにはライトハンドDFでダイレクトシュート(※3)が理想。レフトハンドの場合は強いリストシュートでゴールを狙おう。FW3が完璧なスクリーンができていればリストシュートでも得点率は上がる。逆にスクリーンができていなければどんなに良いダイレクトシュートも今のGKは簡単にセーブするだろうね。さて右図3番、これが今年良く見る形の一つ。DF2にレフトハンドをおいてロングパスをバックドア(※4)からダイレクトシュート。スーパールーキーPittsburghペンギンズのシドニー・クロスビーのラインが今季この形でPPゴールを量産した。DF2はダイレクトが打てない場合はレシーブ後シュートフェイクしつつFW3に横パスという得点パターンもある。FW1がハッシュマークに立ち止まったままでは通常このパスは通らない。ブルー付近までポジションを上げながらだと4人のボックスを吊り上げられるので、その瞬間に走り込んだDF2がローエリアでフリーになるというシナリオです。ちなみに1番、2番の形はTrontoメープルリーフスの#13サンディン(FW1)-#15カベルレ(DF1)-#24マッケイブ(DF2)のライン、Nashvilleプレデターズの#9ポールカリア(FW1)-#44ティモネン(DF1)のライン、Detroitレッドウイングスの#13ダツゥーク(FW1)-#5リドストロム-#29シュナイダー(DF2)のラインなどが、3番の形はPittsburghのクロスビーのラインがよく使っている。次回以降パワープレーネタの時には今年一世を風靡したVancouverカナックス、セディン兄弟による「スラップパス」を紹介します。これは使えますよ!乞うご期待。

用語解説※1 キーマン~パワープレーにおいて展開をコントロールするキー(Key)になる選手。通常センターフォワードになるケースがほとんどでポジションはハッシュマーク付近。※2 ハッシュマーク(Hash Mark)~ フェイスオフ時にポジションを取る目安になるライン。Dz全てのサークルのサイドにあるライン。※3 ダイレクトシュート~英語では「One Timer」と言いあまり「Direct Shoot」とは言わない。パスをレシーブせずそのままシュートすること。※4バックドア(Back Door)~Dzにおいてパックサイドと逆側のゴール前。例えばパックが右コーナーにある場合は左ゴール前。パックに目が行きがちになるとここが死角で敵FWがフリーになりやすく守り側にとって最も危険な場所になる。