天才 前田智徳 | ほぼ日刊ベースボール

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野球選手の熱い過去や意外な背景を主な切り口に、野球への熱い想いを綴ります。

前田
 



今シーズン、前田智徳の調子が非常にいい。

熊本工出身、当時のコーチがスカウトに「前田をとってくれてありがとう」と礼を言ったり、あの落合・イチローをして「天才」と言わしめた前田の野球センスは、未だにタイトルを取っていないという点で不思議に思えてしまう。




デビュー当時の初打席本塁打、守備でも今で言うイチローばりのレーザービームを披露したり将来が嘱望された前田だったが、アキレス腱断裂が彼の野球人生を狂わせた。走攻守三拍子揃ったプレーが売りだったが、アキレス腱の故障以来、常に足の状態を気にしながら打撃に専念し、それでも現役通算最多の9度の3割をマーク、もし足の故障がなかったらどれだけの選手になっていただろうと思うと、惜しすぎてならない。




前田に関しては数多くの逸話がある。




・イチローは前田にあこがれて背番号51番をつけている。

・山本浩二監督が前田を「アイツは天才じゃけん10年はセンターの心配はいらん」と語る。

・責任感が強く、甲子園で負けたときには「俺が打てなかったから負けたんだ」とチームメートに謝る。

・高校時代から努力家でバットの振りすぎで疲労骨折したほど。

・若手時代のインタビューで目標は「理想の打球を打つこと」と語る。

・若手時代のインタビューで「厳しい球をどんどん投げて欲しい。それじゃないと打っても何の楽しみもない」と語る。

・わざと見逃し三振に倒れて「あれはプロの球じゃない。あんなの打っても嬉しくもなんともない」と語る。

・北別府学の200勝のかかった試合でエラー北別府の勝ち星を消してしまう。その後、ホームランでヒーロインタビューに呼ばれた前田だったが「ヒーローは僕ではありません。北別府さんの200勝を消してしまった。それを取り返しただけです。」と涙ながらに語りヒーロインタビューをしようとしなかった。

(さらに、前田が言うにはエラーも悔しいがその直後に回った打席で打てず、「自分は本物じゃない」と自分に腹がたって悔しかったらしい。)

・槇原に完全試合をくらった広島だったが前田は「槙原さんが出てくると燃えました。逆境が僕を燃えさせる」語り、特大ホームランでリベンジを果たす。

・イチローに「内野安打でヒットを稼いで楽しいか?」と話しかける。

・前田ほどの打者でも「明日は打てないんじゃないかと思うと怖くてたまらない」と語る。

・アキレス腱故障後、ライトにコンバートを提案された前田は「センターで使って下さい。前田智徳は打撃をして、守備をしてこその前田なんです。」とセンターにこだわった。

・アキレス腱断裂後は「一回、前田は死んだんです。」「前田智徳は前田智徳を超えられない」「若いころは前田智徳がどこまで成長していけるんだろうとい楽しみだった。」「昔の僕じゃないんです」「もう片方のアキレスも切ってやりたいくらいです。」

・「ホームランは角度がつきすぎて理想の打球ではないです。」




確かにベストの状態の前田ではないが、今年こそベターな状態で過ごして欲しい。タイトルが全てではないが、タイトルが世間を前田に注目させる。もっと注目されてしかるべき選手だし、だからこそタイトルを取って欲しいのが個人的に強く望むことである。




現在.373でリーグトップ、この数字を閉幕までキープすることは前田のアビリティを考えれば可能である。このまま驀進して欲しい。




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