君たちはどう生きるか
著者 吉野源三郎



本書を子どもに読ませたい、というよりも自分が子どもの時に読んでおきたかった、
というのが第一の感想である。


本書では中学1年生のコペル君の平凡な日常生活が描かれつつ、
コペル君が様々な出来事から感じた内容について語られている。
そしてコペル君から話を聞いた「おじさん」が、
コペル君に宛てた「おじさんのノート」というかたちで考察を述べる。
その考察は平易な文体でありながら鋭く、
自分で考えることの大切さ、どのように考えるべきか、
というようなことを丁寧に教えてくれる。

最も印象的だったのは、「第四章 貧しき友」におけるおじさんの言葉だ。


君には、いま何一つ、勉強を妨げるものはないじゃあないか。
人類が何万年の努力を以って積み上げたものは、どれでも、
君の勉強次第で自由に取れるのだ。

 

どうして勉強するのか、その理由が私の中で腑に落ちた瞬間だった。


君たちはどう生きるか、というタイトルから、
今のままではいけないからこうしなさい、
といった説教じみた響きを感じ、
じゃあどう生きるのが正しいのか教えてください、
と斜に構えて受身のスタンスで本書を読み始めた。
しかし、読み進めていくうちに、
自発的で能動的な、こうしていこう、
という思いが自分の内側から湧いてくることを感じた。

その思いを大切に、おじさんの教えをこれからの糧にしていきたい。
どう生きるか、という問いへの答えは、まだない。