8章 憲法院   (5ヵ条)

54条(憲法院の構成と院長の権限)

 ① 憲法院は、任期9年で更新の許されない9名の構成員からなる。憲法院は、3年毎に3分に1ずつ交代する。構成員の3名は元首により、3名は衆議院議長により、3名は参議院議長により、任命される。

 ② 前項に定める9名の他に、元元首は終身の憲法院の構成員となる。

 ③ 院長は元首が任命する。院長は可否同数の場合に裁決権を持つ。

55条(兼職禁止)

   憲法院構成員の職務は、大臣もしくは国会議員の職務と兼ねることができない。その他の、兼職禁止は法律により定める。

56条(法律及び政党の合憲審査に関する権限)

  ① 法律及び国会の議員規則、公布・施行の前に、又、政党の解散審判は、憲法院に付議されなければならず、憲法院は、それらの合憲性につき裁定する。

  ② 同じ目的で、元首、首相、衆議院議長、参議院議長、又は構成員6分の1以上の衆議院議員あるいは参議院議員により、憲法院に付議できる。 

 ③ 前2項に定める場合、憲法院は、1ヵ月以内に決定しなければならない。但し、緊急の場合には、政府の要求により、この期間は7日に短縮される。

  ④ これらの場合、憲法院への付議は、審書の期限を停止する。

57条(憲法院の決定の効力)

 ① 憲法違反と宣告された規定は、審書することも施行することもできない。

 ② 憲法院の決定は、いかなる上訴も許されない。憲法院の決定は、公的諸権力ならびにすべての行政力および司法的機関を拘束する。

58条(法律への委任)

   憲法院の組織及び運用の規則、そこで従う手続及び特に争いを提起するために、認められる期限は法律で定める。


  第9章 司法       (9ヵ条)

59条(司法の独立と裁判官の身分保障)

 ① 元首は、司法機関の独立の保護者である。

 ② 元首は、司法官職高等評議会の補佐を受ける。

 ③ 司法官の身分は、法律で定める。

 ④ 裁判官は、罷免することができない。

60条(人身の自由の保護者)

 ① 何人も恣意的には拘禁されない。

 ② 個人の自由の守護者たる司法機関は、法律の定める条件に従い本原則の遵守を保障する。

61条(司法官職高等評議会)

 ① 司法官職高等評議会は、元首が主催する。法務大臣は、その副議長となる。法務大臣は元首を代理することができる。

 ② 司法官職高等評議会は、評議会本部及び裁判官に関する権限を有する部会と検察官に関して権限を有する部会の2個部会からなる。

 ③ 裁判官に関する権限を有する部会は、元首及び法務大臣の他に、5名の裁判官、1名の検察官、政府が指名する1名の評議員及び元首、両議院長が指名する国会にも司法機構にも属さない3名の人物を含む。

 ④ 検察官に関して権限を有する部会は、元首及び法務大臣の他に、5名の検察官、1名の裁判官、前項の評議員及び前項で言及した3名を含む

    ⑤ 裁判官に関する権限を有する司法官職高等評議会部会は、高等裁判所裁判官、地方裁判所長の任命、弾劾裁判所の裁判官、軍事裁判所の裁判官につき提案を行う。他の裁判官は、当該部会の同一意見に基ずき任命される。

 ⑥ 前項の部会は、裁判官懲戒委員会として決定を下す。その場合、弾劾裁判所長が委員長を務める。

 ⑦ 検察官に関して権限を有する司法官職高等評議会部会は、閣議で任命する職を除き、検察官に関する任命に関する任命に付き意見を述べる。

 ⑧ 前項の部会は、検察官に関する懲戒につき意見を述べる。その場合、当該部会は地方裁判所付き検事長が主催する。

 ⑨ 本条適用の諸条件は、法律で定める。

62条(裁判所)

 ① 裁判組織は、普通裁判所、弾劾裁判所、必要により行政及び軍事裁判所を設置する。

 ② 普通裁判所は、終局の高等裁判所と地方裁判所の2審制とする。

 ③ 弾劾裁判所は、元首及び政府構成員の裁判を行う。

 ④ 行政及び軍事裁判所は、法務大臣の分掌として設け、軍事裁判所は、防衛・治安出動事態又は海外派遣され、あるいは軍艦に乗船している所属者が対象となる。

 ⑤ 各裁判所の構成、運営規則及びそこで適用される手続は、法律で定める。




45条(社会保障財政)

 ① 国会は、法律の定める条件に従い、社会保障財政を議決する。

 ② 社会保障財政は法律の規定する条件及び留保の下に、その財政的均衡の一般条件を決定しかつその収入予測を考慮して、支出目標を定める。

 ③ 衆議院が、予算案提出後20日以内に、第1読会で意思決定をしなかった場合には、政府は、参議院に付議する。この場合、参議院は2週間以内に決定しなければならない。その後の手続は第43条に定める条件に従って進行する。

 ④ 国会が、50日以内に意思決定をしなかった場合、政府は法案の諸規定は政府により発行できる。

 ⑤ 会計検査院は、社会保障財政適用のコントロ-ルについて、国会と政府を補佐する。

46条(議事日程)

 ① 議院の議事日程は、政府提出の法律案及び政府が同意した議員提出法案を、優先的にかつ政府の定めた順序に従って組み込む。

 ② 少なくとも週に1度の会議が、国会議員の質問と政府の答弁のために、優先的に留保される

 ③ 月に1度の会議が、各議院の定める議事日程のために、優先的に留保される。

47条(問責動議)

 ① 首相は閣議後、その政策プログラムや場合によっては一般政策表明について、衆議院に対して政府の責任をかける。

 ② 衆議院は、問責動議の議決により、政府の責任を追及する。かかる動議は、衆議院構成員の10分の1以上の署名がなければ、受理されない。また、動議提出から48時間後でなければ投票を行うことが出来ない。問責動議は衆議院構成員の過半数によってしか可決することができない。なお、次項に定める場合を除き、1人の議員は、同一の通常会期中3つを超える問責動議の署名者とはなれず、また、同一の臨時会期中に1つを超える問責動議の署名者となることができない。

 ③ 首相は閣議後、法案の議決について、衆議院に対して政府の責任をかけることができる。この場合、当該法案はその後24時間以内に提出された問責動議が、前項に定める条件で議決された場合を除き可決されたものとみなされる。

 ④ 首相は、参議院に対して、一般政策表明の承認を求めることができる。

48条(不信任よる政府の辞職)

衆議院が問責動議を議決するか、あるいは政府の政策プログラムか一般政策表明を承認しなかった場合は、首相は元首に政府の辞表を提出しなければならない。


第49条(問責動議に際しての会期の自動延長)

  通常国会あるいは臨時国会の会期は、場合によっては第47条の適用を可能にする為に当然延期される。又、同じ目的の為に、補充的会議が当然に開催される。



  第7章 条約と国際協定      (4ヵ条)

50条(元首による条約の交渉・批准)

 ① 元首は、条約を交渉し批准する。

 ② 元首は、国際協定の締結を目指す一切の交渉について、報告を受ける。

51条(条約・協定の批准・承認方法、発効時期と条件)

 ① 平和条約、通商条約、国際組織に関する条約もしくは協定、国庫に負担を課す条約もしくは協定、法的拘束力を持つ規定に影響する条約もしくは協定、人の身分に関する条約もしくは協定、国土の割譲・交換・併合を含む条約もしくは協定は、法律によらなければ批准あるいは承認することができない。

 ② 承認もしくは協定は、批准または承認された後でなければ発効しない。

 ③ 国土のいかなる割譲・交換・併合も関係住民の同意なしには有効とならない。

 ④ 人権に関する条約・協定は「基本的人権擁護に関する憲章の宣言」前文の5による。

52条(違憲の国際協約と憲法改正)

   憲法院が、元首、首相、いずれか一方の議院の議長又は構成員の6分の1以上の衆議院議員もしくは参議院議員の提訴に基ずき、国際協約が憲法に反する条項を含むと宣言した場合には、当該国際協約を批准あるいは承認する許可は、憲法を改正した後でなければ為しえない。

53条(条約の法律に対する優位)

   正規に批准又は承認された条約及び協定は、相手国による当該協定もしくは条約の適用を条件に、公布と同時に法律に優位する効力を持つ。





6章 国会と政府の関係  (16ヵ条)

34条(防衛行動、治安行動)

 ① 防衛行動、治安行動は、元首の命令で行う。

 ② 上記行動の実施においては、国会承認及び憲法院の助言が必要である。

35条(命令事項)

 ① 法律の所管に属すること以外の事項は、命令の性質を有する。

 ② かかる事項に関して定める法律形式の法令は、政府の所管の意見と閣議の採択できる。こうした法令で本憲法発効後に制定されたものは、前項により命令の性格を有すると憲法院が宣言した場合のみ改正できる。

36条(法律案の提出)

 ① 法律は、国会が議決する。

 ② 法律の発議権は、首相と国会議員の両者各々に属する。

 ③ 政府提出の発議案は、諮問委員会で付議した後、衆議院又は参議院の理事部に提出する。但し、予算案及び社会保障財政案は、先に衆議院に付議される。

 ④ 国会議員が提出する法律案及び改正案は、その可決が公的な収入源の減少あるいは公的支出負担総額の増大の効果を伴う場合には、受理されない。

 ⑤ 本条の規定は、法律により明確化しかつ補充することができる。

37条(実験的規定)

   法律及び命令は、対象と期間を限定して、実験的性格を持つ規定に含めることができる。

38条(プログラム規定とその授権) 

 ① プログラム規定は、国の経済的・社会的行動の目標を決定する。

 ② 政府がそのプログラム規定を実施するために、通常は法律の所管に属する措置や期間を限定して、政府が定める授権を国会に求めることができる。

39条(議員提出法案の所管の争い)

 ① 立法手続中に、議員提出の法律案が法律の所管に属さず、あるいは第38条のプログラム授権に反すと明らかになった場合は、政府は不受理を主張できる。

 ② 政府と当該議院の議長の間で意見が一致しない場合は、いずれか一方の求めに応じて、憲法院が10日以内に決定する。

40条(審議の対象)

 ① 政府法律案の討議は、最初付議された議院では政府提示の原文で行われる。

 ② 他の議院が可決した法案を付議された議院は、送付された案を審議する。

41条(委員会への付託)

 ① 政府提出及び議員提出の法案は、政府あるいはそれを付議された議員の要求に基ずき、審査の為に各議院に設置された常任委員会に付託される。

 ② かかる要求が為されなかった法立案は、特別に指定された委員会に付託する。

42条(法律案の修正、一括投票)

 ① 国会議員と政府は、法律案修正権を持つ。

 ② 討論開始後は、政府は、事前に委員会に付議しない総ての審議に反対できる。

 ③ 政府が求める場合、法律案を付議された議院は、政府が提案もしくは承認した修正のみを取り入れて、討議中の法律案の全部又は一部につき、唯一回の投票により議決する。

43条(両議院の不一致と合同委員会の開催)

 ① 政府もしくは議員提出の法立案はすべて、同一法文の可決を目指して国会の両議院で順次審議される。

 ② 両議院の意見の不一致の結果、政府もしくは議員提出の法立案が、各議院で2度の読会の後に可決されなかった場合、あるいは政府が緊急を要すると宣言した時に、各議院での1度のみの読会の後に可決されなかった場合には、首相は、討議中の諸規定に関する成案を提出する任務を負った合同委員会を開催できる。なお、合同委員会には、各議院が同数を派遣する。

 ③ 政府は、合同委員会が作成した成案を両議院に付議して、承認を求めることができる。いかなる修正も政府の同意なしには受理されない。

 ④ 合同委員会が、共通の成案の採決に到らなかった場合、あるいはその成案が前項に定める条件で採択されなかった場合には、政府は両議院の再度の読会の後に、衆議院に終局的な決定を行うように求めることができる。この場合、衆議院は、合同委員会が作成した成案を採択するか、あるいは最後に表決された案にするか、又は参議院が可決した諸修正により変更を加えた案を採択することが出来る

44条(予算)

 ① 国会は、法律の定める条件に従って、予算案を議決する。

 ② 予算は、法律の規定する条件及び留保の下に国家の歳入と歳出を定める。

 ③ 衆議院が、予算案提出後40日以内に、第1読会で意思決定をしなかった場合には、政府は、参議院に付議する。この場合、参議院は2週間以内に決定しなければならない。その後の手続は第43条に定める条件に従って進行する。

 ④ 国会が、70日以内に意思決定をしなかった場合、合同委員会は、予算法案の諸規定を発行させることができる。

 ⑤ 会計年度の歳入・歳出を定める法案が、当該年度開始前の審議に適した時期に提出されなかった場合、政府は、国会に対して租税を徴収する許可を緊急に求め、既決の役務に関係する費用を政府所轄から支出する。

 ⑥ 会計検査院は、予算執行のコントロ-ルについて、国会と政府を補佐する。