自然へのリスペクトを抱き、そして沖縄を愛する皆様
昨日のブログの「チムグリサン」な出来事を紹介しなくてはならなくなりました。
拙共著にも記している通り、沖縄島東海岸・中城湾に広がる琉球列島最大の干潟
『泡瀬干潟』
の埋め立て工事が止まりません。
そればかりか、昨年末、那覇地裁において「合理的ではない公共事業への公金の支出を即時中止しなさい」という判決が出たにも拘らず、沖縄県は控訴期間中を良いことに、浚渫土砂の埋め立てを明日から本格化する、とのことです。
この前時代的な公共事業の内容について、ここでは多くを述べませんが、いずれにしてもこの公共事業は、埋め立て後の土地利用計画に理論性も見られず、多くの希少な生命を喪失させる愚行(蛮行と言い替えても良いけれど)以外の何ものでもありません。
本来なら、事業主体は内閣府ですから、国民のすべての人たちに愚行への異議・反論を言う権利があります。
しかし、ことはそう簡単にはゆきません。
何故なら、この事業を地元の行政が求めているからです。
つまり、コザ市(沖縄市)の市長である東門美津子さんは、国政に参加していた際の意見を翻し、事業の受け入れを表明しました。
市のHP上に掲載されている市長の挨拶によると、
・市の活性化や財政負担について
・干潟等の自然環境への影響
・保安水域における共同使用の件
の三つの視点を重視したと述べているのですが、
結果として、市長は事業の受け入れ理由として、
・工事の進捗状況からみて、今はむしろ沖縄市の経済活性化へつなげる
・第二区域については、新たな基地の提供になり土地利用に制約が生じることや、環境へのさらなる配慮が求められることから、推進は困難と判断。しかし、第一区域へのアクセスや干潟の保全など、国・県と協力して解決しなければならない課題があることから、第二区域については、具体的な計画の見直しが必要と述べています。
ただし、これはいかにも理論的ではありません。
まず、活性化にはその科学的根拠が必要です。
もちろん、計画と言うものは過去の経験の堆積ですから、ある意味「水もの」であるのは致しかたありません。
しかし、現在の杜撰な計画をそのままに事業を進めると言うのは、何度も言いますが前時代的な愚行に他なりません。
また、財政負担ですが、コザ市の住民で頭割りにすると、一人当たり25万円の負担になります。もちろんこの数字は、赤ちゃんからお年寄りまで、すべての市民への負担としてです。
そして市長の意見の中で、特に専門的な視点を欠いているのが、環境についてです。
今の時代に、環境が複合的な要素によって成り立っているというのは、専門家でなくとも周知の事実です。
泡瀬干潟には、現在でも「クビレミドロ」や「ニライカナイゴウナ」など、その生態が明らかにされておらず、また新種の可能性のある生命体が発見されています。
これを科学的に解明せず、その生息地域に掛からなければ良いだろう、という考えは、環境をまったく理解していないことに他なりません。
泡瀬通信施設に掛かる保安水域の問題については、論ずる以前の問題です。
こんなことは、基地に市面積の36%を取られ、戦後からズッと基地に依存してきたコザ市なら、計画の段階で判りそうなものです。
まったく論ずる気にもなりません。
以上、簡単に泡瀬干潟の埋め立ての事業を紹介しましたが(それでも長くなってしまいました。
先ほどは、地元の行政が求めているからしょうがないと書きました。
しかし、まだ第一区域は完成していません。
つまり、元に戻すことが出来る段階であるということです。
今なら、この貴重で生命群に溢れ、地域に根ざしてきた干潟を残せます。
どうか沖縄にいる方、近いうちに沖縄を訪れる方は、ぜひ現場を見に行ってみてください。
干潟の広大さ、そして沖で水平線を消してしまう埋立地の醜さが目にできます。
また、明日15日朝8時から、土砂を運び出す沖縄本島中城湾東埠頭前にて、抗議行動を行っています。
そちらに顔を出し、特別何をするわけでもなく、ただ意思を示すために集まってあげてください。
どうぞ、宜しくお願いいたします。
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