そう かれこれ57年位前の私の青春の思い出です。

 

高校最後の冬休み、友人と旅行に行く事にしました。

二人とも時間は有るが、金が無いので、岡山から西の方へヒッチハイクで旅をする事で、2学期の終業式の翌日出発し、12月末迄に帰る。と言う大雑把な計画でした。

岡山から国道2号線を歩きながら車に手を上げるがなかなか止まってくれません。

 

そんな中でも何台かに乗せてもらった中で印象に残っているのは、大型の輸送トラック乗せてもらいました。運転席から見る景色は乗用車など小型車と違って、高いとこから見晴らしが良くて最高でした。

 

夕闇が迫る頃、広島辺りで4トン位のラックが止まってくれました。 

福岡の市場へ向かうとの事で、「渡りに船」じゃなく「渡りにラック」という事で、喜んで乗せてもらいました。しかし、車中が寒いんです。運転手さんが「生牡蠣を運んでいるので暖房は入れられないよ」、窓も開けて置く様にと言われました。これは厳しかったが、今更降りて別の車を拾うのも相当厳しいと思いそのまま載せて頂きました。

 

福岡の市場へ着いたのは、24時頃だったと思います。俺ここで終わりだが、お前達は何処へ行くのかと聞かれ、熊本の方へ行きたいと言うと、チョット待って居ろと言われ、暫くして、熊本方面に行くトラックの乗せてもらえる様にお願いしてくれました。12月の寒空の下で野宿か、ヒッチハイクをしなければならないかと覚悟していましたが、人の温かさを感じ、感謝しながら次のトラッツクにお世話になりました。

 

熊本駅の待合室で仮眠をとりました。朝起きると昨夜からの雪で、真っ白になっていました。

朝食後、熊本城へ行く事にしました。城の中も真っ白の中、黒い熊本城がクッキリと映えて綺麗でした。天守閣からの眺めも最高でした。

熊本城を後にして、列車で阿蘇山へ行く事にしました。

細かい事は記憶が薄くなっていますが、バスに乗り換えて山頂へ向かいました。

途中、阿蘇山でスキーをしているのを見て、九州でもスキーが出来るのだという事を初めて知りました。やはり、旅をして見分を広めなければと思いました。

バスで(ロープウェイを使ったかな?)内輪山の西側火口口迄上がり、火口を覗き込みました。

 

その時は全く知らずに、また大変な事をしました。

外輪山の東側迄バスが通っているとの事でしたが、バスが直ぐ出ないので歩いていれば途中で載せてもらえるだろうと、勝手思い込み東側に向かって歩き始めました。

歩いても、歩いてもバスは来ませんでした。結局、西側から東側迄寒い中を歩きとおしました。

東側のロープウェイの駅に着くと、係りの人に「最後便が直ぐ出るので急げ」と言われ間一髪で最終便で下山できました。これに乗り遅れていたら、翌日の新聞に載っていたかもしれません。

 

下山して宿屋を見つけて一泊、翌朝、列車で別府温泉で観光をして帰途に付きました。

関門海峡は車から降ろしてもらい、歩道のトンネルを徒歩で渡りました。

 

その後、下関駅から岡山駅までの切符を買おうとしていたら、一人のおじさんに声を掛けられました。

「岡山駅までの二人分の運賃で岡山駅までタクシーに乗らないか?」と。

 

最初は疑いましたが、列車より楽だと思い「OK」しました。

何でも、タクシーを何台か乗り継いで東京から九州まで帰るお客さんがいて、その運転手さんは 岡山から下関迄を担当したとの事でした。

昔は豪勢な人がいたものだと思います。おかげで、人生最長のタクシー乗車をわずか17才で経験するとわ思いませんでした。