7079 WDBココ 理論株価を検討する
WDBココ について
医薬品開発における「治験」を支援する開発受託機関(CRO)である、イーピーエス、シミック、リニカルといった普通のCRO業態とは一味も二味も異なる事業展開をしています。
2022年4月1日時点で指標としては以下となっています。
- 株価:5,370円
- (予測)PER:21.51
- (予測)PBR:6.9
- 配当利回り:0.67%
時価総額:118億円と競合のCROと比較しても小粒な会社となっています。
- 開発段階の支援業務からの売上が約28%
- 市販後業務支援からの売上が72%
WDBココ の強み
当社の強みとしては、以下が挙げられると思います。
- 「市販後安全性情報管理」をメインにしてノウハウを蓄積していること。
- 当時に、プロセスごとの標準化、人件費のコストコントールの最適化ができていること
- DX化、IT化との組み合わせで、人件費の高くない未経験やLowスキル人材活用の巧みさによる、安価で高品質サービスを提供可能としていること
顧客である製薬業界の状況
国内の製薬業界は、外資系企業の躍進が目覚ましく、米系、ヨーロッパ系の製薬企業の存在感が際立っています。
また、高齢社会よる社会保障費を抑える政策の一環で、薬剤費を政府により締め付けられています。
当然、米国、中国、欧州、インドといった市場に比べ、年々、日本市場の相対的魅力は低下してきています。
そうなると、外資系製薬会社の日本法人では、社員数の抑制をする方向に力学が働き、「コア」の業務以外は、生産性を上げるため、コアでないものは、可能な限り外注するという選択肢が生まれます。
当社の主要顧客を見ると、中外製薬(ロシュグループ)、グラクソスミスクライン、イーライリリー、アッヴィといった米系、欧州系製薬会社で約50%の売上を占めており、上記の考え方と整合しています。
今後、当社が主要顧客の深堀していけるのか?
他の(外資系中心に)製薬企業を中心に新規の顧客開拓していけるのか?
が、当社の成長性に大きく影響を及ぼしていくと思われます。
理論株価の検討
当社は、中期経営計画等を公開していないようですため、今後5年間の売上予測について以下を活用しました。
- 今後2年間は会社四季報(2022年春)の売上予測
- それ以降は、年売上成長率16%という予測値とした
2018年以来純利益率が安定していることから、純利益率:13.5%とし、5年後のPERが現在の水準程度とすると、
理論株価は5,966円と算出。
現在の株価が5,370円からすると割安となりました。
当社の事業として、
- 市販後の安全性情報管理業務が法律で求められる品質に必要があるため、スイッチングハードルがあること
- 開発支援に比べて、主事業が市販後で、より長期間にわたる業務となるため、ストック型ビジネスに考え方が近いこと
- 他社にはない、プロセスの分解、標準化ノウハウの蓄積・提案が期待できる
- 未経験人材を育て上げ、最適化することができる
- 主要顧客が買収する側の企業であること
- 日本の製薬市場の成長性が限定的であるため、コストコントロールが重要となり、将来にわたり当社のビジネスチャンスが大きいこと
などを考えると、今後の成長が楽しみな会社で、長い目で応援したいと思います。
(投資は自己判断、自己責任でお願いします。理論株価は、私見と主観でおいた「前提」を基に算出しており、自分の反省用に後から振り返るためのものです。したがって、銘柄について買い及び売りを推奨してるものではありませんのであらかじめご了承ください。)