今回は、ボーカルのピッチエディットをやります。

この機能は、Reason 9から搭載されました。Propellerheadの場合、機能追加が他のDAWと比べて遅いなという感は、いつもありますが、搭載された時には、非常に使いやすいものになっています。

 

 まず、事前の準備として。(本当は事後でもいいんですけどね)ボーカルのオーディオトラックは、ナイフツールを使って、ノートのない部分で切り分けておきましょう。その方が色々な処理をかけやすくなります(これはピッチエディットとは直接関係ないですけど)。

 

 さて、オーディオ録音が終わるとこんな感んじ。

まず、レコーディングされたクリップを拡大して、ナイフツールで切り分けます。

 

そして、ピッチエディットを開始しますが、オーディオトラックのクリップ選択すると、ツールバーに、

  • スライスエディット
  • ピッチエディット
  • コンプエディット

以上、3つが現れて選択できるようになるので、ピッチエディットを選びます。

 

現在、対象になっているクリップがトラックカラーで、他はグレーアウトしています。

 

ピッチエディットモードに入ると、ボーカルがピアノロールのノートとして表示されます。

 

まず、初めにこのクリップのノートを全部選択します。

そして、左側の移調で、ジャンプを選択した上で、

ピッチ欄の修正ボタンをクリックします。

 

 

各ノートを見てください。

ピッチのカーブが揺れているのがわかりますよね。

 

シンセのファインチューニングを知っていれば、よくわかると思いますが、

ノートが半音単位で見た時、正しいノートだったとしても、

半音の中の周波数変化(音程変化)として見た時には、その半音の中で揺れています。

 

例えば、

このノートだと、途中、半音の中でフラットして、それから後半に向かってシャープしていってますよね。

 

次の段階では、これを機械的に揃えます。

再び全選択し、ノートに白玉ハンドルが上に現れますので、

これを下にドラッグしてドリフトさせます。

ツールバーのドリフトがちょうど50%になるようにしましょう。

なぜ、50%かと言えば、聴感上、自然に聞こえるのが、このくらいということです。

こうなりました。

 

ここまでの作業は機械的に行っていいので、ボーカルトラックのクリップに全てこの処理をしましょう。

 

  1. ピッチエディットモードに入る。
  2. ノートを全選択。
  3. 移調、ジャンプでピッチの修正ボタンを押す。
  4. 白玉ハンドルを下げてドリフト50%に設定する。

 

この結果、ピッチの修正が正しくないノートに修正されることがあります。

 

その場合は、ノートを上下にドラッグさせて正しい位置に移動させます。

左の移調欄はジャンプになっていると思いますが、適宜、スナップ、ファインを利用して、メロディーラインを修正していきます。

 

ジャンプは、移動距離は半音単位ですが、細かく揺れているズレは保持されます。

スナップは、キッチリ半音単位にスナップされます。

ファインは自由に調整できます。

 

このように修正しました。

ノートを修正していく中で、ノートの分割、結合は、ナイフツールと消しゴムツールを使います。

一つのノートと解析されているが、実は前後半で半音違うとか、そういった場合に分割したり、本来、一つのノートなのにバラバラに解析されているようなときに結合したりします。

 

また、一つのノートなのに、ピッチカーブが乱高下してはみ出してる場合があります。

この場合は、ナイフツールで分割し、ピッチーカーブがノートにマッチするように編集しましょう。

 

また、ノートは移動することも、長さを変更することも可能です。

ノートの境界やノート自身をドラッグすることでできます。

 

ツールバーにあるトランジションは、直前の隣接するノートからの遷移の時間を設定するものですが、そのノートの音程が変更されてなければ設定はできません。

設定できる場合は、下方向にハンドルが表示されます。

ハンドルを動かしながら、カーブが滑らかになるポイントに設定します。

 

あとは仕上げになりますが、仕上げの段階になったらジャンプモードからファインモードに切り替えて微調整するといいでしょう。

またドリフトを下げて、ピッチカーブを平坦にした場合、ビブラート等の小さなピッチ変動も修正されます。これが都合よくない場合は、ツールバーの「表現」をあげます。

 

また、ノート単位でフォルマントとレベルの設定も可能です。

フォルマントは上げれば声が明るく、下げれば深くなりますが、

極端な値は、狙いでない限りは使いません。

 

レベルは、極端な音量の違いを修正します。

 

以上で、Reason 9のピッチエディットの全てを説明したと思います。

 

応用としては、修正したオーディオトラックを複製し、新たなオーディオトラックとして、ドリフトを0%、トランジションも0%に設定して、ダブリングさせると面白い効果が出ます。

 

ピッチをファインで、少々、外してあげて、Neptuneをつなげればケロケロボイスも作れます。(というか、ピッチエディットする前のオーディオクリップを別にとっておいた方が楽です)

 

また、ハモりのパートを複製して作って、ノートを編集して上げればハモリも完成。

その場合、フォルマントもいじってあげると良いと思います。