ひょんなきっかけから三角点を巡る旅に出かけることになったので紹介したい。
体力維持の目的でオリエンテーリングのパーマネントコースを巡る旅をやってたのだがある日、位置情報アプリで神奈川県の「三角点探訪」というものを見つけました。
これは時間無制限で特定の県内の全ての三角点、水準点を巡るというもので神奈川県の場合、計730箇所あるらしい。2024年5月の時点でコンプリートした人はいない様だが500箇所を超える猛者もおり、立ち入り禁止場所を除けばそれは時間の問題かもしれない。
私にとっても途方もないコースであり、残りの一生をかけても回り切る自信はありません。
それでも挫折覚悟で近場の三角点から探訪を始め、現時点では数十点踏破できました。
その間、三角点や水準点に関する基礎知識の習得やその歴史に触れることができました。
ここでは三角点に関連して知ったことまとめてみました。
1、三角点とは
三角測量を行う時の位置の基準点。緯度、経度、標高が正確に求められている。
一等〜四等三角点が存在する。日本地図の計測では当時の計測精度上、最初に
辺の長さが平均約40kmの一等三角点による三角網(一等三角網)が形成され、
その後点間距離の短い、三角点(二〜四等三角点)により三角網が補完されて
いったとのこと。
2、神奈川県の一等三角点
計8箇所存在する。
一つは箱根の神山。ここは現時点入山規制中である。
二つめは逗子市にある二子山。
そして以下6点は1882年以降の三角測量の黎明期に設置利用され、
日本最古のものが含まれているとされるのでここで紹介したい。
① 下溝村、座間村 [相模野基線端点]
相模野基線とは神奈川県相模原市、座間市にある上記三角点を結んだもの。
全国に展開されることになる一等三角網のための基線の一つで
1882年9〜10月に2点の三角点間距離が実測された。
実測値は5209.9697mと言うことでその精度はなんと0.1mm。
1910年ころの基線測量風景。
現在は市街地ですが当時はこのような大平原だったのでしょうか?
[出典:相模野基線報告(国立国会図書館)] 鳶尾山山頂案内板より
② 鳶尾山、長津田村 → [第一増大点]
相模野基線を元に三角測量法により距離を算出。
③ 浅間山、蓮光寺(東京都)→[第二増大点]
②を算出基線として同様に距離を算出。
④ 丹沢山、鹿野山(千葉県)→[第三増大点]
③を算出基線として距離を最終増大辺のものとして算出。
これに日本経緯度原点(東京都港区)とで形成される三角形の各辺を
基点として全国に一等三角点網が作られる。
詳細については以下の参考サイトを参照してください。
参考サイト
以下はそれぞれの一等三角点及び相模野基線中間基点の現地写真です。
いずれも保存状態はよく、史跡としての風格を感じさせるものでした。
よろしければご覧ください。
相模野基線中間基点の案内板
注目すべきは緯度、経度の精度。秒以下の有効数字が3桁!!
例えば地球の半径を約6400kmとした場合、誤差1mは経緯度0度0分0.030秒ですので
多くとも5cm以下の誤差ではないかと推定できます。
相模基線中間点(四等三角点)
相模野基線北端点(一等三角点:下溝村)
相模野基線南端点(一等三角点:座間村)
鳶尾山山頂の一等三角点
高尾山の一等三角点(長津田村)
浅間山山頂に設置されている一等三角点
丹沢山の一等三角点は頂上付近の木道沿いにありました。