袴田新三郎のブログ

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なぜこの場所が存在しているのか。
なぜこんな場所に自分がいるのか。
いつから、そしてなんの為に。
全てが解ら無かった。
解る必要はないのかもしれない。
自分が何者で、何者であるのかという疑問すら起こらない。

そこにはいつまでも沈まない太陽が、どこまでも続く草原に落ちそうで落ちない。時間が止まっている。いや、進んでいながら巻き戻っているのかもしれない。疑問はなかった。
不安もなかった。
いつまでも終わることのない黄昏だけがひたすら続く。
幾漠かの時を経たのか刹那なのかは知る術はない。
自分ではないその者はどこからか来て、いや何時からかそこにいたのかもしれないし突然現れるたのかもしれない。
茜色に染まるその者の顔には物憂げな、それでいて何かをやりつくした感が見えた。
「残念だよ。これからって時に」
その者は語る。
「でも、もう終わったことさ。僕は精一杯に生きてこれたよ。彼女の全ても手に入れられたからね。あの瞬間は、本当に最高だった。」
恍惚とした表情で空を仰ぎ見た後、目線落として、今度は落胆した表情を浮かべた。
「僕のいなくなった後、彼女はどうなると思う」
不意な問い。
「きっと、何も変わらないだろうね。彼女は強い。生きることを選んで、いつか僕のことを忘れる日が来る」
寂しげでもはかなげでもない、誇らしくもあるような微笑み。
「ああ・・・誰にもあの肌に触らせたくない。あの声、あの顔、あの温もり・・・
再び恍惚の表情。
「彼女はもう、きっと自分から誰にも許さないよ。身も心もね」
どこか挑発的な、意地の悪い顔で言う。
「・・・だけど彼女は許さなくても、抗えないほどの力が彼女を襲ったらどうだ。無理矢理にでも!」
泣きそうな、縋るような目で訴えてくる。
「君は彼女を守れよ。君に心を動かされることはないからな!・・・はははっ、そうだよ、君は体に触れることは出来はしない・・・そうさ、見ているだけ・・・・・・眺めて妄想だけしてればいいのさ!もっとも、思い描くこともできないだろうけど、君は!」
狂ったかのように笑い、男は今度はよろよろ歩き初めた。
「ああ・・・