1970年代、急速に台頭してきた経済理論としての新自由主義は、財政赤字を拡大させた「大きな政府」の行政システムを見直す潮流に乗り、サッチャー保守党政権、レーガン共和党政権の政策展開とともに全世界に広まった。日本においても、中曽根内閣以来、濃淡の違いはあれ社会の各分野で新自由主義が政策の基調となっていった。変化は政治経済的な場面に止まらない。JR、NTT、道路公団、郵政会社、国立大学法人など組織の変革は社会のあらゆる分野に及んでいる。一方、新自由主義が社会の成長のための最重要ファクターとしてきた「市場化」「競争化」は、また社会に各種の格差をもたらしてもいる。競争は「勝者」とともに「敗者」も生むことを、われわれは身を以て感じている。本講義では、新自由主義的政策の一つの結果とされる社会のさまざまな格差に焦点をあて、それらを多様な視点から多角的に捉えて具体的に考えていく。
◎8.教育の自由化と学力格差◎
中曽根政権下に設置された臨教審は,実質的に教育分野における自由化,多様化,国際化そして市場化を数次にわたって答申した。それが実行に移されたことにより,戦後長らく平等主義的に進められてきた世界でもまれな日本の学校教育体制は,大きな転機を迎えることとなった。それは,同時に,学力低下問題をはじめとする教育問題論議の幕開けでもあった。ここでは,過去四半世紀の教育改革の動向,そして学校教育,家庭教育,教師,子どもの学力といった教育事象の動きをみていく。
◎9.社会に背を向ける人々◎
社会における競争の激化と行き過ぎた能力主義の進展は,失業率を上昇させ,一面で生活者の将来への展望も奪ってしまうという結果をもたらした。若年失業率は上昇し,多くのニート,フリーターが生み出されることとなった。若年者に限らず,人々の生活はさまざまな困難に直面している。そうした状況が社会規範に与える影響は決して小さなものではない。犯罪や非行,薬物依存,社会からの逃避的行動など,社会に多発する逸脱を競争社会というコンセプトから検証する。
◎10.子どもと女性の貧困◎
グローバル化と新自由主義による社会的格差の拡大は,子どもと女性に大きな影響を及ぼしている。若年労働市場の悪化,女性労働市場の悪化が背景にある。離婚の増加によって増加する母子家庭は,女性の不安定雇用と福祉削減政策の中で,最も貧固化する社会集団となりつつある。雇用と家族/結婚の不安定の中で,貧困化する子どもと女性の問題を考える。
◎11.高齢者と格差◎
現代日本では、超高齢社会の到来とともに、高齢者の間にみられる格差が新しい特徴を見せ始めている。福祉国家による再分配にはこうした格差を是正することが求められるが、この間の新自由主義的な福祉国家の再編は、とくに経済的な格差を強める方向に作用したと考えられる。所得格差、健康格差などの諸側面について、データを概観しながら、我が国の高齢者と格差の問題について論じる。
◎12.福祉における格差◎
近年の福祉国家の再構築における新自由主義的な潮流の中で,福祉へのアクセスをめぐる格差が顕著になっている。保育と介護をめぐってどのような地域間格差が生じているのかを概観する。公的福祉をめぐる地域間格差が社会的に排除されるリスクを高めるのかどうか,ナショナルミニマムという観点に立つときどのような制度の見直しが求められるかなどを論じる。
◎13.格差社会と正義◎
格差社会の問題を,平等と正義の観点から考察する。平等と正義の一般的な関係の考察をし,その古典的な議論の概略を捉える。そのうえで,新自由主義的な正義論の代表としてハイエクの議論と,自由主義的な正義論の代表としてのロールズの議論を概観する。重要なのは,それぞれの正義観の背後にある人間や社会についての考え方の把握であり, こうした理解を通じて,現代社会を正義の観点から理解する視点の獲得と,理解力の強化を目指す。
◎14.国際化と自由化の克服◎
世界市場ではグローバリゼーションという国際化の影響が進展しており,日本の国内経済では空洞化が進み,経済停滞が起こっている。この中で,海外では外国人労働者の国際移動や,国際的な金融危機による新たな貧困問題,格差問題が生じている。この章では,世界や日本にとって,このようなグローバリゼーション問題をいかに認識し克服することができるのかについて考えていくことにする。
◎15.新たな連帯と共生の創造◎
現代社会の諸環境の変化の中で,これまでの雇用や社会保障が想定していなかった生き難さを抱える人々が増加しているが,従来の社会保障制度は,このような人々のニーズに対応できない状態にある。現状を打開し,新自由主義のマイナスを克服するためには,どのような社会作りをめざすべきかを検討する。とくに、新しい社会保障制度や包括的社会サービスを展望する。
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◎8.教育の自由化と学力格差◎
中曽根政権下に設置された臨教審は,実質的に教育分野における自由化,多様化,国際化そして市場化を数次にわたって答申した。それが実行に移されたことにより,戦後長らく平等主義的に進められてきた世界でもまれな日本の学校教育体制は,大きな転機を迎えることとなった。それは,同時に,学力低下問題をはじめとする教育問題論議の幕開けでもあった。ここでは,過去四半世紀の教育改革の動向,そして学校教育,家庭教育,教師,子どもの学力といった教育事象の動きをみていく。
◎9.社会に背を向ける人々◎
社会における競争の激化と行き過ぎた能力主義の進展は,失業率を上昇させ,一面で生活者の将来への展望も奪ってしまうという結果をもたらした。若年失業率は上昇し,多くのニート,フリーターが生み出されることとなった。若年者に限らず,人々の生活はさまざまな困難に直面している。そうした状況が社会規範に与える影響は決して小さなものではない。犯罪や非行,薬物依存,社会からの逃避的行動など,社会に多発する逸脱を競争社会というコンセプトから検証する。
◎10.子どもと女性の貧困◎
グローバル化と新自由主義による社会的格差の拡大は,子どもと女性に大きな影響を及ぼしている。若年労働市場の悪化,女性労働市場の悪化が背景にある。離婚の増加によって増加する母子家庭は,女性の不安定雇用と福祉削減政策の中で,最も貧固化する社会集団となりつつある。雇用と家族/結婚の不安定の中で,貧困化する子どもと女性の問題を考える。
◎11.高齢者と格差◎
現代日本では、超高齢社会の到来とともに、高齢者の間にみられる格差が新しい特徴を見せ始めている。福祉国家による再分配にはこうした格差を是正することが求められるが、この間の新自由主義的な福祉国家の再編は、とくに経済的な格差を強める方向に作用したと考えられる。所得格差、健康格差などの諸側面について、データを概観しながら、我が国の高齢者と格差の問題について論じる。
◎12.福祉における格差◎
近年の福祉国家の再構築における新自由主義的な潮流の中で,福祉へのアクセスをめぐる格差が顕著になっている。保育と介護をめぐってどのような地域間格差が生じているのかを概観する。公的福祉をめぐる地域間格差が社会的に排除されるリスクを高めるのかどうか,ナショナルミニマムという観点に立つときどのような制度の見直しが求められるかなどを論じる。
◎13.格差社会と正義◎
格差社会の問題を,平等と正義の観点から考察する。平等と正義の一般的な関係の考察をし,その古典的な議論の概略を捉える。そのうえで,新自由主義的な正義論の代表としてハイエクの議論と,自由主義的な正義論の代表としてのロールズの議論を概観する。重要なのは,それぞれの正義観の背後にある人間や社会についての考え方の把握であり, こうした理解を通じて,現代社会を正義の観点から理解する視点の獲得と,理解力の強化を目指す。
◎14.国際化と自由化の克服◎
世界市場ではグローバリゼーションという国際化の影響が進展しており,日本の国内経済では空洞化が進み,経済停滞が起こっている。この中で,海外では外国人労働者の国際移動や,国際的な金融危機による新たな貧困問題,格差問題が生じている。この章では,世界や日本にとって,このようなグローバリゼーション問題をいかに認識し克服することができるのかについて考えていくことにする。
◎15.新たな連帯と共生の創造◎
現代社会の諸環境の変化の中で,これまでの雇用や社会保障が想定していなかった生き難さを抱える人々が増加しているが,従来の社会保障制度は,このような人々のニーズに対応できない状態にある。現状を打開し,新自由主義のマイナスを克服するためには,どのような社会作りをめざすべきかを検討する。とくに、新しい社会保障制度や包括的社会サービスを展望する。
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